PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Canon PowerShot G1 X Mark III

Canon PowerShot G1 X Mark III / SHOOTING REPORT

キヤノンのプレミアムコンパクトG1 Xシリーズに、2017年11月、最新モデル「PowerShot G1 X Mark III」がラインナップされました。小型軽量で、大型センサー、高性能レンズを搭載するレンズフィックスカメラとして高い人気を誇る前モデルから、大きく変わったのはセンサーです。1.5型のCMOSセンサーから、キヤノンのコンパクトカメラでは初となるAPS-CサイズのCMOSセンサーを搭載しています。これにより、画素数は1280万画素から2420万画素に大幅アップ。さらに、デュアルピクセルCMOS AFを採用することで撮像と位相差AFセンサー両方の機能を兼ねることができ、広い範囲での測距が可能に。液晶モニターをタッチすることでフレームの端にある被写体にもすばやく合焦します。APS-CサイズのCMOSセンサーの高速信号読み出しによって、最高約9コマ/秒の高速連写も実現。高い精度、速いAFで捉えたい瞬間を逃しません。このセンサーの描写力を最大限に発揮させるべく、両面非球面レンズ3枚、片面非球面レンズを1枚を贅沢に採用し、レンズも新たに開発されています。35mm判換算で24-72mmの標準ズーム域を持ち、広角端では開放F2.8、しかも最短撮影距離は10cm。映像エンジンは最新のDIGIC 7です。この映像エンジンの採用によって、ブレを検知するジャイロセンサー(光学ISユニット)に加え、センサーの画像情報からブレの量を判断して除去するというアルゴリズムを搭載することが可能となり、デュアルセンシングISを実現。角度、画像両者のブレの情報をもとに、より高い精度でISユニットを制御。4.0段分の補正効果を達成しています。正直、これでもかというくらい基本性能がアップしているのはもちろん、さまざまなピクチャースタイルが使用でき、オートNDフィルターも搭載。ご存知の通り、スペシャルシーンモードには星空モードやパノラマショットなど19種類ものモードが搭載されており、これ一台で撮れないものを探す方が大変なのではないかと思うほど。バリアングル液晶採用ですから、撮影アングルも自由。セルフィもバッチリです。今回のレビューでは、大幅にアップした基本性能を知るべく、カメラとがっぷり四つで気合いの撮影、そして多彩な本モデルの各撮影機能の優秀さをご覧になっていただきたく、さまざまな機能を使用した撮影を行っています。それではじっくりと作例をご覧ください。


Canon PowerShot G1 X Mark III

祈る

Canon PowerShot G1 X Mark III

Canon PowerShot G1 X Mark III

Canon PowerShot G1 X Mark III

Canon PowerShot G1 X Mark III

柔らかく深みのある描写

「気合を入れて撮ってください」と編集からのオーダーが。PYで気合を入れるということは、乾いた雑巾を絞るようにカメラの性能を引き出し、そのカメラでしか撮れない世界を見せることです。

Canon PowerShot G1 X Mark IIIの特徴は、センサーがAPS-Cにサイズアップ、EVFが内蔵、静止画IS 4.0段分の手振れ補正、映像エンジンに最新鋭の「DIGIC 7」搭載、絞り羽根9枚、約154gの軽量化とMark IIから全く別の機種のように生まれ変わったことです。操作性も、左手でしっかりカメラをホールドできるよう、露出補正ダイヤルがトップカバーの右に、サブダイヤルがフロントの右上に新たに追加され、右手だけで撮影がスムーズにできるように向上しました。ここまで書いていて、なんでMark IIIなのか疑問に思います。レンズが交換できないだけで、もうコンパクトカメラの域を超えています。完全に。

性能がアップしたのは理解できるのですが、では何がこのカメラの個性か。PowerShot G1 X Mark IIIは、センサーがAPS-Cになったことでレンズ設計も含め、豊かな階調を表現することをピュアに追求したように感じます。高解像度、シャープさを求めるためには、エッジが立ったような描写だけではなく、フィルム時代の中判カメラの描写がそうであったように、ピントピークを際立たせずに、豊かな階調を利用してピントピークの前後の描写をなだらかにし、微妙な立体感を再現していく方法があります。ただこの方法は、いままではフルサイズ以下のセンサーではあまり見られませんでした。作例をセレクトしながら、全体に流れる柔らかく深みのあるトーンを見ていると「デジタルカメラに新たな転機が来たのかな」と感じます。そんな息吹を、作例から感じ取っていただけますでしょうか。(A.Inden)


Canon PowerShot G1 X Mark III

星を探して。

Canon PowerShot G1 X Mark III

Canon PowerShot G1 X Mark III

Canon PowerShot G1 X Mark III

Canon PowerShot G1 X Mark III

Canon PowerShot G1 X Mark III

コンパクトデジタルカメラの最高峰。

今回、ロケの司令のひとつとして、前のモデルから進化した星空モードを試すということもありましたので、まず向かったのは関東近辺でも屈指の星空スポットである埼玉県の秩父。キャンプなどにカメラを持って行ったとき、きれいな星空を撮りたいと思う人はきっと少なくないですよね。もちろん星空を撮るのは陽が落ちてからですので、日中はスナップカメラとしての試し撮りをするかと、軽い気持ちでスナップ撮影をするのですが、え? これコンデジだよね? と背面液晶を見ただけでも仰け反るほどの写りに驚きました。なるほどセンサーが1.5型からAPS-Cサイズになったことで随分と画に奥行きが出た印象です。ぼけ方や質感の描写だって一眼レフカメラで撮った画像となんら引けを取らない写りに感じました。センサーの高画素化や最新の解像エンジンを搭載しても、それに耐えうるレンズの設計が必要となってくるはずですが、新開発のズームレンズは全く不満なしで、キヤノンの技術力の高さが土台にあるがゆえだなと感じました。

さて、いよいよ星空モードを試す時間が近づき、三脚を用意して明るいうちからいろいろとシュミレーションしていました。なにせ星の撮影は正直なところ不慣れなもので、若干不安だったのです。ところがですよ、本当に簡単でびっくりしました。構図を決めてスペシャルシーンモードから星空モードを選択。シャッターボタンを押すだけ。ほぼそれだけなのです。明るさの調整だけ露出補正ダイヤルで決める場合もありそうですが、ISO感度や絞り、ノイズ処理などはカメラが全部やってくれます。星空モードには3種類の撮り方があります。普通に星を点で撮る「星空夜景」と、軌跡を撮る「星空軌跡」、動画風に星の動きを捉える「星空タイムラプス動画」です。今回全て試しましたが、上の作例の星空軌跡のカットは、何度か試したわけじゃなく、本当に初めての一発目なんです。初体験でここまでうまくいったのでちょっとドキッとしてしまいましたね。ここまで撮れるなら星空背景の海岸や名峰など、いろんな場所で撮ってみたくなります。ひとつ注意しなければならないのは、星の軌跡を撮る際とタイムラプス動画を撮る際はかなり時間がかかりますので、フル充電で臨むことをお勧めします。星空タイムラプス撮影では時間制限無しの充電が切れるまでという設定もありますので是非とも夜を徹してお試しください。

PowerShot G1 X Mark IIIは、今回からキヤノン独自のデュアルピクセルCMOS AFを採用していますので、動体のAF捕捉のテスト撮影をしてみようと、おなじみのあの子を撮影してみました。わたしの意図など関係なく良い表情をしてくれましたよ。もちろん何度もしてくれるわけじゃないので、一発必撮で撮れたのは流石としか言いようがありません。AFの精度としては完璧という他ありませんね。とびきり自由な子なので心配でしたが、デュアルピクセルCMOS AFにかかればいとも簡単に一瞬の表情を逃さず撮れるという確信を得ました。

そのほか、縦のパノラマ撮影にも初挑戦してみましたが、手ブレの心配もなく簡単にとても美しく撮れました。これはカメラを振る速さなど多少コツが要りますが、慣れると面白いように撮れます。細長い建物などを普通の画角に入れるとなると、どうしても余分なところが多くなってしまいますが、縦パノラマで撮れば見せたいところをドンと見せることができ、しかも新しい切り取り方で面白いですよね。建物だけじゃなく横パノラマで雄大な景色でも試したくなります。

数年前には各メーカーから発売されていたコンパクトデジタルカメラ、通称コンデジはスマートフォンの普及と小型のミラーレスカメラの流行によってその多くが姿を消してしまいました。小さく薄くて便利ならスマホだし、小さくてよく写るならミラーレスカメラに勝てないからです。本モデルは薄れゆくコンデジの存在価値の中で生き残っていく為に進化して、小さくて便利でしかもよく写るということに挑戦し、それを見事に実現させたところがすごいと感じました。写りはもはや一眼レフと肩を並べながらこのコンパクトさを思えば、価格面でもそう高くはないのではと思います。問題はEOS M5などのMシリーズと迷うのも楽しいところですが、レンズ交換要らず、この一台で標準ズーム域をカバーしてくれるわけですから、持っていて損はありません。何しろ写り、AF、操作性にすべてにおいてコンパクトデジタルカメラの最高峰といえる一台ですから。(Z II)


  • PHOTO YODOBASHIシルバーやゴールドのような光ものを撮る時は写り込みの扱い方が重要になってきます。カメラの位置を微妙にずらしただけでも、被写体の表情は変わってきます。ハイライトも飛びすぎずシャドーも粘っていてAPS-Cセンサーの広いダイナミックレンジを感じます。(A.Inden)
  • PHOTO YODOBASHI逆光でハイキーに撮影しています。露出オーバになっているハイライトが少し滲む柔らかい描写は、優しい雰囲気を表現したい時のいい武器になりそうです。(A.Inden)
  • PHOTO YODOBASHI真逆光で入れた太陽の光条が美しいです。絞り羽根の数は光条に影響します。枚数が偶数で絞りの枚数の光条が、奇数で絞り羽根の倍の光条が現れます。PowerShot G1 X Mark IIIの絞り羽根は9枚なので18の光条が現れます。(A.Inden)
  • PHOTO YODOBASHIシャッタースピードを変えながら噴水の軌跡を狙ってみました。普段は回折現象(絞り込んで撮影した時に発生することのあった解像感を低下させる原因となる現象)を恐れ、思い切って絞れないのですが、DIGIC 7による光学情報を活用した補正で現象は最大限に抑えられているため、絞りを自由に変えることができました。(A.Inden)
  • PHOTO YODOBASHIこちらは「星空夜景」で撮りました。もはや人間の目をはるかに超えていて画面を見てこんなに星あったの?!と、よぉーく夜空を見ると確かにあるのですよね。もちろん本格的に星空を撮っている方には邪道だとか言われるかもしれないですが、それにしても技術の進歩に感心するばかりです。(Z II)
  • PHOTO YODOBASHI秩父神社には「お元気三猿」という猿の彫刻があります。日光の「三猿」とは正反対で、よく見て、よく聞いて、よく話そう」という意味だそうです。秩父にお越しの際は見てみてはいかがでしょう。それにしても素晴らしい立体感の描写です。(Z II)

(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)


PHOTO YODOBASHI

最強のコンパクトデジタルカメラ。

APS-Cというセンサーサイズを考えても、35mm判換算で24-72mmという標準域をカバーする新開発のレンズをとってみても、正直、これはもうLレンズを一本買い足す感覚で持っておきたいモデルではないでしょうか。最新の映像エンジンDIGIC 7は緻密で濃厚な画作りで、JPEG撮って出しで十分作品になりうる画を生み出します。小型軽量、レンズフィックスモデルならではのセンサーとのマッチング。撮った画を見たときの感動は、もはや一眼レフを持ったときと変わらぬレベル、いやそれ以上かもしれません。もちろん、レンズ交換式のサブカメラとしても最高の仕事をしてくれるはずです。大型センサーならではの豊麗なボケ、2420万画素という高画素によるディテールの再現力、広いダイナミックレンジ。すばやく、正確なAF。写真を撮る際に必要な機能がすべて高次元でパッケージングされ、使ってみればなんら不満なく、もうこの一台でいいような気さえするほどです。センサーの大型化を実現しながらも重量は154gも軽く399gとなり、14.8mmも薄くなって、前モデルよりも大幅に小型軽量化していますから、いつでも鞄に入れておくことができる。どんな人にもフィットする理想的なカメラであり、コンパクトカメラとして、その機能面、描写力ともに「最強」の一台といえるでしょう。

( 2018.01.24 )

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キヤノン初の、APS-Cサイズセンサー搭載のコンパクトデジタルカメラです。最新の機能と最高の画質を一台に凝縮しながらも、小型軽量。タッチパネル操作も可能なバリアングル液晶ですから、撮影アングルもフリー。幅広いシーンで活躍してくれること間違いなしの一台です。

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本モデル専用のレンズフードです。画角外から入ってくる不要な光を抑制し、フレアやゴーストの発生をおさえます。アルミニウム採用の金属製フードはスタイリッシュなデザインで、装着時のスタイリングもベストマッチです。

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カメラをキズ、衝撃から保護してくれる、専用設計のケースです。上蓋を撮り外すだけで撮影が可能な速写ケースタイプですから、カバーやケースから撮影の際にいちいち取り出す手間も省け、スムーズに撮影に入れます。

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小型軽量ながらも、さまざまな機能を持ち、パワフルに動くモデルですから、予備電池はそれなりの数を持っていたいもの。専用のリチウムイオン充電池はこちらになります。

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