PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Canon EOS-1D X Mark II, EF24-105mm F4L IS II USM, 1/640, F4, ISO 3600, Photo by A.Inden

Canon EOS-1D X Mark II / SHOOTING REPORT

ミラーレスカメラの隆盛を受けて、デジタル一眼レフカメラが少々押され気味なのかと感じる方も多いかもしれません。しかし結果を残すことが大前提のプロの現場では、デジタル一眼レフはやはり頼りになる機材なのです。交換レンズの豊富さ、フィルム時代から培われてきたシステムとしての歴史、積み上げられた信頼と実績、それらは一朝一夕で成し得るものではありません。ミラーレスカメラは、システムとしてみても随分充実してきました。しかし、まだまだ伸び代のあるこれからのシステムです。私たちはいま、様々な選択肢が目の前に並べられ、本当に佳い時代に身を置いているのかもしれません。さて、メーカーを語る上でその機材だけ切り取って語られても文句の言えないフラッグシップ、EOS-1D X Mark Ⅱの登場です。モデルの性格上、撮り手のニーズを汲みとり熟成を重ねていくのが半ば使命のようなものですから、他のモデルの代替わりのように派手さはないかもしれません。しかし、撮り手が結果を残すために必要なモノを詰めこんで、必ず代替わりした理由が存在します。そのあたり、テストを通じて感じたことをまとめてみたいと思います。旧モデルとのスペック上の対比では、画素数が2020万画素に増加し、コマ速が最高約14コマ/秒(ライブビュー時16コマ/秒)、AFが強化され全点F8対応・測距点がワイドに拡がりました。また映像エンジンがデュアルDIGIC 6+となり、EOS MOVIEも強化され、4K/60PとフルHD120Pが可能となり、他モデルでお馴染みとなったデュアルピクセルCMOS AFが実装されました。映像面の強化は時代を感じさせます。その他フリッカーの対策を講じたりと、プロフェッショナルユースのニーズにしっかり応えるモデルチェンジのようです。作例と共に紹介したいと思います。

( Photography : A.Inden / Text : K )

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AF追従性とフリッカーレスを試す

まず、AFの追従性と、フリッカーレスモードの確認を行ってみました。上にまとめたものが通常モード、この文章の下にまとめたのがフリッカーレスモードで撮影したものです。AFの追従性のよさは流石といった感じです。上にまとめた通常モードでは、フリッカーに引きずられて色味や露出にバラつきがみられます。下にまとめたフリッカーレスモードで撮影したカットは、色味も露出もビシっと合っています。膨大な画像を後処理するのは大変、プロの現場では間違いなく重宝する機能でしょう。

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Canon EOS-1D X Mark II, EF16-35mm F2.8L IS II USM, 1/400, F5.6, ISO 200, Photo by A.Inden

プラス210万画素の意味、2020万画素の意味

キヤノンの一眼レフでも、5,000万画素を超えるモデルがあるなかで、旧モデルから210万画素の上積み、2020万画素というスペックは物足りなさを感じるかもしれません。しかしプロの現場では、350dpi・A4見開きのための撮影で他のカメラを手にするべきか悩まなくなったのは大きいでしょう。先代モデルであっても、A4見開きに用いたでしょう。結果を残すことがすべてといって過言でないプロの世界では、使えることはわかっていても安全パイを握りたいものです。

どのような現場を撮るかわからず、シーンが限定されないからこそ、一発の解像力よりもむしろオールマイティさを求めます。それは何ストップのダイナミックレンジを持つか、階調再現性の高さを持つか、高感度特性がどうなのか、つまり画素数の積み増し(ヨコ)よりも、1画素あたりの懐の深さ(タテ)のほうが重要だったりします。また、EOSのフラッグシップを多数試してきましたが、例外なくコストのかけられたローパスフィルターが奢られているように思います。解像力は高く、曖昧さの感じられない画は、このあたりに支えられている面も多分にあると思われます。画をみれば、やはり流石というべき写りだと感じます。

Canon EOS-1D X Mark II, EF24-105mm F4L IS II USM, 1/320, F4.5, ISO 12800, Photo by A.Inden

ISO 12800で撮影。35mmフルサイズのセンサーで、現状おそらく2400万画素程度が一番“美味しい”ところだろうと感じます。これはセンサー・映像エンジン・その他、カメラを構成するすべてのバランスを見た個人的な見解ですが。本機は2020万画素ですから、さらにそれより余裕があります。ノイズはもちろんそれなりに乗りますが、まず消し込みが巧いのと、解像感が失われることがありません。少し前の世代のモデルであれば、座面の艶は再現できなかったように思います。

Canon EOS-1D X Mark II, EF16-35mm F2.8L IS II USM, 1/5000, F5.6, ISO 6400, Photo by A.Inden

こちらはISO 6400。この感度で現場の雰囲気がしっかり再現されるのが驚きです。少し湿度があり、沈殿する空気がよく写っています。

Canon EOS-1D X Mark II, EF24-105mm F4L IS II USM, 1/500, F4, ISO 6400, Photo by A.Inden

上のカットと同じロケーションで、おぼつかない光の中、突然猫が。AFはまったく迷うことなく狙ったピントピークを捉えてくれました。こちらもISO 6400です。常時通電するミラーレスカメラよりもノイズ的には有利になるのでしょうか。このあたり、また機会があればメーカーの方に伺ってみたいところです。

Canon EOS-1D X Mark II, EF24-105mm F4L IS II USM, 1/800, F4, ISO 200, Photo by A.Inden

少し前までは、飛ばし気味の撮影が難しかったデジタルカメラ。最近は、ハイキー気味でもまったく問題がありません。トーンが飛ぶこともなく、ハイライト側の描写にも余裕を感じさせます。

Canon EOS-1D X Mark II, EF16-35mm F2.8L IS II USM, 1/50, F5.6, ISO 200, Photo by A.Inden

床面の反射、傷、その雰囲気がよく伝わります。それにしても、きれいな光をそっくり捉えられるカメラです。


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欲しかったものが綺麗に盛り込まれた、正常進化

先に記したA4見開きに関する画素数について、AFポイントがワイドになった点、一段と磨きが高感度特性、フリッカーを頭から追いやることができるモードの搭載と、結果を残すために欲しかったものが盛り込まれています。今回カメラマンをつとめたA.Indenは、EOSのフラッグシップは初代から各モデルすべてを使ってきました。昨今のデジタルカメラは、一昔前とちがいかなりの完成度。それでも彼曰く「使ってみればやはり欲しい」とのこと。キレのあるミラー、触れる部分の気持ちよさ、なにより「撮れた」という手応え。一度使えば、もう戻れない。撮り手を高揚させるものがあるのがフラッグシップです。そして、やはり"EOS-1”は今回も"EOS-1”でした。マイナーチェンジのように感じますが、全方位にいまこのタイミングでの再構築が行われています。試すと後戻りできないでしょう。

( 2016.06.02 )

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EOSシリーズのフラッグシップモデル、EOS-1D XがMark IIへ進化しました。画素数、映像エンジン、コマ速、AE/AFセンサー等々、前モデルからほぼ全てをアップデート。静止画・動画どちらにおいても最速・最高を目指したEOSです。

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スマートフォンでも多数採用されたコーニング社製ゴリラガラスを採用した強化型液晶保護ガラス。耐衝撃性・耐摩耗性だけでなく、防汚コートにより指紋などが付着しにくくなった最高級品。一度使うと、お持ちのカメラ全部をこれにしたくなります。ご注意ください。

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EOS-1D X Mark II用のバッテリーパック。LP-E4Nと互換性があり、容量は約10%アップしています。

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本体付属のものと同一のバッテリー充電器です。多数のバッテリーを一気に充電したい時に大活躍。バッテリーの数に合わせて追加しましょう。

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