PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

フルサイズセンサー対応の40mmレンズでは世界初となる、開放F1.2の大口径。ソニーEマウント用のVoigtländer NOKTON 40mm F1.2 Asphericalが登場しました。「NOCT」は夜という意味を持ち、フォクトレンダーのレンズで開放F値がF1.5よりも明るい(ダブルガウス型)レンズに「NOKTON」という名称が与えられています。小さいながらも金属製の鏡胴。手にしたときに感じるひんやりとした感触とほどよい重量感は“いいモノを持っている”という所有感も満たしてくれます。ソニーαシリーズボディとのマッチングもよく、写りを見る前にそのスタイリングにも目を奪われるのではないでしょうか。全長59.3mm、最大径70.1mmというコンパクトなサイズに両面非球面レンズを最前面、最後面に一枚ずつ配置。積極的に絞り開放での撮影を楽しみたい一本です。特にF1.2だからこそ楽しめる大きくなめらかなボケは、メインの被写体を想像以上に際立たせてくれます。このサイズのレンズに対しては420gとやや重い印象ですが、その重量感は手にしたときにきっと納得できるはずです。本レンズはソニーEマウントに最適化されており、電子接点を搭載。Exif情報にレンズの使用状況が反映されるのはもちろん、距離エンコーダーも内蔵していますから、カメラボディの5軸手ブレ補正にも対応します。また、フォーカスリングを回した際には、ファインダー内での拡大表示も可能です。AFレンズが主流のなか、あえてMFのレンズを使うというのは億劫に思えるかもしれませんが、ファインダーを覗きながら、思ったところにぴったりとピントを合わせることができると、仕上がった画のキレも違います。40mmという画角は数値だけ見ると、35mmに近い印象を持つ方も多いかもしれませんが、実際に使ってみると、50mmの標準レンズ側に近い感覚。また、40mmは「汎用性に優れた」画角と評されることが少なくないのですが、実際どうなのか。そのあたりは作例で実際にご覧になっていただきたいと思います。


SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

長浜海岸から、三崎旧市街へ

SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

F1.2を易々と「普通のレンズ」にしちゃったノクトン先生

昔から明るいレンズはありました。F1.2やF1.0のライカ・ノクチルックスはその代表格でしょうし、キヤノンがF0.95という驚異的な50mmレンズを作ったのはなんと1961年(昭和36年)のことです。その後もニッコールの58mm、55mm、50mmでそれぞれF1.2があったりと、「あることはあった」んです。この微妙な言い方は何かと言うと、背景のボケ味や周辺の描写を見ると、やはり「特殊なレンズ」と言わざるを得ない写りだったんですね。

時は流れて2017年。いまでは「F1.2」と聞いても、そんなに驚かなくなりました。写りも昔のレンズとは全然違って(当然ですが)、ボケがぐるぐると渦を巻いたり、周辺が盛大に流れるようなこともなく、自然な描写に近づいているように思えます。が、依然としてF1.4とF1.2の間には厳然とした壁があるような、なんというか、違和感?を感じていました。いままでは。

このノクトンを使ってまず思ったのは、その「違和感」がまったく無いということ。当然、すべて開放での撮影ですが、周辺の描写により厳しいフルサイズという条件を差し引いても、かなりシャープ。背景のボケ味や、ピント面からの繋がりも非常に自然で、「これなら使える!」というのが最大の感想です。開放では、光の強さや加減によってパープルやグリーンのフリンジがわりと出やすいと感じましたが、この大きさでF1.2ですからね。それを考えれば「だからどうした?」という感じではあります。

ロケは三浦半島の長浜海岸と三崎旧市街。「旧市街」と言っても、「新市街」なんかありません。私が好んでそう言っているだけ。そういう呼び方が(良くも悪くも)ぴったり来るところです。寂れてはいますが、私はこの町が大好きで、もう何十年も、思い出したように訪れるところです。(NB)


SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

いつものこと

SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

絞り羽根は要らない?!

毎日のように見ている(ようで見ていない)ものを、開放F1.2のみで撮影し続けました。ピント面は非常に薄く、SONY α7 IIでのMFの拡大表示がとてもありがたく感じました。NOKTON 40mm F1.2 Asphericalを装着したα7 IIを手にすると、心地よい重さ、そして金属鏡胴のしっかりとした作りが、撮影する気持ちを高揚させてくれます。ほどよいトルク感のピントリングはF1.2での微細なピント合わせもとてもスムーズに行うことができました。開放F1.2のレンズというのは現在、世の中にさほどたくさんは存在していませんし、F1.2という開放値では開放から本当にイケるのかな?というちょっとした懐疑心も起こるものです。今回は本当に「F1.2のみ」で撮影したので、秋晴れの屋外ではやはりシャッタースピードが足りず(α7 IIは1/8000秒まで)、日陰や屋内に移動しました。NDフィルターがあれば問題は解決しますから、開放での撮影を積極的に楽しみたい方は、ぜひ一枚携行することをお勧めします。話が逸れてしまいましたが、F1.2で撮った画を見てみると、まずピントピークのキレの素晴らしさに感激します。なんと説明すればわかりやすいかなと考えたのですが、見たい部分を集中して見ているときというのは見ている部分以外はぼんやりとしていますよね? まさにそんな様相です。いや、実際は自分の目で見ているよりもクリアに写っていますが…。よく言われる「空気感まで写る」みたいな感じではなく、とても自然な奥行き感なのは40mmという画角のおかげかもしれません。金属や肌、植物などそれぞれの質感の描き分けも見事で、描き出す線は細すぎず、こちらも自然な印象を受けました。そして、MFですから合わせた部分にきっちりとピントが合っている。当たり前のことなのですが、PCで拡大して見たときに思わず唸ってしまうほどです。合焦部のキレのよさが素晴らしいので、メインの被写体がとても立体的で背景との分離感がすごい! 説明をしなくても、見せたい部分に人の目が自然に誘導されると感じました。最短撮影距離は35cm。標準レンズよりもう少し寄れるというのも魅力のひとつではないでしょうか。被写体にグっと近づけば、さらにF1.2のボケを堪能できます。もちろん四隅までしっかり解像感が欲しい自然風景の撮影などでは絞って撮影した方がいいのですが、メインに据えたい被写体、伝えたいメッセージがしっかりと決まっている場合は、F1.2という開放値がその威力を発揮してくれ、画に力を与えてくれます。(Rica)


  • PHOTO YODOBASHI絞り開放、ピントはボートの舳先から伸びているキールが曲線を描いているあたり。そこから遠景に繋がる描写に、まったく破綻はありません。これは本当にいいレンズです。(NB)
  • PHOTO YODOBASHIISO1600まで上げており、F1.2の明るさを生かしているわけではないので本編には入れませんでしたが、注目して欲しいのは画面中央にある電柱から伸びる電線。立体感がすごいと思いませんか? 自分が立っている位置から遠くの夜空までの大きな空間の、その中のある一点に張られている電線の存在感。伝わんねえか。 (NB)
  • PHOTO YODOBASHIマニュアルフォーカスですから、自由にピントをズラして遊べるのもいいところではないでしょうか。実はこれは何の変哲もない近所の社宅の灯りなのですが、ピントを敢えて合わせずに撮影しました。これからの季節はイルミネーションが美しくなりますから、点光源を開放で撮影するのも楽しいですね。周辺にかけては口径食が出ていますが、これも面白さのひとつですから、画作りに生かしたいところです。(Rica)
  • PHOTO YODOBASHI気づけば紅葉の季節も過ぎ、冬に向かっています。毎年のこととはいえ、さまざまに色づいた葉が地面に積もる様子は、つい撮影したくなってしまうものです。F1.2開放では、被写体にグっと近くことでさらにそのボケを堪能できます。撮って出しのJPEGですが、落ち着いたいい色味でこの季節に似合うレンズではないでしょうか。(Rica)

SONY α7 II, Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical

この一本で多彩な世界を作り出す。

開放での大きなボケ、絞った際の凛としたキレのある描写。そのどちらもこの一本で楽しむことができます。デジタルカメラは高画素化が進み、もはや「よく写るレンズ」しか世の中には存在しないと言っても過言ではありません。もちろん、本レンズもその「よく写るレンズ」のなかのひとつではあるのですが、より趣味性の高さを感じることができる一本です。MFですから、スピード感よりはどこにピントを置くかじっくりと被写体と向き合いながらの撮影が多くなります。また、40mmという画角は35mmではもう少し寄りたいシーン、50mmではちょっと狭いかなと感じるシーンの間を行くわけで、広角レンズ的、標準レンズ的な表現をシーンによって使い分けることが可能です。さらに、F1.2という開放値は大きなボケを伴ってとても個性的な画を作り出しますが、絞ると先鋭さが増し、キリっと引き締まった画になります。この絞りによる画の変化をネガティブに捉えるのではなく、本レンズのひとつの個性と捉えることができれば、絞りリングをほんの少し回すだけで新たな世界を切り拓くことが可能になるのです。単焦点レンズはズームレンズのように画角を変えることはできませんが、絞りでの描写の変化、被写体との距離、そしてピント位置の違いなど、自分の手足を使い頭を働かせることで、時にはズームレンズ以上に多彩な世界を作り上げることができます。Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Asphericalを手に、フルオートマティックな世界を離れ、自身の意思を写真で表現してみませんか? 性能が高い、ただそれだけではない「生きた表現」をこの一本がしっかりと支えてくれるはずです。

( 2017.11.27 )

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開放F1.2という大口径の標準域40mmレンズ。Eマウントに最適化されているのでMF時の拡大表示も利用でき、Exifにも対応しています。両面非球面レンズを2枚採用する贅沢な光学設計。被写体をグっと際立たせる大きなボケを堪能できます。

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ガラス、プラスッチックを問わず使用できる、光学レンズ、およびフィルター専用のクリーナーです。アルコールを含んでおらずクリーニング液が素早く乾くため、拭き跡も残りません。一家に一本は常備しておきたい優秀なレンズクリーナーです。

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開放F1.2ですから、よく晴れた屋外などではどうしても絞らなければならない場面が多くなります。それでも開放での撮影にこだわるアナタのために、NDフィルターをオススメします。こちらは光量を1/8にして3絞り分の光量を調整するND8。日常の使用には十分です。

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