PHOTO YODOBASHI

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SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

Carl Zeiss Loxia 2.4/25

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ZEISSからソニーEマウント専用のレンズ「Loxia 2.4/25」が登場しました。元々ZEISSには25mmという焦点距離のレンズはたくさんありますが、Loxiaはソニーαシリーズ専用ということでそのサイズは群を抜いてコンパクトで軽量。形状も根元から先端まで同一口径でスッキリした印象です。よくレンズの写りの良さは使われているガラスの質量で決まるというようなことを聞いたりします。実際、筆者(Z II)が以前担当したMilvus 1.4/25の写りは確かにため息ものでしたが、そのサイズも重量もため息ものでありました。さて今回のレビューでその定説がどうなるのかが楽しみであります。スペックを簡単に紹介しますとレンズ構成は8群10枚で非球面レンズを1枚と各種収差を低減させる特殊レンズが2枚含まれています。絞り値はF2.4〜22。最短撮影距離は0.25mで重量393gはMilvusの約1200gからすれば約1/3の重さです。そしてボディと通信する電子接点も装備してあるので撮影データのExif記録やフォーカスリングと連動したピント拡大表示機能が使えるのはワイドレンズにはありがたい。今回のお題はさりげなくカッコいい大人旅レンズ。例によって題名がまったくさりげなくないですが、とにかく撮る気満々で持ち歩くと言うよりは小さくて軽いこのシステムで特に何を探すでもない気ままな大人旅に出て撮ってみた。と言う設定であります。撮影者は最近野鳥の撮影に目覚めた編集部員TAKに、まさか25mmで野鳥は撮れまいと言いながら渡しました。またボディーは最新のα9ですので写りに関しては誤魔化しようが無いはずですのでじっくりと見ていただけたらと思います。


SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

淡水湖の有人島

琵琶湖の沖島をご存知でしょうか。淡水湖に浮かぶ日本唯一の、橋で結ばれていない有人島で、1.5平方キロメートルほどの小島に約350人が暮らしています。今回 Loxia 2.4/25というレンズを手渡されて、まだ行った事のない沖島に行ってみたくなりました。25mmという焦点距離は、知らないところを気構えることなく撮るのに都合が良い。そう踏んだのです。沖島へは琵琶湖側(近江八幡市)の堀切港から定期船が出ていますので、それに乗り込みいざ出発。早速開放でガラス越しに沖島にフォーカスしてみましたが、既にお釣りが来るほどシャープです。天候、カメラの良さもありますが、それにしても、、、アメイジングです。前ボケもごくごく自然。既に結論が出た気がしますが、まずは島まで行きましょう。笑

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

訪れた日は「漁村の活気!」みたいなものはなかったのですが、それならゆったりした感じを味わってみようかと。島には自動車はありません。代わりにそれぞれの家に船があります。F5.6まで絞ってみましたが、この周辺の落ち込み、イイ感じでしょ?シャープなのはもちろんですが、こうした高周波の被写体の濃淡を丁寧に描いてくれるのも、実にLoxiaらしい。

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

旅に出る時、あまり下調べはしません。が、平日は食事できるところがほとんど閉まっていることは知っておくべきでした(笑)。それでも、こんなあったかいものに巡りあえましたよ。婦人会の方がお土産やコーヒーを売っている所が港にあるのですが、「少し時間かかりますけど、うどんなら作れますよ」と。せっかくですので、いただくことにしました。程なくして出てきたのがかき揚げ二枚に卵まで入った豪華版!まだまだ寒い季節、これは本当に有り難かったです。開放、最短から少し引いた距離での撮影ですが、ボケの具合、いかがでしょうか。

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

所々に木や祠を中心とした小さな広場がありますが、ある意味ヨーロッパの広場に共通する雰囲気がありますね。ご覧の通り、三輪の自転車が主要交通手段です。F8まで絞ってみましたが、隅々までくっきり。直線の歪みも認められません。見たままの広がりを、パッと構えて捉えられる25mm。やっぱり便利です。

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

車が無いので道はこの広さで十分。そして町が実に静かなんですね。そんな中「ガラガラガラ」という音が。本土よりも資源が限られることもあってか、モノというモノを再利用する意識が高い印象を受けました。

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

食べて寝て働いて祈って、、、限られた平地に全ての営みが密集しています。階段の上から俯瞰してみましたが、こういうアプローチでも本当に構図が取りやすい。いいなあ25mm。日陰でのショットですが、コントラストもしっかりついています。実にツァイスっぽい。いや、100%ツァイスなんですが。

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

ボディの性能を差し引いても、素晴らしいハイライトの階調表現です。

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

再び海側へ出て見ましたが、太陽が隠れて拡散光に。開放で撮るとこうなりました。少し淀んだような雰囲気がたまらない。フィルムで撮ったような、ジワリと来る良さがあります。

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

逆光耐性も抜群です。言うまでも無いですが。

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

絵になるんですよ、この三輪車が。もちろん現地では目的を果たすための大切な移動、輸送の手段ですが、二輪ほどのスピードは出ないわけで。つまり、そこまでのスピードが必要とされていない社会、必要としない価値観がある。思索を巡らせながら、シルキータッチのフォーカスリングをじっくりと回す。なんとも贅沢な時間です。

SONY α9, ZEISS Loxia 2.4/25, Photo by TAK

「気持ち良い描写」を定義するツァイスの25mm。

全ての要素で最高点を出すレンズを作れば、サイズもお値段も非現実的になります。また、最高点を出すものと、気持ち良いと感じるものは必ずしも一致するわけではありません。Loxia というシリーズのアイデンティティは、多くの要素で極めて高い得点を叩き出しつつも、情感漂う表現力を備え、かつ扱いやすいサイズに収めたバランスの良さです。この魅力的な路線に、25mmという絶妙な広角が新たに加わったことが嬉しいですね。21mmは広すぎる、28mmはどうも使いにくいという方にはピッタリの焦点距離であり、何となく構えてもそのまま絵になってしまうような懐の深さがあります 。

描写は開放から画面全体にわたり非常にシャープで、絞り込めば鮮鋭度が更に増していきます。ギザギザするのではなく、あくまでマイクロコントラストでもって丁寧に積み上げていく高品位なシャープネスです。周辺の流れは無いと言ってよいレベルで、テレセントリック性に配慮したDistagon設計が効いているものと思われます。周辺減光はありますが、これこそが気持ちの良いツボ。広角らしいトンネル効果でドラマチックな表現を楽しめますし、必要なければソフトで処理できる範囲です。F2.4と控えめなF値ではありますが、フルフレームでは結構ボケますし、ボケ味も距離を問わずうるささがなく、かつ量感を伴いながらボケていきます。総合すると、レンズグルメはもちろん、「写真愛好家」でない人に見せても、良いレンズは何が違うのかがしっかりと伝わる。そんな一本だと思います。

シュッとした直方体の金属鏡胴もコンパクトで実にスタイリッシュ。車もそうですが、大型化の一途を辿る風潮の中で、これだけ細身のものを、しかも同じフィルター径で作ってくれるところも少ないですよ。持った感じや操作感も高級感があって良いことだらけです。ボキャ貧ですみません。良いものは良いとしか書けないもので。あ〜もうLoxia全部揃えちゃおうかな?αボディ買っちゃおうかな?そう思わせてくれるレンズであることは保証します。(TAK)


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ゆるり撮る。

今回のようなロケではLoxia 2.4/25はとても相性が良かったように感じました。狭い路地に電車や車も無いゆっくりとした時の流れの中でじっくりと構図を決め、そこにある何気ない被写体にピントを送りシャッターを落とす。もうそれだけで写っていようがいまいが、きっと口元は緩んでいたことでしょう。といいながらもその写りはご覧の通りキレもボケもZEISSらしさをしっかり残し最新のボディに対しても一歩も譲ることのない描写でした。αシリーズに合わせるためにサイズはきっと制限があっただろうと思いますが、その限られたスペースで最高のバランスを計算し何度も試作し辿り着いたF2.4というのは、一見控えめな解放絞り値ですが写りを見れば全く問題ないことがわかると思います。大きくて重いF1.4のレンズを歯を食いしばって撮ることも決して悪いことじゃないですが、Loxiaはまるで肩の力を抜きなよといっているようにも見えますね。あなたは何のために撮っていますか?という問いがもしあったとして、それに対する応えは人それぞれですが基本的には撮影者が幸せになるために撮っているのだと私は思います。これまでズームレンズに高速AFでもって目を三角にして瞬間を切り取ることに心血を注いできた私にとっては今回のような撮影スタイルはとても新鮮でした。何かと急ぎすぎる世の中、休みの日にこんな時間の使い方も悪くないのではないでしょうか。TAK氏は25mmでも、やはりと言うべきか鳥を追っています。それでいいのだと感じました。

( 2018.02.26 )

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ソニーEマウント専用のフルサイズ広角単焦点レンズ25mm。α7シリーズまたはα9の所有者であれば気になる一本。21mmと28mmの間という絶妙な焦点域が魅力です。

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良いレンズには良いフィルターをつけましょう。純正品で揃えることをお勧めします。

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