PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY α7S, ZEISS Batis 2/40 CF, Photo by TA

Carl Zeiss Batis 2/40 CF

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ソニーEマウント(フルサイズ対応)の単焦点AFレンズ「Batis」シリーズから、6本目が登場。「準標準域」に属する40mmの焦点距離に開放F値はF2。しかも最短撮影距離はなんと24cmで、CFとはClose Focusを意味しているものと推察されます。現時点ではシリーズ内唯一の標準域であり、Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAとの棲み分けも考慮したのでしょうか。面白いところを突いて来ましたね。広角的にも標準的にも使える40mmは熱いファンが多いのです。35mmで出撃すると50mmで撮りたくなり、50mmで出かけた時は35mmで撮りたいシーンに出喰わしませんか?ところが、40mm一本で街に繰り出すと何を撮っても良い具合に収まっちゃうのですよね。そこにF2という必要十二分のスピードと、約0.3倍の最大撮影倍率が加わるとどうなるのか。作例多めで参ります。さあご覧ください。

SONY α7S, ZEISS Batis 2/40 CF, Photo by TA

Just Another Day

SONY α7S, ZEISS Batis 2/40 CF, Photo by TA

SONY α7S, ZEISS Batis 2/40 CF, Photo by TA

SONY α7S, ZEISS Batis 2/40 CF, Photo by TA

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SONY α7S, ZEISS Batis 2/40 CF, Photo by TA

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SONY α7S, ZEISS Batis 2/40 CF, Photo by TA

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SONY α7S, ZEISS Batis 2/40 CF, Photo by TA

SONY α7S, ZEISS Batis 2/40 CF, Photo by TA

写真なんて、鼻歌交じりでちょうどいい。

狙いを定めていない時の「あ、良いな」の瞬間。そんな無意識のままに、ふとシャッターを落とす。鼻歌を歌いながら「今日は良い天気だなぁ」。ときめいた心の「旬」の光景をそのままに、良い感じに写しとめてくれるのが40mmという焦点距離だと思うのです。また、そんな瞬間をそっと封じ込めるには、絞りを開けるのがベストだと感じました。はい、今回は(も)全て開放です。

接写については、個人的にもう少しフレームに余裕を持たせたいところではありますが、あえてググッと寄ってみました。ツァイスの描写で、AFが出来る。もうそれだけで「買い」ですが、そのAFも最短から無限遠まで当然のごとくしっかりと捉えることができますし、フォーカスリミッターを切り替えれば暗所でも迷うことはありません。朝、コーヒーを左手でドリップさせながら、その様を右手で撮影する。側から見たら誠に滑稽な自作自演劇場ですが、それもAFかつクローズフォーカス仕様ならではの芸当なのです。同様に2枚目のカットも、左手に空き瓶をかかえ、右手で撮影しています。ラベルにピントが来ているものもあるのですが、リラックスした雰囲気を重視し少し外したカットを選びました。もちろん座ったままでテーブルフォトもいけますよ。本当に器用なレンズです。

周辺は落ちる傾向にありますが、それがまたじわりと良いのですね。焦点距離40mmに開放F2の優れたバランス。F2とはいえ、中距離にピントを持って来てもちゃんとそこだけ浮き上がってくるのです。収差もわずかながら残されており、立体感やコクのある描写と相まって、一枚の写真から時間軸までも感じられるような表現力にうっとり。光の捉え方も抜群にうまいですね。トルクも実に滑らかでして、クローズフォーカスというだけあって、紙のようなピント深度でも追いやすいように回転角が大きく取られているのも好ましいです。とにかく、全方位でまさにツァイス!と感じさせてくれる一本です。(TA)


  • PHOTO YODOBASHIクリックで等倍表示します。レースを手にした時の手触り。初秋の光の温度。伝わってきませんか?「マイクロコントラスト」(後述)の再現に優れたレンズです。
  • PHOTO YODOBASHI寄りを活かして料理の手順を写真で伝える、なんて芸当も。瑞々しさもよく表現されています。
  • PHOTO YODOBASHIどうですか、この立体感。理屈抜きでゾクッと来ませんか?
  • PHOTO YODOBASHIフォーカスリミッター搭載。寄って寄って楽しみましょう。

PHOTO YODOBASHI

カジュアルでも仕事は丁寧です。

我々撮影者は「撮りたい気持ち」と「機材側の事情」を常に勘案しながら、撮影に臨んでいます。が、このレンズに関しては、レンズ側が非常にフレンドリーなので、「気持ち」全開でいけちゃうわけです。こちらが畏まって「ごめんください」と言っているところに、「開いてますよー」と。「ディスタゴン構成か、ふむふむ!」なんて怒り肩になってたのが、スッと力が抜けていく。肩をクイクイッと揉んで、「もっと楽にいきなよ」と言ってくれるような一本で、カメラマンもそう感じたことは作例を見れば明らかです。

もちろん楽に撮っても、最上級の写りは常に確約されます。濃厚な発色や先鋭度の高いピント部はもちろん、アウトフォーカス部も量感を漂わせつつトロリとボケてくれます。ただ、私が最もツァイスらしいなと思ったのは、同社が常々重要視している「マイクロコントラスト」の再現力です。大雑把にいえば隣り合ったピクセル間のコントラストをも再現する描写性能ということになるかと思いますが、これが優れていると階調再現力がグンと増し、結果として立体感も向上します。これは背景に対して主要被写体を浮かび上がらせるというレベルではなく、その被写体の一部分という、まさにマイクロな舞台での話です。そこの階調を十把一絡げにのぺっと処理してしまうのと、細かく拾い上げて丁寧に再現するのとでは、次元が全く違ってきます。間違いなくツァイスのレンズは後者で、これはもう銀塩時代から全くブレていません。ツァイスで撮るとやっぱり雰囲気が違う、空気が写っている、ネガから焼く時もトーンが粘るからすごく焼きやすい、などと言われてきた理由がよくわかります。

現代のレンズの礎となるレンズ設計を数多く編み出し、あらゆるフォーマットにレンズを供給して来たツァイス。やっぱり別格だと改めて感じました。この緻密で濃密な世界を一度でも味わうと、もう戻れないでしょう。SONYのミラーレスの世界にグイグイ引き込む力を持ったレンズ、引き止めてやまないレンズだと思います。

( 2018.11.15 )

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使いやすくて写りはツァイスでしかも寄れる。もはや万能です。シリーズの中でもかなり軽量ですから、デフォルトレンズとして大活躍してくれるでしょう。

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ツァイスのレンズです。T*コーティング採用のフィルターをぜひ。

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