PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/160, F5.6, ISO 1600, Photo by K

Carl Zeiss Batis 2.8/135

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ZEISSから4本目の"Batis"(バティス)が135mmで登場。これまで18/25/85mmの3本がラインアップされていましたが、135mmの登場で広角から望遠までひととおり揃いました。ZEISSといえば、各種のフォーマットおよびマウントにレンズを供給してきた長い歴史を持ち、その写り・名声はいつの時代も撮り手の心を掴んできたブランドです。その大半がマニュアルフォーカスレンズですが、このBatisシリーズはオートフォーカスが実装されています。ZEISSをAFで使えるなど隔世の感がありますが、ZEISSとSONYの協業の歴史は長く、その関係が佳いものなのでしょう。ボディ側の機能とレンズがよくシンクロして操作上まったく違和感の無いものになっています。今回の本レンズは、手ブレ補正機構が実装された、いわゆるアポゾナー形式のレンズであり、エレメントの構成は11群14枚、特殊低分散ガラスとフローティング機構の採用で、諸収差を高次元に抑え込む設計となっています。ZEISSには過去銘玉と呼ばれるレンズが多数ありますが、とりわけ中望遠単焦点レンズの中で、その存在感は確たるものがあります。ZEISSがこの時代にリリースする135mm、それも70-200mm F2.8のようなズームレンズが市場で大手を振る中、あえてリリースされるわけです。テストもそのあたり楽しませて頂くとしましょう。

( Photography & Text : K )

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/2500, F2.8, ISO 100, Photo by K

見たままに写せるのが「135mm」

夕日の中、佇むバイクを"見たまま"に捉える。物の形を一番見たままに写せるのは、135mmあたりでしょう。被写体は何でも構わないのですが、ためしに撮り比べてみてください。特に人物などを広角から超望遠まで撮り比べてみると、これほどまでに姿形が変わって見えるものかと驚かれると思います。絞り開放での撮影ですが、開放から十二分にシャープ。しかし硬さが感じられない、絶妙な写り。

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/1250, F8, ISO 100, Photo by K

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/400, F2.8, ISO 100, Photo by K

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/160, F5.6, ISO 100, Photo by K

その場で画面構成できる面白さ

街を歩きながら捉えたいシーンを見つけたとします。その視線の先は、おおよそ10〜20mなんてことが結構あるように思います。35mmや50mmをマウントしていれば、そもそも上に並べたようなカットとは別のアプローチで撮影しなければなりませんが、135mmならその場で動かず画面構成が可能。街にぐいぐいと入り込むよりも、少し離れた位置から見つめるようなイメージです。


SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/160, F2.8, ISO 100, Photo by K

ストリートスナップに用いる面白さ

気になったものをファインダーで覗き込む。その時点でかなり切り詰められた画面になっていることでしょう。そこに少しだけ周囲の状況を加味する。これが標準域であれば、周囲の状況の中で気になったものを画面中のどこに配置するか、真逆のアプローチとなります。抽出、引き寄せ、切り詰め、135mmでストリートをスナップするのはなかなか面白いのです。まずは望遠ズームで135mmあたりに固定し、ものは試しに撮ってみてください。ストリートスナップの経験があまりない人ほど、取っつき易いかもしれません。

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/160, F2.8, ISO 500, Photo by K

信号待ちの最中、歩道で談笑する模様を捉える。距離にして4〜5mあたりでしょうか。こんな距離感です。

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/320, F8, ISO 100, Photo by K

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/800, F2.8, ISO 100, Photo by K

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/400, F2.8, ISO 100, Photo by K


SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/320, F2.8, ISO 100, Photo by K

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/200, F5.6, ISO 100, Photo by K

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/2500, F2.8, ISO 400, Photo by K

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/500, F2.8, ISO 100, Photo by K

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/1600, F2.8, ISO 100, Photo by K

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振り回せるボディに相応しいコンパクトさと、銘玉を凌ぐ確かな写り

135mmはわりに好きな焦点距離で、かなり愛用してきました。最も感銘を受けたレンズといえば、LEITZ社の「Hektor 13.5cm F4.5」。緻密でその線の細い描写に魅せられたものです。オールドを含め素晴らしいレンズが揃う135mmですが、最近のZEISSでいえば、Apo Sonnar T* 2/135(一眼レフ用)あたりも印象深いレンズでした。Batis 2.8/135は、そもそもがコンパクトなαシリーズにマウントしても意外なほどに軽量かつコンパクト。標準ズームをマウントしているような雰囲気です。思う存分街中で振り回せます。写りの方は、しみじみと佳さを感じる傾向のもので、諸収差がよく抑え込まれ、クリアでシャープな画を結びます。とはいえ、スカッと抜けすぎ、雑味がまったく感じられないような描写ではなく、少しウェットで、気品の感じられる写りです。開放からシャープですが、全絞りにおいて、どことなく柔らかさを感じるあたりも好ましい。ディスタンス長めのスナップから、画面構成という意味合いでのちょっとしたクローズアップ撮影、バストアップ以上の印象的なポートレート、風景撮影など、あらゆる用途に使いでのあるレンズでしょう。

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/160, F2.8, ISO 400, Photo by Kシャープでありながら柔らかさを併せ持つ雰囲気が伝わると思います。バックまでの距離と被写体を考えると、もう少しうるさいボケになりそうですが、輪郭は丸く、よい雰囲気です。

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/160, F2.8, ISO 200, Photo by Kバックまでの距離が近いと、プレートの上に柔らかいオイルを垂らしたかのようなボケ味に。とはいえ、輪郭が完全に失われるわけではなく、量感はあります。ウェットで、好みの描写です。

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/1000, F2.8, ISO 100, Photo by K

前後ボケ味の雰囲気確認に。

SONY α7S, ZEISS Batis 2.8/135, 1/500, F2.8, ISO 100, Photo by K

開放付近は周辺光量がさすがに落ち込みますが、2段も絞れば問題なし。若干の糸巻きを感じますが、画面隅々までシャープかつ、いやなフリンジ等もありません。画面左上に鳥が写り込んでいますが、色滲みでボケることもなく実にシャープです。

( 2017.05.11 )

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大三元の望遠ズームすら買えてしまいそうなプライスです。でも単焦点レンズを敢えて選んでみる。そこへ足を踏み入れてみないと見えない世界があるのです。

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純正フィルターはT*コーティング。保護フィルターとしてお使いいただけるUV(紫外線カット)タイプです。よいレンズ、美しくコーディネートしましょう。

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