PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA

SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

シグマのEマウントへの新たな挑戦が始まりました。3月のCP+ 2018で発表されたとおり、現行のフルサイズ対応Artラインの9本のレンズをEマウントにも対応させるとのことで、今回はその中の1本である「SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art」の実写レビューをお届けします。これまでにもシグマは、APS-Cセンサーに対応したミラーレスカメラ向けのEマウントレンズの発売やキヤノンEFマウント・シグマSAマウント向けのレンズをEマウントで使うための「マウントコンバーター MC-11」などの発売により、Eマウントへの関わりは持っていましたが、高い光学性能を誇るシグマArtラインのレンズを一気にEマウント化してきたことで、その関わりが1段上のレベルへと上がったように思います。これは我々ユーザーにとって嬉しいニュースですよね。

「SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art」は、35mm F1.4 DG HSM | Artに続いて登場したシグマのフルサイズ対応Artラインのレンズの中でも古参の1本。「50mm F1.4」といえば、長いカメラの歴史の中でも「標準レンズ」と言われてきたスペックのレンズであります。まだ写真と言えばモノクロフィルムだった時代にゾナー型により大口径化が実現し、その後は明るさに加え収差補正に優れるダブルガウス型が長らく主流となっていました。そんな「標準レンズ」がこの10年ほどの間に大きく進化を果たし、焦点距離は多少異なるものも含みますが、LEICA SUMMILUX-M 50mm F1.4 ASPH.ZEISS Otus 55mm F1.4(キヤノンEF)(ニコンF)SONY SEL50F14Z Planar 50mm F1.4Nikon AF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gなどデジタル時代にもフィットした設計で、これまでとは次元の異なる光学性能を持った標準レンズが次々誕生しました。今回ご紹介する「SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art」もその仲間と言える、新しい時代の標準レンズとして相応しい極めて高い光学性能を誇る1本となります。


SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA

皐月

SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA

SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA(画像のクリックで原寸画像を表示します)

SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA

SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA


SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA

like a delightful crispy sound

SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA

SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA

SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA

SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA

SONY α7S, SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art, Photo by TA


何気なく撮った一枚を画にしてしまうレンズ

50mm近辺の開放値F1.4の単焦点レンズを数本所有していますが、それぞれにキャラクターの立っているレンズが多く、用途によって使い分けています。他マウント用になってしまいますが、今回撮影したSIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Artも所有しています。ここからはごく個人的な意見としてお聞き頂けると幸いなのですが、SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Artは、線が細く、とても素直な描写で、プレートの上に油をたらしたようなこっくりしたボケというよりは、透明感のある水、まさに水彩画を思わせるような、ピントから浮き立つボケがとても美しいのです。そのうえAFが使えるといったことから、持ち出す機会が非常に多いレンズです。女性や子供といったポートレートにおいて、特に透明感を演出したい時にはうってつけで、常に期待以上の描写でこたえてくれます。マウントしているボディーはフルサイズなのに、中判を思わせるような階調の豊かさを感じるのです。その描写は写真を送った相手からも喜んでもらえ、自分の腕があがったのではという幸せな錯覚も与えてくれるほどなのです。

浮き立つようなボケ、ということはピントのキレも際立っているということでにあり、今回はこの浮き立つボケとキレを利用して撮影を行いました。開放で主題をアウトフォーカスにおけば浮遊感のある表現になり、主題にフォーカスすれば、ボケにうっとりするような印象的な表現になります。どんどん開放から使って欲しいレンズですが、開放においてボケ量のコントロールによる表現の変化なども楽しめるレンズだと思います。

今までならば、Eマウントユーザーはマウントアダプターを介してのみ本レンズを使用できたわけですが、ネイティブマウントになったことでAFの合焦精度や、合焦のスピード感など気になる点もおありかと思われます。AF測距点の自由度の高さはEマウントの優位点でありますが、Eマウント利用時に私がよく使うのは中央一点での測距です。おおよその画角が頭に入っている方であれば、主題をどこに持ってくるかによってAF測距点をあらかじめ移動させておくという方法もアリですね。今回はほとんどのカットが開放F1.4で撮影していることもあり後述の方法を多用しましたが、咄嗟にシャッターを切っても本レンズのAFはきっちりこたえてくれました。逃した!等とストレスをためることもありません。またAF/MFを切り替える手間なくフルタイムマニュアルが使えるのが良いですね。最短距離付近での撮影で、まずフルタイムMF、それからAFという方法を良く利用しました。もともとのAFの精度も高いので、ピントのピークを詰めるという使いかたではなく、よりスピーディーに、という意図での利用です。このあたりは、皆様それぞれに使い方はおありかと思われますが、この機能は私にとって結構嬉しいです。次にボディーバランス。今回ボディー内手ぶれ補正の搭載のないSONY α7Sにマウントさせたのですが、お世辞にもボディーバランスが良いとは思えないバランスだと撮影前までは思っていました。マウントとレンズの接続部が若干心許ない感じは受けたものの、取り回しに不都合を感じるシチュエーションは一切ありませんでした。一見したときに感じるアンバランスさは、実際に使っているときには感じないということです。やはり“Art”と称されるだけあり、使い出のある頼りになる優秀なレンズです。これだけの性能を考えれば、見た目のアンバランスなんて眉毛についた塵のようなものですね。(TA)



  • いかがでしょう、この浮き立つようなボケ。購入理由は、もうこれだけで良い気がします。

  • 前ボケと後ろのボケの感じです。ピント面の質感描写も良いですね。

  • 忘れ物かな?とおもいつつ何気なく撮った1カットですが、このレンズで撮れば、なんでも画にしてしまうところが素晴らしくないですか。

  • きてます。階調表現が豊かでピントにキレがあるからこその、この描写です。肌描写もナチュラルで良いですね。

(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)


PHOTO YODOBASHI

「よく写る」その先が欲しい方へ。

いかがでしたでしょうか。このレンズの高い描写力はフォトヨドバシでもニコンマウント版キヤノンマウント版のレビューで既にたっぷりとご紹介しています。その高い総合力、高い光学性能は多くの方にとってご存知のことではないかと思いますので、今回のレビューでは本レンズのような最高クラスのレンズが描き出す「ボケ」と「キレ」に注目して撮影を行いました。ピントピークの鋭いキレ、そしてアウトフォーカスの繊細で美しいボケ。その2点に注目するだけでも、このレンズの存在意義を感じていただけるのではないかと思います。

本レンズは、ソニーEマウントにネイティブで対応したことにより、α7/α9シリーズのボディ内手ブレ補正、周辺光量補正・倍率色収差補正・歪曲収差補正等のレンズ補正にも完全対応しています。また「マウントコンバーター MC-11」ではできなかったAF-Cモードにも対応し、純正レンズと同様に何の不足もなくご使用いただけます。1本は持っておきたい“最新設計の標準レンズ”。いくつかあるEマウント向けの選択肢の中でも、本レンズは検討に値する1本ではないでしょうか。

( 2018.05.31 )

Loading..
Loading..

高い性能ゆえ大柄なレンズの多いArtラインではありますが、50mm F1.4は比較的コンパクトですから、α7/α9シリーズでも扱いやすい1本ではないかと思います。超高性能をどうぞ味わってください。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

今回のレビューで使用しましたα7S。先日公開しました「ソニー特集:忘れ得ぬ名機たち Vo.2」でもご紹介した名カメラです。今も新品をご入手いただけます。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

こちらは、ベーシックタイプの純正保護フィルター。備えあれば憂いなし。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

サファイヤガラス以上の硬度を持ったガラスを採用したハイエンド保護フィルター。Artラインなどのプレミアムなレンズに相応しい1枚です。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..