PHOTO YODOBASHI

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SIGMA fp, 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by A.Inden

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary

手のひらに収まる中望遠90mm、SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary の写りをSIGMA fpとの組み合わせでお届けします。本レンズはミラーレス一眼に最適化されたコンパクトな単焦点レンズ群「Iシリーズ」の1本であり、重さ295g、全長59.7mmというサイズが第一の魅力。Lマウント用レンズということで SIGMA fp に装着してみれば、ぎゅっと凝縮感あるミニマルな姿にときめきます。手触りにまで神経を注いだのでしょう、アルミニウムの外装やしっとりとしたリングの動きなど作り込みは見事で、絞り羽根も9枚、10群11枚のレンズ構成など手抜きは一切ありません。焦点距離90mmということで、被写体を引き立てる写りや豊かなボケに期待ができます。早速フィールドに連れ出して、その写りを確かめてみましょう。

( Photography : A.Inden / Text : Serow )

SIGMA fp, 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by A.Inden

日の傾いた時間、強烈な逆光の場面です。さすがにフレアは出ていますが素晴らしい逆光耐性で、ここまでクリアに被写体を描いてくれました。少し離れた位置の被写体をしっかり際立たせてくれるのが中望遠らしくて良いですね。波打ち際の描写を辿っていけば遠景まで緻密に描写しているのがわかります。

SIGMA fp, 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by A.Inden

ぐっと目線を近づけて街角のスポーツカーを1枚。近距離となれば被写界深度も浅く、豊かなボケが得られます。ボケ味はご覧の通りスムースでクリーミー。視線が自然にピント面に誘導され、記憶を呼び起こすような印象的な写真に仕上がります。艶めかしい塗装の質感にも、エンブレムのシャープなエッジにもため息が出ますね。

SIGMA fp, 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by A.Inden

90mmのレンズながら最短撮影距離50cmということで、日常的なスナップで「寄れない」と感じることはありません。広角・標準レンズのようなサイズ感ではないので視界を軽やかに大胆に切り取っていくことができます。公園の水道を大きく画面内に配置した本カット、口径食は見られますがクリアに水のシルエットを描いてくれました。水の透明感を見れば収差がよく補正されていることがわかりますね。この距離だと背景はすっかり溶けてしまいます。

SIGMA fp, 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by A.Inden

被写体と背景が分離した立体感ある描写は、この焦点距離ならではのもの。金属はもちろん樹脂の質感まで識別できるのではないでしょうか。このぐらいの距離では背景も完全に形を失うことなく、ボケのなかに輪郭が残っています。中距離に被写体を置くと実に「おいしい」レンズだと思います。

SIGMA fp, 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by A.Inden


SIGMA fp, 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by A.Inden

少し絞って遠景を狙えばその解像力に唸ります。画面隅々まで曖昧さのない描写となり、まさにレンズ性能の本領発揮。風景をズバッと切り抜いて後から原寸で眺めてみれば、画面内に詰まった情報量の多さを楽しんでいただけると思います。直線らしい直線も気持ちがいいですね。ミラーレスシステムのメリットを活かしカメラ側の光学補正機能も活用することで小型高性能のレンズを実現しているとのことですが、SIGMA fp に"純正レンズ"という組み合わせだから安心です。

SIGMA fp, 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by A.Inden

絞りを開いて遠景を狙えばどうなるか。まったく見劣りのしない強烈な写りです。開放でもこれだけシャープに被写体を描写し、周辺まで乱れないのですから本当に驚きですよね。画面内に少し入った前ボケと若干の周辺減光が独特の雰囲気を醸し出し、むしろ印象的なカットになったと思います。

SIGMA fp, 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by A.Inden

少しややこしい被写体を切り取ってみました。濁りのない色とピント面のシャープネス、なめらかで美しいボケの効果もあって、極めて明瞭に被写体を識別することができます。ミラーレスへの移行とシステムの成熟が進み、画質は明らかに一段階上がりましたね。その昔、シャープなレンズというのはこれほど品の良い写りではなかったように思います。

SIGMA fp, 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by A.Inden

意外と言ったら恐縮ですがAFもかなり良い出来です。空飛ぶ被写体に巡り合って慌ててフォーカスした一枚ですが、スパッと一発で決めてくれました。SIGMA fpを選ばれる方なら機材に多少の癖があっても使いこなしてしまうものと思いますが、本レンズは性能面も使い勝手の面もクオリティが高く、素直に使っていて楽しい1本です。

SIGMA fp, 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by A.Inden


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常用90mmという新しい視点

SIGMA fp に装着したこのサイズ感。まるでコンパクトカメラのような出で立ちで中望遠の世界が得られるのだから、面白いというほかありません。この大きさだからこそカバンの中に詰め込んで日常的に連れ出せるのですし、持ち歩いていればこそ撮れる写真があります。写真趣味の皆様が持ち歩いてきたコンパクトカメラには、ふつう広角ないし準広角のレンズが搭載されていたと思うのですが、これは目の前の光景を収めることに適した画角です。これを90mmレンズに替えてみたらどうなるでしょう。目線はきっと印象的なシーンを切り抜くように、被写体を慈しむように変わっていくはず。常用レンズとして90mmを選ぶだけで、日常の切り取り方が変わってくるのです。こうした経験こそコンパクトで優秀な中望遠レンズが私たちにもたらしてくれる価値と言えましょう。

クリアで繊細な描写、美しいボケ、使い勝手のよいAFや最短撮影距離など、このサイズ感を考えれば驚異的なパフォーマンスのレンズだと思います。金属の質感と手触り、操作するたびに感じる手応えや重みなど、Iシリーズが大切にした世界は手にすればわかります。SIGMA fpはもちろん、他のLマウントのカメラにも組み合わせてみてください。90mmレンズ1本で撮り歩く日々をお楽しみいただけます。

( 2021.11.04 )

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この性能、このサイズ、この作りで、このプライス。役割も被りにくく、防湿庫に追加しない理由を考えるのは困難です。

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フィルターサイズは55mm。フードを付けずに運用するならプロテクターはつけておきたいですね。

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