PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden

PENTAX KF / SHOOTING REPORT

リコーイメージングより、2021年に発売された「PENTAX K-3 Mark III」に続き「PENTAX KF」が新しく登場。一眼レフデジタルカメラがフルサイズからAPS-Cまで3機種ラインアップされました。ペンタックスが2020年に「一眼レフを作り続ける」と宣言してから矢継ぎ早の新製品発売に、一眼レフへの熱い想いが感じられます。さすが日本で初めて35mm判一眼レフカメラを世に出したブランドです。本カメラはAPS-Cのスタンダードモデルに位置付けられています。有効画素数は2424万画素ですが、ローパスフィルターレス設計、リアル・レゾリューション・システムと画素数を超えた高解像を実現。さらに、センサーを磁力で浮かせたボディ内手ぶれ補正機構「SR(シェイクリダクション)」、防塵・防滴、-10度耐寒動作保証とさまざまな条件で安心して撮影できる仕様になっています。またSR の効用を活かした「自動水平補正」「構図微調整」「ローパスセレクター」「ダストリムーバル」「アストロトレーサー」など便利な機能も充実しています。一眼レフの肝であるファインダーは、ガラスペンタプリズムを採用して視野率約100%、倍率約0.95倍としっかりピントを追い込めるハイエンド機のクオリティ。そんな光学ファインダー越しに、リアルな光を感じながら撮影してきました。

( Photography & Text : A.Inden )

PHOTO YODOBASHI

ミラーレスカメラのような佇まいですが、ガラス製のペンタプリズムがコンパクトなボディに収まっています。ペンタ部上部にはポップアップ式のストロボが内蔵されています。

PHOTO YODOBASHI

簡単に仕様を紹介します。センサーサイズAPS-C、Kマウント。外形寸法は約125.5×93.0×74.0mm、質量は約684g(バッテリー、SDカード込み)。ISO 100~102400、 シャッタースピード1/6000~30秒、連写速度は最高約6コマ/秒。ボディ形状は、大きく握りやすいグリップ、立体的な十字キーボタンなど手袋をはめた状態での操作しやすさも考えてデザインしているとのことです。

PHOTO YODOBASHI

液晶モニターはバリアングル方式の3.0型・約103.7万ドット。ローアングルなどファインダーを覗きにくい条件ではミラーレスカメラのような使い方も可能です。


PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden

光学ファインダーで一番メリットに感じているところは、リアルな光を直接自分の目で判断して見れるところです。人の目は暗いところは明るく、明るいところは抑え気味にと瞬時に見え方を調整してくれます。つまり、ファインダー隅々まで明暗差に関係なく確認しやすくなります。シャドウから出てきた親子を光線の中にぴたりと収めることができました。

PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden

逆光でアンダー撮影する背面液晶やEVFだと人物が暗くなり表情が読み取りにくいことがあります。光学ファインダーであれば、人物の表情は暗くならずに確認することができます。写真になってしまえば判別できないかもしれませんが、撮った瞬間「よし!」と気持ちが高まりました。


PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden

こちらはミラーレスカメラのようにライブビューで撮影。クローズアップでピント位置が微妙だったので、背面液晶でしっかり確認しました。PENTAX KFは光学ファインダー時のコントラストAFとライブビュー時の像面位相差AFと異なる2つのAF方式を採用しており、撮影条件に合わせて選ぶことができます。

PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden

滑らかな階調を感じる描写です。ファインダーではシャドウはもっと明るく見えていたのですが、上がりを想像しながらシャドウをギリギリまで切り詰めた露出で撮影しました。光学ファインダーでの撮影は露出を悩みながら決めることが多かっただけに、イメージ通りに上がった時の喜びもひとしおです。撮った後すぐに液晶で確認できるので大きな失敗はないのですが。

PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden

面白い形の光に出会ったので、自動露出(AE)で何も考えずにシャッターを切りました。AFはボディ内駆動モータでレンズを動かすため音はしますが、動きはスムーズで迷うことなくピントは合います。

PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden


PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden

ISO 6400で撮影。暗部に若干ノイズが感じられますが嫌な出方ではありません。イルミネーションは細かな電飾まで潰れることなくクリアに再現されています。

PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden

smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WRのテレ端55mm(フルサイズ換算85mm相当)で撮影。シャッタースピードは1/5秒。手持ち撮影が難しい条件でも情緒ある写真が撮れました。一眼レフは目をファインダーにつけることでカメラのホールドは格段に良くなりますが、ここまでの解像感を見せるのはボディ内手ぶれ補正4.5段が十分な効果を発揮しているからではないでしょうか。

PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden


PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden

手ぶれ補正SRを応用したペンタックス独自の技術「リアル・レゾリューション・システム」で撮影。イメージセンサーを1画素ピッチずつ動かしながら4枚を連続撮影し合成することで、1画素の中にRGB各色の情報を得て曖昧さがない超高精細画像(画素数は変化しません)を作り出します。ノーマル撮影と比べると、文字の輪郭がクリアになりキリッとした写りになりました。RAW保存も可能ということで、撮影後の調整もデータを劣化させることなく行えます。(※画像のクリックで原寸画像をご覧いただけます)

PENTAX KF, smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6AL WR, Photo by A.Inden


PHOTO YODOBASHI

キャリアに合わせ長く付き合えるカメラ

PENTAX KFの魅力は視野率約100%、倍率約0.95倍のハイスペックな光学ファインダー。実際覗いてみるとクリアな見え方に驚かされます。久しぶりに一眼レフとじっくり付き合ってミラーレスとは違う使いやすさを再認識しました。それは、自分のイメージ通りにするためアンダーやオーバーに極端に振った露出でも、ファインダーの見え方は変わらないということ。たとえば逆光で人物を暗く落として撮影したい場合でも人物の表情は露出に関係なくクリアに見えます。写真の面白さの一つは露出コントロールだと考えると、露出を追い込んだ後でも細部まで確認できるのは大事なことではないでしょうか。一眼レフにフォーカスを当てましたが、ライブビューで確認しながら撮影することも可能です。またレビューで紹介しきれませんでしたが、カスタムイメージやデジタルフィルターなど描写をコントロールする機能も充実しています。つまりミラーレスカメラのようにも使えるということです。写真に慣れていない方であれば、ライブビューで上がってくる画を確認しながら確実に撮る。少し慣れた方、撮るプロセスまでも楽しみたい方は光学ファインダーで上りをイメージしながら撮る。キャリアに応じた使い方ができるカメラではないでしょうか。リーズナブルな価格の本カメラ、写真とじっくり付き合っていきたい方にお勧めの一台です。

( 2022.12.27 )

Loading..
Loading..

本格的な光学ファインダーを持つ一眼デジタルがこのお値段。入門機として是非お勧めしたい一台です。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

一眼レフはバッテリー持ちがいいのですが、星空撮影をする場合は予備のバッテリーがあれば安心です。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..