PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

Nikon NIKKOR Z 17-28mm f/2.8

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

今回レビューをお届けするフルサイズ(FXフォーマット)対応、開放F2.8通しの超広角ズームレンズ「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」が先日リリースされました。Zマウントの純正レンズで広角ゾーンをカバーするズームレンズには、既に2本の先輩が存在します。大口径の「NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S」とF値を抑えたコンパクトな「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」。いずれもS-Lineに属するレンズですから、ちょっといいお値段です。そんな状況の中、嬉しいことにリーズナブルな「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」の登場です。しかも軽量に仕立て上げられているではありませんか。件の2本との比較にとどまらず、全長約101mm、重量約450gという数字だけを見ても、超広角ズームレンズとしてはかなりコンパクトな部類に入るのではないでしょうか。さらにはズーム時に全長が変化しないインナーズーム式なので軽量コンパクトに加え、安定感のある操作性が期待できます。また、表現力においては被写体との距離も詰めやすく(最短撮影距離:0.19m/17mm時)、より印象的なパースペクティブ表現にトライできそうです。しっかり寄れるということで、超広角ズームでもボケが楽しめるとあって積極的に絞りを開きたくなるというものです。前説はこのあたりにして、本レンズの実力の程どうぞご覧ください。

( Photography & Text : KIMURAX )

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

絞り開放からフォーカスエリアでトップギアの解像力を見せつけてくれるレンズという印象です。主役さえ決まってしまえば絞り要らずと言ってしまってもいいレベルなのですから。ただ、あまりにも太陽が強すぎたこともありこちらのカットは開放から2段絞っての撮影ですが、奥から手前まで被写界深度に収まっている感たっぷり。隙のない端正な像を結んでいます。肉眼レベルの話で申し訳ないのですが、F5.6を超えても解像感の変化はほとんど感じられず。風景だからといって無粋に絞り込む必要はなさそうです。忘れてましたが逆光耐性、ご覧の通りかなり高いことがおわかりいただけるでしょう。

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

高コントラストなシーンが続きますが、潰れず、飛ばず。絞り開放から明暗しっかり描き切っており、古ぼけた木の質感から暖簾の風合いまでもきちんと再現されています。柔らかな被写体ですがキレを感じさせる描写です。

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

主役に近づくほどに背景はボケていきます。ワイド端17mmですが最短まで寄り切らなくてもこんな表現ができるのですから、かなり使いでのあるレンズです。

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

寄り切れるのはワイド端ですが、このカットのようにテレ端では0.26mまで寄れます。標準から中望遠あたりの寄れるレンズでこの距離感でしたら、ピント面が薄すぎて絞る必要も出てくるかと思いますが、開放からこれはこれでいい塩梅の深度です。ボケの連なりも自然で、収差の類も巧く抑えられています。


Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

直線は直線としてびしっと通す。気持ちのいい伸びやかなワイド端での撮像です。

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

ワイド端での歪曲チェックもしておきましょう。ガラス面に映し出されていたドットを真正面から捉えましたが、歪曲は認められず。像の流れもないという優秀さです。


Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

ズーム中間域で厨房側から。お客さんがいるフロアより厨房の方が広々感じる、広角特有のパースペクティブ表現は面白いですね。

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

艶感たっぷり。流麗なプレスラインまで見事にトレースし、階調の連なりも至ってナチュラル。収差による点光源の影響も殆どなさそうです。

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX


Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

いくら寄れるレンズとはいえ、警戒されたら即フレームアウト。ファインダーはあきらめ、そーっと腕を伸ばしての撮影です。AFは素早く確実なものですから、あっさりこの通り接近戦をものにすることができました。ところで、クローズアップ撮影時は被写体を凝視するあまりフォーカスブリージング(ピント位置を前後に移動させた時に生じる画角変動)が起こると結構不快なものですが、本レンズにはそんな心配は必要ありません。

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

開放から実にシャープな像を結びます。ダメ押しのようなカットですね。

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

溜まった水、たっぷりと水分を含んだ土、おぼろげな空の写り込み。目の前にあったものが、ここにそのままある。ただそれだけのことと言ってしまえば、確かにそれだけなのですが。それが、リアルなのでしょう。


Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX

Nikon Z 5, NIKKOR Z 17-28mm f/2.8, Photo by KIMURAX


PHOTO YODOBASHI

身軽さと気軽さと心強さ。

よく写ります。まったくもって不満のないレンズです。収差の類もきちんと抑えられ、ズーム全域に渡って実に優等生的な働きぶりではないですか。隙が見当たらないということで優等生と書いてしまいましたが、面白みに欠けるということではありません。クローズアップ時には超広角ゾーンでもボケが楽しめますし、17-28mmのたった1.6倍のズームで広がりの印象がガラッと変わる画が得られるのですから。ワイド側が17mmと数字だけ見ると、ちょっと控えめなのではと一瞬思うかもしれませんが、本レンズからの上がりを見る限りなかなかいい落としどころなのではと感じました。軽量かつコンパクトにして、超広角ゾーンが孕みやすい収差やパースの付き方とどう折り合いをつけるのかという意味で。もちろん価格の面でも。“S-Line”という選択肢しかなかったZマウントの広角ズームレンズに新たな選択肢が増えたことは大変喜ばしいことです。さらにはその写りに、妥協が見当たらないのですから。いつでも、どこでも、ここぞという場面での心強さがあるのは何よりです。

( 2022.11.29 )

Loading..
Loading..

無印の超広角ズームレンズを待っていた、というZマウントユーザーの方々の期待を裏切らない仕上がり。どうぞ心行くまでお楽しみください。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

アクティブに使いたいレンズでしょうから予め用意しておきましょう。もちろんこちらも純正で。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..