PHOTO YODOBASHI

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Nikon D5, Irix Firefly 11mm F4, Photo by Z II

Irix Firefly 11mm F4

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

フォトグラファーとエンジニアによって設立されたIrix社は2020年に初めて日本に登場したレンズメーカーです。開発や製品化には写真家の発想を取り入れていて、同じ設計で鏡胴の材質違いのものをラインナップしているのが特徴です。今回レビューをお届けするのはIrix Firefly 11mm F4というフルサイズカメラに対応した超ワイド単焦点MFレンズ。サイズは長さ118mm 最大径103mm、外装が樹脂製のFireflyの重量は約730gと、超ワイド特有の大きな前玉にしてはとてもコンパクトで軽い印象です。また、同じ設計で外装がマグネシウム製タイプのBlackstoneは重量が約790gとなっています。レンズ構成は10群16枚の中に高屈折レンズ、EDレンズ、非球面レンズを効果的に組み合わせることで、優れた低ディストーションを実現しています。人の視界を超えた画角と描写性能、写真家の目線で設計された使い勝手を作例カットとともに確認してみましょう。

( Photography & Text : Z II )

Nikon D5, Irix Firefly 11mm F4, Photo by Z II

直線が歪まずに保てているかどうかはワイドレンズのみならず重要なポイントです。作例を見ると、ほんの少しだけ歪みはありますが超ワイドレンズでここまで歪みを抑えられているのは、とても素晴らしく画作りの幅が広がります。

Nikon D5, Irix Firefly 11mm F4, Photo by Z II

およそ3mのところを大型のトラクターが横切っていましたが、ワイドレンズで撮るとかなり離れているように写ります。絞り開放では画面四隅に周辺減光が発生しますが気になるほどではなく、むしろ超ワイドらしくよい雰囲気です。気になるようでしたら絞りを1〜2段絞ってあげると解消します。

Nikon D5, Irix Firefly 11mm F4, Photo by Z II

こちらは絞りをF8まで絞っています。雲の立体感や太陽の光ぼうもきれいに出ています。さすがに強烈な太陽を画面に入れると小さくゴーストが出ていますが、フレアなどはよく抑えられていて全域に渡ってクリアな描写です。

Nikon D5, Irix Firefly 11mm F4, Photo by Z II


Nikon D5, Irix Firefly 11mm F4, Photo by Z II

冒頭のカットの建物の根元まで近づいています。絞りを1段絞っただけのF5.6ですが胸のすくようなシャープな写りです。周辺減光はきれいに解消されていますね。

Nikon D5, Irix Firefly 11mm F4, Photo by Z II

最短撮影距離の27cm付近まで寄って絞りを開放で撮影しています。ワイドレンズの効果で顔と身体のサイズバランスが崩れ、面白い写真になりました。画面の中心の立体感や質感描写はクリアで申し分ない写りですが、背景のぼけは少し流れているように感じます。

Nikon D5, Irix Firefly 11mm F4, Photo by Z II

スタジアムの客席まで丸っと飲み込むほどの超ワイドの画角はとても爽快です。実際にはもっと傾斜が急な客席なのですが、さすがに超ワイドレンズで撮ると撮像の四隅が引っ張られることで平らに見えています。こういうシーンでは少しだけカメラを下方向に振って、あえてパースをつけた方が丸い球場の雰囲気を出せたのかもしれませんね。ワイドレンズは水平垂直に対してとてもシビアですので、画面の上下左右が少し傾いただけで途端に被写体の形が大きく歪んでしまいます。意図して傾けてパースを生かした撮り方もありますが、まずは水平垂直を意識して撮影してみることで超ワイドレンズの素晴らしさ、面白さ、それから難しさも感じることでしょう。

Nikon D5, Irix Firefly 11mm F4, Photo by Z II


Nikon D5, Irix Firefly 11mm F4, Photo by Z II

コンパクトで高性能、どこへでも持っていける超ワイド

このレンズの魅力は、やはり人の眼を超えた126°の画角でしょう。レンズの前にある景色をほとんど飲み込んでしまうほどですから、いつも見ている景色に非日常を演出することができます。写りはとてもクリアでシャープな線を描き、歪みがとても少ないので建築物や水平線を入れたカットにも大変向いています。また、ワイドレンズにありがちな周辺減光はとてもよく抑えられていますが、絞り開放時には程よく残してあるのは個人的にも好みで、このあたりは設計段階でのカメラマンの目線なのかなという印象です。今回試写した外装が樹脂製のFireflyタイプは、コンパクトで形状のデザインも良く、軽量な上に防塵防滴にも配慮した作りになっています。雨が降り出しそうな日でも躊躇することなく撮影に持って出られますし、例え降り出しても慌てることはありません。これ程の性能でここまでコンパクトで、しかも一般的な超ワイドレンズでは考えられない価格で仕上げてきたIrix社には脱帽しかありません。標準域のレンズしか使ったことがない方や、お手持ちのレンズラインナップの中にまだ超ワイドレンズがないという方、是非とも一本加えてみてはいかがでしょうか。きっと今よりぐっと視野が広がりますよ。

( 2020.11.19 )

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今回使用した外装が樹脂製のFireflyタイプ。屋外で手持ち撮影するなら少しでも軽量の方が良いですよね。

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外装がマグネシウムのBlackstoneタイプ。アルマイト処理されたメタル製フォーカスリングは重厚感もありカッコイイです。

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レンズに装備されたリアフィルタースロットに装着可能な専用のNDフィルターセット。どんな時も絞り開放にこだわりたい方はどうぞ。

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どうにもうまく撮れない場合は、基本に戻って教科書を読みましょう。基本的なことを応用してこそ見えてくる楽しさ(沼)があります。

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