PHOTO YODOBASHI

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Nikon D810, AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, 1/2000, F4.5, ISO 100, Photo by TA

Nikon AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

写真が円形になる「円周魚眼」、そして大きな歪曲を利用し、個性的な画作りができる「対角魚眼」、ふたつの効果を1本で得ることができる、ニコンとしては初のフィッシュアイズームレンズが登場しました。FX(35mmフルサイズ)フォーマットのカメラを使用の際にはズームのワイド端で画角が全周180度の円周魚眼、テレ端付近で対角線方向に180度の対角魚眼となります。DX(APS-Cサイズ)フォーマット時には、ズームのDX指標付近からテレ端の間で、最大180度の対角線魚眼画像が撮影可能です。最新の光学設計で高画素機にも対応。非球面レンズ2枚、さらにEDレンズは3枚も使用し、倍率色収差もしっかり補正。ナノクリスタルコートも施され、ゴースト・フレアも効果的に抑えられています。大きくせり出した前面、最後面には、防汚のフッ素コートも採用されていますので、多少の雨や水滴、ホコリなどは気にする必要もありません。最短撮影距離ズーム全域0.16mという性能を生かし、ググっと被写体に寄って楽しむのもよし、普段から見慣れた景色を魚眼レンズで切り取ってみるもよし。このフィッシュアイでしか得ることのできない大きなデフォルメ効果を生かした画づくりが、きっと写真表現としての幅を広げてくれます。さて、今回のレビューはTAK、TAのふたり。このユニークでインパクトのあるレンズをどう料理したのか。さっそく作例をご覧になって頂きましょう。


Nikon D810, AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, 1/200, F4.5, ISO 800, Photo by TA

地球は丸かった

Nikon D810, AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, 1/125, F3.5, ISO 800, Photo by TA

Nikon D810, AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, 1/500, F4.5, ISO 100, Photo by TA

Nikon D810, AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, 1/1000, F3.5, ISO 100, Photo by TA

Nikon D810, AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, 1/320, F4.5, ISO 100, Photo by TA

病みつきになる楽しさ。それが魚眼ズーム。

魚眼レンズの経験は、携帯のカメラにクリップオンで装着できるものしかありませんでしたので、本レンズを手にして、前玉がニョーンと飛び出ているその出で立ちに興奮してしまいました。これが魚眼レンズというものか、と。憧れはありました。例えば、一面の花畑を低い位置からあおって撮影してみたい。都市光景を高所から狙ってみたい。はたまた牧歌的な風景や海辺の景色を、などなど。せっかく憧れのレンズを手にしたので思い描いていたものを撮りたかったのですが、撮影に割ける時間は1日もなくいずれも厳しそうです。あてもなく身近な人や周りのものにレンズを向け、シャッターを切り始めました。これは面白い。数枚シャッターを切り、早速撮影データをモニタでチェックすると、いつもみている人達のデフォルメされたその様子に、つい顔がほころび、時に声をあげて笑ってしまうのです。とにかく撮影中から終始楽しいのひと言でした。必要なレンズから揃えて行くとキャラクターの強い魚眼レンズはつい後回しになりがちかもしれませんが、この楽しさをぜひ味わってみて頂きたいです。そして身近な人やお仲間と遊んでみてください。対角線魚眼と円周魚眼の効果を一本で得られる本レンズ、おすすめです。(TA)


Nikon D800E, AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, 1/8, F3.5, ISO 200, Photo by TAK

ぎょぎょっと・ザ・京都

Nikon D800E, AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, 1/20, F4.5, ISO 100, Photo by TAK

Nikon D800E, AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, 1/500, F3.5, ISO 100, Photo by TAK

Nikon D800E, AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, 1/750, F4, ISO 100, Photo by TAK

Nikon D800E, AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, 1/180, F5.6, ISO 400, Photo by TAK

普通って何だ? 新たな世界が既成概念を洗い流す。

直線は曲がり、平面は盛り上がる。まっすぐ描けないのではなく、曲げて描くことができる。通常のレンズにおける「高性能」とは違う世界がここにあります。例えば丸い雫に写った世界を見つけると思わず撮りたくなるのは、歪んでいるからこそ。「あ、面白い!撮ろう!」という衝動こそが写真の真髄ですよね。そんな不思議な歪曲ワールドを円周から対角線まで行き来しながら楽しめるのが本レンズの最大の武器ですが、その眺めはもはや「新世界」と言っても良いでしょう。もちろん解像力やトーンや色の再現といった基本的な描写力やAF性能は信頼のニコンクオリティ。冒険的なレンズを出せるのも、土台がしっかりしているからなのです。

美術などの世界では「自然界に直線は存在しない」などと言われます。大人と子ども。描く絵を比べると、大人の方が直線的要素を多用するのだそうです。こういった特殊なレンズが「マンネリ解消に良い」としばしば言われるのは、ピンと張った既成概念をリセットしてくれそうだからなのかもしれません。直線というこだわりさえ捨てれば世界はもっと広がるぞと、このレンズは教えてくれているのです。最後になりましたが、円周時のイメージサークルのキワの部分がなんとも面白いのですよね。明るいところは収差で青みがかっているのですが、その辺のアナログ的な生々しさがゾクッと来るんです…という嗜好は歪んでいるでしょうか。(TAK)


  • PHOTO YODOBASHI小さな子どもまんまるな目、まんまるな顔と、円周魚眼の相性はぴったり。顔を中央に配置すると、ググっと迫ってくるようなデフォルメ感で、愛らしいその姿がさらに愛らしく写ります。
  • PHOTO YODOBASHI広い景色もこの通り。対角魚眼では弧を描くように写ります。極端なデフォルメ感を楽しむこともできますし、こんな風に日常的な光景をまるく包み込むように写し取ることも可能です。
  • PHOTO YODOBASHI京都といえば竹林。といっても人が多過ぎる嵐山は避けて、向日市の「竹の径」へ向かいます。多種多様な竹をゆっくり鑑賞していたら見つけましたよ、魚眼向きの光景を。テレ端15mmの対角線魚眼では円周魚眼と比べると随分「普通」に見えますが、通常のレンズに比べると相当歪んでます。当たり前ですが(笑)。
  • PHOTO YODOBASHI京都のド定番、南禅寺水路閣です。サスペンスドラマで主人公が重要人物と会ったりするシーンなどでよく出てきますね。ということで重要事項をひとつ。レンズフードを装着しているとテレ端以外ではケラれますから、通常は外して使うことになります。なにせ円周魚眼をカバーする超広角ですからね。前玉がぎょろっと飛び出ているのですから仕方のないことではありますが、お取り扱いには細心の注意を。当然雨の日は大変なのですが、雨滴を逆手に取る手もあります。防塵防滴ですしね。

アングルを変えるだけで大きく趣きを変える魚眼レンズの楽しみ。

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ドラマや映画やアニメのロケ地として有名な「鴨川デルタ」。ここはテレ端のままで2ショット撮ってみましょう。まずは左側の写真をご覧ください。このように、カメラの水平垂直をキープして撮ると「あ、テレビで見たことある」と納得できる見え方になりますが、右側の写真ではアングルを少々下に向けて撮影しています。フレーミングを考えて撮影ポジションが少しだけ変わっていますが、比較すると、左の写真とは一転して「一体どこやねん?」といった趣になります。面白いなあこのレンズ。


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ファインダー越しに異世界を創造する

撮った画に思わず笑みがこぼれてしまう、そんなユニークで個性の強い超広角魚眼のデフォルメ感。そんな個性をしっかりと支える高い描写力がニコン初フィッシュアイズームの真の個性ではないでしょうか。高周波な画でも、その解像力は一目瞭然。ぐるりと円を描いて流れていってしまう周辺ギリギリまでしっかりと被写体の姿を描き出しています。コントラストも良好ですから、画の中心に見る側の目を魅きつけてくれます。本レンズは0.16m、レンズ先端からわずか3cmまで被写体に近寄って撮影することができますが、この超至近距離でも周辺画像の低下が少なく、絞り開放から高い再現力を見せてくれました。フッ素コートで防汚性に優れ、ホコリ、水滴などの侵入を防ぐシーリングを施した防塵防滴構造ですから、さまざまなフィールドに持ち出して、これまでに見たことのない光景を撮り手自身の意思で作り出していくことができます。ワイド端からテレ端まで少しずつズームリングを回し、その写りの変化への驚きに素直にシャッターを押してみましょう。AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E EDなら、まっすぐであるはずの線を、くるんと曲げて撮ることができる。この効果を、あなたならどんな風に使いますか?

( 2017.07.21 )

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ズームのワイド端で円周魚眼画像、テレ端近傍で対角線魚眼画像の撮影ができ、1本のレンズで2種類の撮影効果が得られる魚眼ズームレンズです。EDレンズを3枚、非球面レンズ2枚を採用した贅沢なレンズ設計で、画像周辺部での色にじみを抑制し、ズーム全域で絞り開放から高い描写力を発揮します。

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超広角での撮影では、水平垂直をしっかりと出したい場面が多いのではないでしょうか。こちらはホットシューに取り付けができ、タテ位置、ヨコ位置両方に使用可能な2WAYタイプ。カメラ内の水準器と併用して、より精度の高いセッティングを行うことで超広角の魅力を一層引き出すことができます。

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