PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Nikon D7500 / SHOOTING REPORT
撮影ロケからPY編集部に戻るなり、Z IIが近寄ってきて「どうでした？進化してました？」と訊いてきた。彼としては何の気なしに発した言葉なんでしょうが、私はその「進化してました？」という漠とした質問と、家族の容体を医者に尋ねるような真顔がおかしくて、ちょっと笑ってしまった。しかし同時に、このPYでも使い尽くされた感のある「進化」という言葉に妙に感じ入ってしまったのでもある。進化しているか？うん、すごぉく進化した。ニコンのD7500は進化している。
( Photography & Text : NB )
「進化」のことに触れる前に、まずはアウトラインから。同じDXフォーマットとしてD500とよく比較されているようですが、いちおう、序列としてはそのちょっと下。もう少しだけ買いやすいところに位置づけられたボディと言えます。センサーの有効画素数はどちらも2,088万画素とまったく同一ですが、フォーカスポイントは51点（D500は153点）、ファインダー倍率は0.94倍（同1.0倍）、XQDカードは使用不可（同使用可）、背面液晶は92.2万ドット（D500は同じ3.2型TFTで236万ドット）となっており、D500よりも一回り小さく、140g軽い。「D500ほど至れり尽せりじゃなくていいけど、画質だけは譲れない」という人向けのボディ、という言い方は出来そう。
今回お借りしたのはAF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VRと組み合わされたレンズキット。なので作例撮影で使用したレンズはこれ一本のみ。レンズキットは「最初の一歩」。それで「写真って面白い！」になるか、「写真って難しい...」になるかが決まってしまうわけですから、この組み合わせでどこまで写るかってすごく大事だと思うんです。
使い始めてまず感じたのが、解像感の高さ。モノを撮っても、空を撮っても、画全体に艶やかさが感じられますが、これは解像感の高さによるものでしょう。背面の液晶で見てても気持ちがいい。解像感アップについてはニコンも最大の特徴として挙げていますが、D500と同じ画像処理エンジンだそうです。新しいぶん、さらに細かなチューニングがされているかもしれません。
操作系はもう、いまさらごちゃごちゃ書く必要もないですね。すべてにおいて「ザ・ニコン」のインターフェースをここでも踏襲していますが、ステキだったのがこのファンクションボタン。何もこんな狭い谷間になー、と思うかもしれませんが、右手の中指が自然に触れる位置にあります。出荷時の設定では水準器のON-OFFが割り当てられていますが、これは重宝しました。今までにもレンズのマウント基部にボタンがあるモデルはありましたが、邪魔にならないようにという配慮からか、ちょっと離れてたんですよね。逆に言うと、手が小さい私などは右手のグリップをいったん解かないとボタンに指が届かなかったのですが（これがファインダー覗いてる時だと、ちょっとイラっとする）、これならストレスフリー。「グリップの邪魔をしない」と「グリップした状態で自然に押せる」という、二律背反を解決するためにはいろんなトライ＆エラーがあったと思いますが、よく出来てます。
画質も谷間ボタンも素晴らしいのですが、私が一番感心したのはAFの速さ。走ってるものだろうが、飛んでるものだろうが、測距エリアにさえ入れてしまえばあとはもうシャッターを切るだけ、とはまさにこのこと。上のカットは最初から鳥を狙っていたわけではなく、ああ、鳥が飛んでるなあ（ぼーっと見てる）→あれ？こっち来る？（まだぼーっと見てる）→よいしょ（ここでようやくカメラを手に取る）→えい（ズームをテレ端にする）→あらよっ（ファインダーを覗いて測距エリアに入れる）→おりゃあ（シャッターを切る）…ぐらいの感じでこれが撮れちゃいます。
あともう一つ気になるのは、ニコンのホームページにある「常用感度 ISO 51200」の文字。いやいや（半笑）。いくらなんでも「常用」って、それは言い過ぎでし…ほんまや。上からISO 800、ISO 6400、ISO 51200です。かなり薄暗い状況で、ISO 800でも手ブレの心配が出てくる1/60秒でしたが（実際には手ブレ補正がびしっと効いているのでその心配はありませんが）、ISO 51200では堂々の1/3200秒。もう片手のノーファインダーでOK。もちろん比べれば画質の違いは分かると思いますよ。でも派手なノイズが乗るわけでもなく、発色も自然。中間からシャドウに向かうあたりがちょっとザラつくぐらい。「明らかに違う」という感じではないです。並べての比較じゃなかったら、まったく気にならないんじゃないかな。今回は時間がなかったので試せませんでしたが、これで夜空、それも長い玉をつけて星雲とか狙ったら、赤道儀なしでも結構撮れちゃうんじゃないですかね（星の写真は素人なので割といい加減なこと言ってると思います）。同様に、ムービー機能も試す時間がなかったので、これもまたの機会に。（※3枚の画像をクリックいただくと、それぞれ少し大きな写真がご覧いただけます）
進化したら安心がついてきた
小型軽量。画質が良い。高速のAF。信頼できる手ブレ補正。使える高感度。これらで得られるものは何か？というと、「安心」です。今回はマニュアルフォーカスに切り替えることもなく、すべて初期設定のAF-Sモードでのオートフォーカスでお気楽に撮りましたが、「ここにピントが来て欲しい」というところにピシッと素早くフォーカスされ、本当に何の心配も要らない。こういう仕事をしていると、カメラの性能に依存してしまうことに常に警戒心があるのですが、このD7500に関して言えば、「あとはカメラが何とかしてくれる」という感覚を久々に味わいました。もちろん、「いい写真」はカメラの性能だけではどうにもならない部分があるので、そこは各自頑張ってくださいませ。
( 2017.06.09 )
「D7500」がいよいよ登場です。ニコンDXフォーマットのフラッグシップ機「D500」に迫る性能をより軽快なボディに。ハイアマチュアの期待に応える1台です。
フルサイズ換算27〜210mm相当となる高倍率ズームレンズをセットにしました。機動性の高いD7500との組み合わせは抜群のコンビネーション。
D7500でお使いいただけるバッテリー。D800系、D7000系、D750、D600系、D500など多くのニコン一眼レフ機で共用いただけます。
タッチパネルのD7500に最適な液晶保護シート。背面モニタに加え、軍艦部の液晶保護シートもセットになっています。