PHOTO YODOBASHI

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1980年、Nikon F3登場
絞り優先AE・電子制御シャッター搭載

もうしわけございません。どうしてもモードラ付きが欲しくて、違法建築感が迸っておりますがお題はそこではありません。F/F2と違い、露出計そしてAEが総合的に統合されて設計されたはじめてのニコン一眼レフ、それがNikon F3です。ボディデザインは、かのイタルデザインのジョルジョット・ジウジアーロ。露出計はボディ内に設置されたためファインダーの建て増し感はなくなりました!売り主買い主、不動産屋、そして銀行屋さんも笑顔笑顔。モードラ付きの出で立ちは既になくなって久しいベルリンの壁のようではありますが、物事を統合して設計を行うと、カメラの姿もかくの如し。しかしモードラ付きもNikon FやF2のときが「鉄骨造り」だとすると、F3はまさに「鉄筋コンクリート」。否、「鉄骨鉄筋コンクリート」的な剛性感!シャッターを切ったときのフィールは、マンション工事の杭打ち機のような、、もうしつこい。なにせ素晴らしくキレあって力感漲るフィールであります! しかし地下への建て増し感はむしろ増している気はいたしますが、それでもFやF2の時に比べると違法感は失われています。つまり、デタッチャブルではありますが、それでも統合的にデザイン(設計)なされているのだと思われます。その証拠にモードラ部は電子制御、つまり本体と統合制御されているのです。


  • こ、堪えられん。建て増し(デタッチャブル)でも、ここまで高度化すると新たな魅力に満ちあふれます。F/F2がニーズに一生懸命応えようとする建て増しなら、F3はそこに建て増しの矜持を感じる仕上がりです。どのみち本気中の本気。人は本気と本音に心揺さぶられるのです!あれれ、ちょっと目を細めてみてください。直線がゆるやか〜に丸まってきます。あら、なんとなくNikon D5に見えてきません? 締め切り前徹夜仕事のせいかなあ。

  • モードラ下部のこの「スラント」は、なんとなく国鉄キハ183系を彷彿させます。いや、こじつけですが。しかしなんとなく乗り物、それもハードなものを想像してしまう威風堂々さ。こ、堪えられん。。


1988年、Nikon F4登場
AFを搭載・縦走りシャッター・マルチパターン測光

はじめてAFが搭載されたのが大きなトピックのF4。写真はバッテリーパックが取り付けられた「F4S」であり、さらに大きなバッテリーパックが取り付けられた「F4E」というモデルが存在します。ちなみに「F4S」「F4E」でコマ速自体は変わりがありません。要はいわゆる”モードラ”的なものではなく、そこはボディに内包し、単純にバッテリーパックということなのです。F4はボディにエンジニアリングプラスチックを使用していたり、ひょっとするとモサっとして感じるカメラかもしれません。しかしF4はスゴイのです。なにがスゴイかって、Aiレンズ/Ai-Sレンズをマルチパターン測光で撮影可能。AFという新しい機構を搭載しながらですよ? 実にニコンらしいモデルです。後にF6で同様のことが可能なのですが、F5はできなかったのですから! つまるところF3までに培った物を犠牲にせず、新時代の機能も一緒に掛け合わせるという、F一桁シリーズの中では最も慈愛に満ちた母のような存在なのであります! 実際MFレンズを使うには最も快適なAF機として、F4を最も愛用するというコアなファンが多いと聞きます。当時、あまり好きになれなかったこの出で立ち。いまみると、なんだか猛烈にカッコいい。


  • このあたり。このあたりですよ! 気高い山々、あの立山連峰を思わせるこの雰囲気。こ、堪えられん。シャッターボタンあたりの“なで肩”はF4が元祖なんですね!

  • カメラのカタチとしては十分現代的なのに、軍艦部には大きな液晶もなくダイヤル類が存在感放って鎮座。こ、堪えられん。いまとなって更に近未来感を余計に感じるのは拙者だけ??

  • もう一枚軍艦部行きましょう。堪えられんなー。ボディになだらかにかつ最低限に連なるグリップ部。いまの日本を熱く支える中年の額のようなテロテロに光ったボディ。カッコいいぜF4!

  • 標準モデルのF4は左側グリップ部のみのバッテリーのみ。F4Sは最低限のスペースに互い違いに電池を差し込むという涙のエンジニアリング。こういうの見ると、ああ大事に使おう、そんな風に思うのであります。

どうですか? 徐々にボディ内へ様々な機能が統合されていって、現代のモデルの姿に近づいてきています。建て増し違法建築的な出で立ちから、統合的な設計でモダンな建築へといったところでしょうか。そして、お次はあのモデルです。ここまで来たら一気に読破、宜しくお願いします。

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( 2017.11.29 )