PHOTO YODOBASHI

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Nikon F に露出計合体。
「2階増築」

憧れのマイホーム設計。ご主人は綺麗な三角屋根を想い描いていたのに、奥様が「アナタ、物干し場がないじゃないのよ!」と憤慨。急遽屋根付き物干し場ができたような出で立ちのこのモデルは‥(前置き長い)、TTL中央部重点測光のフォトミックFTnファインダーを搭載したモデル。ボディ自体はFと同一。アイレベルのファインダーと比べると、どうもこう頭をぶつけてデコが笑い話のように腫れたようなというか、、、なんとも形容しがたい。上の写真、黒いボディは編集部NB、白ボディは拙者の収蔵品であります。実はNBのこのフォトミックを初めて見たときには絶句いたしました。なんとまあ、、、正気か?と。しかしすぐに可笑しくて可愛く見えてきたのであります。二の句は「いいなあ‥」。この姿に対する話はさておいて、おそらく日本中でこの編集部だけの会話だと思われます。そして中古屋さんで見つけるやいなや買ってしまった。そんな話はさておき、すごいんですよ!このボディ、というかファインダー。

あら、上から見ると思ったより違法建築ですね。これも銀行屋さん、融資渋るタイプです。アイレベルファインダーに比べれば、かなりの建て増しです。ファインダーを取り替えて、このファインダー部分だけでTTL露出計を実現しています。このファインダーにも幾つかのバージョンがあるそうですが、さすがに記事のために自腹でバンバン買うのにも限界がありますので、ここでは割愛。元から軍艦に鎮座するシャッターダイヤルとファインダー側のダイヤルはもちろん連動。すごいのは、こんなことじゃあないし、こんなもんじゃあない!

マウントしますよね、レンズ。いいですか?一瞬ですよ? よ〜く見ててくださいね。


  • はい、先ずマウントする際に、レンズ鏡銅の回転に伴って「カニ爪」をファインダー側の棒らしきものが拾いますぅ。

  • はい、次は絞り環を最小絞り値までガチャリと回しますぅ。ファインダー側の棒らしきものも一緒に回りますぅ。

  • 今度は開放まで絞り環を回しますぅ。相変わらず棒もついてきますぅ。この一連の行為を「ガチャガチャ」といいますぅ。

  • ほらー。ファインダーにレンズの開放F値が伝わった!(ファインダーに開放F値が表示される)ちなみに、Nikon Dfはこの作業を背面液晶でメニューで操作、開放F値を登録してるんですよね。いやあ、つい知ったかぶり偉そう口調で伝えたくなるこの機構。偉いのは開発者の方です!ほんとスゴイ!なぜ「どう?元気?」的に「ガチャガチャしてる?」とみんな挨拶しないんだろうと思うぐらいスゴイ。なんとか露出計を載せてしまおう、そして実現してしまうのがスゴイ。


1971年、Nikon F2 登場
フォトミックファインダーが“標準化”

単に「Nikon F2」と呼ばれるモデルは、アイレベルファインダーが搭載されたボディを指しますが、ここではページ上の流れを汲んでということもありますが、あえてNikon F2フォトミックを写真に使いました。それにニコン自身がフォトミックファインダーが搭載されたモデルを主力としていましたしね。見てください主力となるとファインダーの出で立ちも随分と違ったものになります。多少の「建て増し」感はあるものの、Fのフォトミックに比べれば随分とスマートに。開放F値を掴んだファインダー前面の表示もスマート。ちなみにF2は、Fの改良版と言われましたが、実は完全新設計。Fの特長のひとつだった角張ったボディもF2では若干丸みを帯びでいます。寄せては返す波が砂浜を洗い均すかの如く、時の流れというのは物事を丸くしていくのであります。


  • 上から見ても、グッとスマート。できるかぎりアイレベルファインダーの姿に近づけようという意図が感じられます。変態的にはこうなるとちょっと残念。それはね、後から手に入れるヤツの言うことであって、リアルタイムであればおそらく飛びついただろうなー。カッケー!と。まあそんなもんでしょう。ちなみに工業製品は必ず現行品を一度使ってみること。手に入れられるのなら使ってみるのがおすすめ。カメラしかり、クルマしかり。リアルタイムでなければ、わからないことがたくさんあると思うのであります。

  • こちらアイレベル。いわゆる「F2チタン・ノーネーム」というモデルですね。F にしても、F2 にしてもアイレベルはカッコいい! オイオイ、言うてることがちゃうやないけ〜なんて無粋なことは言わないんですよ。そんなもんみんなエエんですよ。なんでもエエんですよ。それが「愛」いうもんちゃいまんの? グダまくのはこのへんにして、この端正なフォルムは文句なしにカッコいい。そしてフォトミックファインダーを見ると、逆説的に「形態は機能に従う」という言葉の意味を感じさせられるのであります。カメラ趣味って深いなー。

さて、これだけフォトミックにスポットが当たった記事も珍しいと思われますが、そろそろ次に行きますよ! さらに時は流れて、濁流の様にいろいろな物事が1台のカメラに流れ込みます。そして1つ1つの時代が作られていくのです。これを「カメラの大河」と呼びます。…どっかで聞いたセリフの半分パクリですなこりゃ。。懲りずに右下辺りのリンク、、、そう、そのあたりです。ニヤリとしたアナタ、いつもご愛読いただきありがとうございます!

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( 2017.11.29 )