PHOTO YODOBASHI

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東京に向けてスタート。
1日目  大阪市から愛知県岡崎市までの約200km

大阪市の梅田新道にある、国道1号終点・国道2号起点の道路元標をスタート地点とします。これから約550kmの長い道のり。1日目は約200km先の愛知県岡崎市を目標とします。休憩その他を含め、100km超の平均時速は経験則から約17km/h。これは「大して頑張らない甘々な」ペース。簡単には着かない距離であり、少々頑張ったところで誤差みたいなものですからそれでよいのです。このペースで計算すると行程所要時間はざっと12時間程度。さらに話八分ぐらいで考えると、おおよそ14〜15時間程度かかる想定となります。

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ルートの概要

初日の行程はアップダウンの続く大阪から三重の前半までの区間と、平坦で都市部であり信号の多い三重の後半から愛知区間の大きく2つに分けて考えます。山間部が続く区間で体力を使い切らずに、平坦区間へどう繋いでいくかがポイント。


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出発準備と映像収録の準備

スタート地点・大阪市道路元標前。梅田新道・大阪駅前ビルに近接する場所にあります。中古カメラを探しによくこのあたりを彷徨い歩きましたが、まさかここから自転車で東京を目指すことになろうとは。人生とはよくわからないものです。本来朝5時に出発予定でしたが、準備に手間取り結局朝6時頃になりました。550km超のライドとしては笑ってしまうほど軽装備、家の近所を走るのと変わらないぐらいです。これも荷物の運搬もお願いできるサポートカーのおかげ。

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一緒に走る友人は私より走力があります。「自分これハンデな」と、シートポストに無理矢理「Insta360 X3」をマウント。乗り降りは面倒だし、なにより結構な重量です。自転車に関するYouTuberのみなさんが愛用されているそうですが、ライドのしづらさを思えば本当に感心します。今回記録用途にこの360度カメラと、GoPro HERO12、DJI OSMO Action4を携帯しました。360度カメラは結局のところスタート地点でしか使わなかったのですが、ゴール後映像を見返すと360度カメラの画の面白さは抜群で、ちょっと後悔。

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1人でのライドならハンドルバーにマウントでよいのですが、事前に大阪−岡崎間を試走済みの友人が先行するため、360度カメラはシートポストにマウント。乗り降りしづらいのはもちろん、高い場所に重量物を取り付けると結構な妨げになります。そんな変わらないだろうと思いますよね。ロードバイクと呼ばれるこのような自転車は、いわゆる普通の自転車と違って格段に重量が軽く、クイックに動くように作られています。それはつまりいつでも路面から離れようとするということ。重量や重心位置の影響は大きいのです。


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ワクワクとウンザリ!?  初日スタート。

梅田新道から本日14〜15時間の長旅。飛行機なら成田からパリあたりまで届く時間です。その間座っている飛行機とは違い、延々200kmの道のりをペダルを漕いで走っていくわけで、体力的な厳しさはもとより道のりを想像するだけで何度やっても100km超のロングライドはウンザリします。ただ走り始めれば結局楽しくなってくるわけで、それ故に実に言い表し難い心持ちでいつもその時を迎えるのです。ともかく、初日スタートです。

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出発後、すぐさま平坦区間は終了。さっそくの「上り」。

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出発して15〜16km程度走れば都市部は終わり、生駒山地を超えて奈良県に繋がる清滝峠に入ります。さっそくの上りです。まだ身体が完全には温まってない段階でなかなか憂鬱です。5km程度続く上りなのですが、245mの標高まで上がります。自転車が趣味でなければ、100mや200m続く上りならともかく5kmも続く上り道を自転車で上ったりしないのが普通でしょう。つくづく自分にとっての「当たり前」みたいなものは移り変わっていくものだと思いますが、いまでも自ら進んで上りたいと思いません。むしろ嫌です。いい年した大人が「嫌」とはなかなか言わなくなるものですが、嫌なものは嫌です(笑) 右の図のグラフを見れば坂の具合がよくわかると思います。横軸が距離、縦軸が標高になります。

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都道府県の境を自分の足で越えていく楽しさ

今回のルートは大阪市内から西に向かって山間部を通り伊勢湾側に抜けるわけですが、近畿の各自治体の境が集中しています。そう長くない距離を走っている間にいくつもの境を越えていきます。日頃車に乗っていればさほど意識することはありませんが、やはり自分の足で越えていくのは毎度越境する度にテンションが上ります。

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自転車のスピードと、見える景色。

今回は国道1号線のような大きな道を1日目のルートに選びませんでした。自転車で通るにはバイパスの迂回や交通量の問題など、少し厳しい面があるからです。大動脈となるところは効率的に車を通していく必要があり、結果として景色も単調になり退屈に。また例え自転車が通ることができても車との速度差が大きく危険が伴います。1日目の中盤までは、東京までのルート全体を見渡しても人口の少ない地域が最も長く続くため、原風景的な景色も多く走っていて実に楽しいルートです。これを自転車のスピードで走るというのがまた良いのです。自分の見知らぬ土地で、自分たちと同じようにたくさんの人達が暮らし重なり合って、言ってみればその土地の景色を作り上げています。車で走るとまさに一瞬で通り過ぎてしまいますが、自転車であれば乗っている側からも、走っているのを見る側からも、まさに目に留まる程度の速度。途切れることなく景色を感じながら走ることができるのは自転車の速度がある意味で限界であり、一番適している手段だと常々思います。目で、鼻腔で、その土地を感じる。まあそんなことを言ってられるのも前半だけですが(笑)

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自分の姿を撮ってもらう面白さ。

日頃自分の走る姿を見ることはないため、撮って見せてもらうと新鮮です。写る自分の姿に、自転車の前に自分が軽量化すべきであると痛感しますが。写真は Nikon Z 7にNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sで、京都府木津川市付近にて撮影。日頃人を撮ることはあっても撮ってもらうことは殆どありません。嬉しいものですね。10月も中旬というのに、夏と変わらない恰好でのライドです。そのうち夏と冬しかなくなるのではないかと思ってしまう今日この頃。

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3つめの境を超えて、三重県に。

PHOTO YODOBASHI走り始めて既に5時間が経過、走行距離は60km近くとなり、忍者で有名な三重県伊賀市に。忍術の流派は伊賀流と甲賀流とよく耳にすると思いますが、甲賀流の滋賀県甲賀市は伊賀市の北に隣接します。記憶が定かではありませんが、甲賀流が主君のために忠誠を尽くすのに対し、伊賀流は雇用以上の関係を持たないという違いがあったようです(つまり敵対する双方に同じ伊賀流の忍者が居るなんてことが起きる)。隣接しているのにまったく違って、なんだかヨーロッパの国同士のような話で面白いものです。新名神高速が開通してから伊賀市の北側である甲賀市や信楽町のあたりを通っても、なかなか伊賀市を通ることはありませんでした。こんなトライをしてこそで「お〜伊賀だ!」と坂道を上りながら思うのでした。甲賀市同様とても自然豊かな山間の地域です。ちなみに松尾芭蕉は伊賀で生まれ育ったそうです。

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サポートカーという贅沢

三重県亀山市にある道の駅・関宿に休憩で立ち寄り、その際に友人はより効率の高いホイールへの交換を行い、2日目の平坦区間で巡航時空気抵抗を減らすべく取り付けていたDHバーの撤去を行いました。私は直前にペダルとシューズを固定するクリート(スキーで言うビンディングみたいなもの)がすり減り、ペダルに上手くはまらなくなったため新品交換しました。通常のライドであれば、自転車に取り付けたバッグやジャージの背中にあるポケットに入る範囲のものしか持つことはできないのですが、サポートカーが伴走するためホイールのような大物スペアパーツまで運べます。自転車競技でのチームカーみたいなもので、なんとも贅沢な話です。サポートカーを走らせるスタッフはカメラマンも兼任。頼み込んで伴走してもらいました。いやどうせやるならトコトン!みたいな。ノリでやってみたかったのです。二度とこんなことはやらないかもしれないという、並々ならぬ自分に対しての疑念を感じます(笑)

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ようやく伊勢湾側まで横断

どこからを紀伊半島と呼ぶのか定かではないのでなんと呼んでよいのかわかりませんが、大阪〜奈良〜京都の山間部を抜け、ようやく伊勢湾側へ横断できました。当日の一つの区切りみたいなもので、さすがに走った実感が伴います。ここまで125km、すでに10時間は経過しています。80kmを超えたあたりで毎度のことながら若干ウンザリします。次はだいたい150kmぐらいのタイミングで、いい加減走ることに飽きてきます。そりゃそうですよね。仕事での一般的な就労時間と比べればなかなかな残業です。久しぶりに見る都市光景、ゴール目指して頑張りましょう。

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名古屋市の境界標識を見て、テンションが上がる。

10月中旬ということもあり、夕方6時ともなれば日も完全に落ちてしまいます。残りは50kmを切りました。普通に走れば2時間半から3時間という距離ですが、ライド後半であること、そして都市部を通過するということでかなりペースは落ちます。しかし四分の三走って誰もが知る大きな街に入ったとなると力も湧いてくるものです。

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ゴール間近にこそトラブルは潜んでいる

本日の目的地である岡崎を目の前にして友人の後輪に異常発生。パンクです。幸い完全にタイヤが裂けて修復不可能といったレベルではなくピンホール。チューブレスタイヤのため、エアの入っている内部にはシーラントと呼ばれる液体が入り気密を保っています。少々の穴であればシーラントがその穴を埋めてくれるために追加充填して再スタート。2人での走行のためこんなトラブルもまだ気も楽です。これが1人で冬の雨の中、夜間に走ってる最中に、しかも真っ暗闇の山中なんかで起きるのを想像すると・・・。パンクを避けてくれる御札でもあるのなら大人買いしそうです。

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愛知県岡崎市まで約198km、14時間超の走行。無事ゴール。

久しぶりに200km近くを走るため、まずちゃんと走れるのか、また走りきった後の状態が不安でした。走行時間がそれなりに必要なため日頃からそうそう走ることのない距離です。ゴール後さほど疲労が蓄積してる感じはなかったため、次の日も問題なく走れそうな雰囲気です。まずなによりです。いつも1人で走ることが大半のため、話し相手の居る200kmは格段に気楽でした。実はカメラを2台持って出かけていたのですが、シャッターを切ったのはわずか2回。今回のように走破することが目的のツーリングだとそんなものでしょう。さて初日をなんとか消化しました。まだ2日走らなければなりません。さっさと寝れば良いものを、まんまと3人で呑みに行きました。もうこれだけが楽しみ(笑)明日も頑張りましょう。

2023.10.17
大阪府大阪市〜愛知県岡崎市
走行距離 198km / 獲得標高 1,310m / 走行時間 8時間33分 / 経過時間 14時間54分 / 消費カロリー 3,989Kcal

( 2023.12.22 )