PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM XF10 / SHOOTING REPORT
今回レビューをお届けするのは「FUJIFILM XF10」です。8月の下旬にリリースされているモデルということもあり、じかに手に触れてみた人も多いのではないでしょうか。重量が約278.9g(バッテリー、メモリーカード含む)というポケットサイズのこのカメラには、大型のAPS-Cサイズのセンサーと、広角のフジノン単焦点レンズ(35mm判換算で28mm相当)が組み込まれています。FUJIFILMのXシリーズにおいて本機はエントリーモデルという位置づけですが、センサーの有効画素数は2424万画素。一眼レフカメラさながらの高画質な写真をコンパクトなデジタルカメラでゲットできてしまうわけです。風景を撮るにしても、街中でのスナップにも、大切な家族や友達を撮る時にも、28mm相当の画角ですから、撮り方ひとつで様々なシーンに対応できるところも魅力ですね。背面モニターはタッチパネルに対応しており操作性はスマートフォンさながら。Bluetoothも備えているのでスマートフォンとの連携もスムーズ。冒頭の写真からもわかるようにSNSで活用しやすい1:1アスペクトも用意されており、まさに今どきのカメラ感ムンムンという仕上がりです。
気楽に街を撮り歩く
XF10を毎日持ち歩き、ひさびさにワクワク感を味わいました。ハンドストラップで片手だけでカメラを操作、ピントは置きピン、レンズは28mm相当。いかに早く撮るか、いかに早く都市を駆け抜けるかにこだわっていた写真小僧だった頃にタイムワープさせてくれました。
コンパクトなボディにAPS-Cのセンサーを持つXF10は、ピント距離を2m、5mに固定できるスナップモード、タッチパネルAF、カメラ上部のダイヤルのみで撮影をコントロールできるシンプルな操作性、高感度にも強く日常生活のシーンを素早く切り取るには最高のカメラです。また、新しく加わったタッチパネルを携帯のようにフリックする機能は、よく使う項目を設定でき、必要なモードを直感的に呼び出すことができます。そして一番気に入ったのが、標準で付いてくるストッパー付きのハンドストラップと紐でボディに固定されたレンズキャップ。これでスナップ中の想定外の動きでも、カメラを落とすことも、レンズキャップを紛失することもなくなりました。こんなことを心配するのは私だけでしょうか…。
スナップモードで素早く自由に街を切り取ることも、大きなセンサーとF2.8の開放値を生かして被写体に寄ることも瞬時に対応できる。一度使うと手放したくなくなるカメラです。(A.Inden)
いいね。真四角写真。
XF10には新しいフォーマットが追加されています。インスタ(Instagram)でおなじみの真四角、1:1のフォーマットです。FUJIFILMは2017年11月にSQUARE FORMARTのインスタントカメラ SQ 10を発売し、メーカーサイトで可愛いディスプレイの提案をしています。その動画を見ていると、真四角っていいな、飾りたくなるなと理屈抜きに思えてしまいます。
真四角のフレーミングがどうして可愛く見えるのか。それは、被写体を真ん中にトンと配置しても構図が決まるからです。人、料理、道具ets.いいなと思ったものをストレートに撮るだけで、被写体のキャラクターで画になってしまう。インスタを見ていると、どう撮るかではなく、画になるものを求めているというのがよくわかりますね。好きな被写体を撮り、写真に残したいと純粋に考えたとき、真四角のフレーミングは向いているのかもしれませんね。
気持ちいい季節、1:1のフォーマットで可愛いな、気持ちいいなと感じるものを街の中からピックアップしてみました。インスタ映えしていますか?(A.Inden)
前半の最後の作例カットは、このシーンをデジタルテレコン50mmで撮影したものです。デジタルテレコンはセンサーをトリミングして使っていますが、後処理でノーマル撮影したものと同じ画素数にアップされています。そのためノイズを懸念する声がありますが、使ってみた感じ嫌なノイズは感じられませんでした。
アドバンストフィルター“ドラマティック”で撮影。よくあるシーンに一手間入るだけで、雰囲気のある画になりますね。ドラマティックさを強調するために露出をアンダーに補正し、カメラを傾けて撮影しました。
アドバンストフィルター“ソフト”で撮影。ソフトで撮影するとふわふわな画になることが多いのですが、このフィルターはハイライトだけが滲み、画自体にはしっかりとコントラストが付いています。昔好きだったツァイスのソフトフィルターを思い出させてくれました。
ぶれぶれになった失敗例です。スナップショットに設定すると、被写界深度を考えて自動的に絞りが設定されます。5mにすると絞りF5.6で約1.8m~∞までがピントが合う範囲で、2mを選ぶと絞りF8になり約1m~∞の間にピントが合います。当然絞るとシャッタースピードは遅くなるわけで、F2.8のつもりでシャッターを押したらご覧の作例になりました。反省。どうしても若干のタイムラグが発生するデジタルカメラにはスナップショットは便利な機能です。被写界深度を理解して使えば素晴らしい武器になります。作例のなかの絞りのデータF5.6は5mにF8は2mに設定して撮影したものです。もちろんぶれ防止にISO感度はAUTOに設定。
(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)
インスタ映えに、強力な助っ人。
ヌケのよいスッキリとした描写。そして被写体にグイッと寄った時のボリューミーなボケは一眼レフカメラで撮影したかのようですね。「FUJIFILM XF10」はXシリーズのエントリーモデルであることは冒頭でもお伝えしましたが、ズームナシの単焦点レンズ、手ブレ補正機能は付いておらず、使い勝手という点ではエントリーユーザーにとって少々ハードルが高いのでは?と個人的に感じておりました。しかしよくよく考えてみると、スマホのカメラレンズといえば35mm換算でおおよそ24~30mm辺りが主流。本機は28mm相当の画角ですから、スマホユーザーには当たり前のように使いこなしてきている画角です。そして手ブレに関しては、カメラマンが“ISO感度はAUTOで対策”とコメントしてくれています。そもそも、スマホでの撮影に慣れ親しんできた人は恐らくISO感度なんてワードすら気にしないのでは?スマホ画面のタッチでフォーカスしてそのまま指を上下に滑らせたら、画面が明るくなったり暗くなったりしちゃうのですからね。レンズのことも手ブレのこともノープロブレム。むしろメーカーの綿密なコンシューマーインサイトによって、不要な機能を削ぎ落としてコンパクトボディを実現したことが伺えます。
エントリーユーザーには嬉しい、カメラがシーンに応じて最適な撮影モードやピント位置まで決めてくれる「アドバンストSRオート」も備えているので、難しいことは考えずにパチパチシャッターボタンを押すだけ。これだけで一眼レフカメラに迫る画質の写真が得られるのですから、インスタ映えを狙うここ一番ではこのXF10でビシッと決めたいところ。Bluetoothでスマホに接続しておけば、撮影中に写真を自動転送することもできますしね。もちろんFUJIFILMならではのフィルムシミュレーションモードで写真のテイストを自在に変えられるので、スマホの写真では飽き足らないという人は、ぜひ一度手にしてみてください。気分も上がりますよ、きっと。
( 2018.10.24 )
軽やかにファッショナブルに使いこなしたくなるシャンパンゴールド。ブラウンの張り皮とも相まって、エレガントさがひときわ光ります。
撮るための道具と呼ぶにふさわしい精悍なブラックはスナップシューター好みでしょうか?カメラといえばブラックというあなたにぜひ。
旅行先でのバッテリー切れでトホホな経験はありませんか? 転ばぬ先の杖として、スペアも用意しておくと安心。邪魔になりませんしね。
新しいメモリーも揃えておきたいですね。4K動画にもしっかり対応しているところもマル。ヨドバシカメラオリジナルです。