PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Canon RF85mm F1.2 L USM
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
キヤノンから、EOS RFマウントのRF85mm F1.2 L USMが登場しました。PYではEOS R特集を行っており、キヤノンの方々へインタビューを敢行。その際「開発する側としては、ミラーさえなければもっと面白い、もっと新しいレンズができるのにという部分があり、今回EOS R用のレンズとしては、やりたかったことをまずやりました。」という回答がありましたが、今回のレンズ「RF85mm F1.2 L USM」もやりたいことをやったという作り手の思いがありありと伝わってくる一本に仕上がっています。開放F1.2で積極的に作品制作を行えるだけの高い解像力、そして良好なコントラストを持ち、ピントピークのシャープさと、あえて流麗と言いたいなめらかかつ美しいボケには思わずため息がもれるでしょう。BRレンズ、UDレンズ、非球面レンズを適した場所に惜しみなく採用し、収差はほぼないと言っても過言ではありません。ACSコーティングによりフレアやゴーストも低減。85mmという中望遠域でのポートレート撮影には最適な仕様となっているだけでなく、防塵防滴性能を持ち、前玉にはフッ素コーティングも施されていますから、メンテナンス性にも優れ、屋内外問わず撮影に挑んでいくことが可能です。キヤノンの光学技術を結集した渾身の一本。ぜひ作例をご覧になっていただき、その描写力を堪能してください。
( Photography : Z II / Text : Z II & Rica )
発表会の本番直前にリハーサルシーンを撮らせていただきました。撮影場所は蛍光灯、引きも抜けも無いという正直なところベストな条件ではない中でしたが、RF85mm F1.2 L USMはしっかりと“らしさ”を見せてくれました。監督からシーンのスタートの声がかかった瞬間にダンサーの眼や表情が豹変する様は、生でしか感じることのできない独特の魅力があり、それをすぐ側で見て感じ、シャッターを切ると、このレンズはしっかりと感じたままを写してくれました。見たままじゃないですよ、感じたままを写すレンズという感覚は撮っていて、とても心地よく新鮮でした。
着物の生地、人の手、ビニールとそれぞれの質感描写はそれぞれを一瞬凝視してしまうほどリアルに再現しています。立体感や奥行きもしっかり感じさせています。
東京下町の夏の風物詩といえば、浅草のほおずき市。夏本番に向けて爽やかな緑色から朱色になっていくところです。色の乗りや艶感の再現は申し分なくシャドウ部からのグラデーションも見事に描ききっています。何を撮っても至極の写りにただ驚くばかりです。
なかなかのサイズの本レンズは、ふらりと散歩に持ち出すことはほぼ無いでしょうが、思い切って持ち出すとどうなるのか試してみました。早朝の公園でベンチに鎮座する猫にレンズを向けてみました。毛艶の良さからきっと人に慣れて餌ももらっていることが想像つく様子でしたが、あれ？なんか怒ってます？撮られるのはお好きじゃないのか、これ以上近寄るなオーラを全開に出していたので真正面から一枚だけ。毛の描写、猫の表情から気高さや緊張感まで伝わってくるようです。ぜひ原寸で見ていただけるとお分かりになります。（※クリックで原寸画像をご覧いただけます）
テーブルフォトのような近距離撮影では強烈なぼけはもちろんのこと、近接でも鮮烈なキレを見せて被写体を浮き立たせてくれます。少々背景がごちゃごちゃしていてもきれいに溶かしてくれますね。
梅雨時でもタクシーはいつもピカピカです。85mmは歩道橋の上から狙うとこれくらいのサイズに収まりちょうど良い画角。ルーフに映った空がなんとも美しく、とっさにシャッターを切りましたが、正確なAFのおかげで思うとおりに撮れました。ハイライトも白とびすることもなく粘り強く階調を残していますね。このあたりはEOS Rシステムの真価というべきでしょう。
F1.2という明るさは室内での撮影でも強みを発揮します。職人の町で代々僧侶の袈裟を縫う職人さんの工房を訪ねてみました。決して明るい室内とはいえない環境でもISO感度を極端に上げることなく撮影できるのは嬉しいですね。ピントを置いたレトロな足踏み式のミシンは70年以上前から修理を繰り返し今だに現役バリバリです。機械でありながらまるで生きているみたいに日によって調子が違うと笑いながら話してくれました。前ぼけも自然でとても良い印象です。
まさにキヤノン砲。
EOS Rシステム特集でRF50mm F1.2 L USMを使用した際、もの凄いレンズが出たなと、キヤノンが本気でミラーレス市場に殴り込んできた！と実感したのが鮮烈な記憶として残っています。それに続くF1.2シリーズですから、否が応にも期待が高まりました。スペックや堂々たる風貌からも、とんでもなく写りが良いことくらいは想像に難くないわけです。作り手側も自ずと写りのハードルを上げていたでしょう。しかしご覧の通り、見事に想像を超えてきた破壊力抜群の写りと、その見た目も相まって、まさにキヤノン砲と呼ぶにふさわしいでしょう。それに加えて静かで速く正確なAFが、極薄のピント面にもきっちりと合焦してくれます。もしもMFレンズにしていれば、きっともう少し小さく軽く出来たことでしょう。しかしキヤノンの技術陣は一歩も引かず当然のごとくAFを乗せてきた。これには感動とか賞賛というより妙な清々しさを感じました。もう惚れてまうやろ〜！的なことです（笑）。間違いなくキヤノン歴代の85mmのなかでも最高の写りだと言っていいと思います。最高な写りと高性能なAFであることのアドバンテージは、サイズ、重量のデメリットを大きくカバーしています。また、鏡筒は驚くほど太いのですが、持ってみると見た目ほど重量感はなく、個人的には意外と軽く感じたほどです。人物、静物、風景にスナップと、使ってみれば間違いなく今までのレンズとは別次元であるということを感じてもらえるはずです。
( 2019.07.24 )
赤ハチマキと呼ばれる赤いラインは、RFレンズでも健在です。ラグジュアリーの「L」が冠された最高水準の性能を追求し、登場した一本。ミラーレスカメラだからこそできた、究極のレンズです。
レンズのカラーバランスを損なわず、多層膜コーティングによって反射光を除去してくれるフィルターです。もちろん高価なレンズですから前玉保護の意味でもフィルターの装着をお勧めします。