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Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/160, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
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シグマの大口径中望遠レンズに、Artラインの「85mm F1.4 DG HSM | Art」が新たに登場しました。以前のラインナップには焦点距離と開放F値が同じ「85mm F1.4 EX DG HSM」が存在し、それと比べて本レンズの全長は38.6mmプラスした126.2mm、重量は405g分重い1130g。レンズ構成も手厚く12群14枚となっており、2枚のSLD(Special Low Dispersion:特殊低分散)ガラスをはじめ非球面レンズも組み込むというリッチな光学系を擁していることからも、まったくの別物と捉えていいでしょう。今回レビューをお届けするのはキヤノンEFマウント用。メーカーサイトでは“究極のポートレート用レンズ”と掲げ、高い解像力と大口径レンズ特有の美しいボケ味をArtラインの基準で具現化したという意欲作とのこと。なるほどなるほど、実際に使ってみると絞り開放からすっきりとしたシャープな像を結び、ボケ味だって大変美しい。ファインダーを覗いているそばから気持ちが高揚してくるではありませんか。そんなこんなをココで書き出したらきりが有りませんので、作例をご覧頂きながら所感を語らせていただきましょう。

( Photography : Z II / Text : KIMURAX )

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/640, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

ふとした日常の何でもないようなワンシーンですが、絞り開放F1.4による表現力をもってすればこのとおり。思わず「おおっ」と心の中が、ざわめき立ってしまうのです(私だけ??)。コントラストもしっかりキリッと線が立っているのがわかります。彼女が何に惹き付けられているのかは、このアングルではよく判らないんですけどね(笑)。でもこのカットを見ている側がおもわず見入ってしまう。そうです、これがF1.4マジックです。

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/200, F4, ISO 200, Photo by Z II

背景がもうちょっとわかるように整えたくて絞りをF4に。肌の質感まで容赦することなく克明に描き出しています。目元から頬にかけてのあたりを拡大すればするほどに、間近で虫眼鏡越しに見ているかのような精細さではありませんか。この若さだからこそ耐えうるのですよね(笑)。ポートレートは開放付近でというのが、ちょっとしたマナーかもしれません。ま、そんな冗談はさておき、開放よりも少々硬めに整ってくるボケ味もなかなかいいアクセントになっていると思います。

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/250, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

AFはサクッと合焦。このような被写体ではピントの置き位置によって印象が若干変わってくるものです。本レンズはAF中でもフォーカスリングを回すだけでMF操作を行うことができます。そんなに急ぐようなシチュエーションではないにしても、スイッチ操作などが要らないというのはやはりいいですね。撮り手の集中力を削がないという点では特に。さて、拡大してじっくり見ると枝に所々フリンジが僅かに出ているのがわかりましたが、これも想定の範囲内というレベル。こういった被写体ですからね。もちろん絞ってあげれば解消しますし、あとはどのぐらいのサイズで鑑賞するのかということとの兼ね合いですから。さほどナーバスになる必要はないかと個人的には思います。

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/125, F5, ISO 100, Photo by Z II

ご覧のような空でしたが、やはり明るいレンズは頼もしいものです。こんな時でもまだ絞り込む余裕があるのですからね。ところでどうです、この緻密さ。キレッキレの描写が画面の隅々へと行き渡っています。濡れた質感も文句なし。周辺画質が云々というのは皆無です。絞っても線がむやみに太くならないところもいいですね。

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/125, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

ピント面の薄さがよくわかります。そこから前後に発生するボケ味は至って自然な風合い。画全体の中で違和感無くピント面をすっと引き上げるかごとく、仕立て上げてくれる表現力に好感がもてます。

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/640, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

なんだかもう絵画のような世界感ですよね。

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/6400, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

デジタル対応のレンズとはいえカリカリしすぎることなく、ボディの起伏から艶感まであますことなく忠実に再現しています。

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/250, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

イルミネーションの丸型電球が、奥に行くにしたがって玉ボケになり口径食によるレモン型へと変化。と文字で書いちゃうと面白くも何ともないものですが、それらの造形の変化そのものは実に面白いものです。

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/60, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

このような被写体なら絞って撮るのがセオリーでしょうが、開放からよく写るということに味をしめての一枚。主人公の描き込みは全然不安なしですね。むしろほんのり落ちる周辺がなかなかいい哀愁を漂わせてくれているではありませんか。

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/125, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

前ボケも嫌みのない素直な描写です。主役を炙り出す力とでも申しましょうか、確かな描写力と卓越した表現力があればこそですね。

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/1000, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

ほら、シアワセの形だっていとも簡単に切り取れてしまうんです。絞りは常時開けっ放しで。さぁ、ブンブン振り回していきましょう。

Canon EOS 5D Mark III, SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art, 1/2500, F1.6, ISO 100, Photo by Z II


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F1.4大口径レンズの醍醐味は、SIGMA 85mmで。

まさに大口径レンズの本領発揮!といわんばかりの中望遠レンズの世界はいかがでしたでしょうか?“究極のポートレート用レンズ”とメーカー自らがハードルを上げながらも、その期待を裏切らない確かなアウトプットを見ることができました。一般的に、両立が難しいとされる高い解像力と美しいボケ味が、当たり前のように共存している作例カットに感心しきり。さらには絞っての緻密な描き込み。そのどれもがハイレベルな描写であることがよくわかりました。85mmF1.4というスペックで見回せば、ビックリしてしまうようなプライスタグを付けた「Carl Zeiss Otus 1.4/85 ZE」という存在もあります。「85mm F1.4 DG HSM | Art」は定価ベースでOtusの約3分の1ながら、ご覧いただいたような写りを手に入れられるという素晴らしさ。ボディ側の高画素化を見据え、5000万画素にも対応できると謳っているだけあって、いわゆるキレ、ボケ、ヌケといった仕上がりを見て判断しやすい表現力はとても満足のいくものです。開放からコントラストも高く、こういったポテンシャルの高さを見るにつけ、この先もずっと使い込んで行けそうな一本だなと感じました。長期使用という点で言えば、堅牢性に優れた真鍮製のマウントに強度を高める表面処理を施しているとのこと。こんな作り込みも嬉しいポイント。もちろん防塵防滴仕様ですから安心して永く愛用できますね。AF駆動も小気味よく機敏な動作で合焦するので撮影のテンポも快調。開放からあまりにも気持ちのいい像を結ぶものですからついつい開放のカットが多くなってしまうのですが、ピント合わせのシビアさは言うまでもありません。思い通りにビシッと切り取るなら、やはりライブビューで確認しつつMFでの追い込みが必要になってきますがね。そんなひと手間すらも楽しいと感じさせてくれるレンズなのであります。先ほど85mmレンズの頂点の価格からみると随分とリーズナブルだとは申しましたが、それでも少々お高い買い物かもしれませんね(笑)。しかし値段を上回る確かなパフォーマンスで応えてくれ、日々の写真生活をさらにリッチなものにしてくれるはず。ぜひとも一度は手にしてみて欲しい、気になる存在です。

( 2017.03.29 )

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大口径ならではの美しいボケ味と高い解像力を両立させたArtラインのポートレート用85mm F1.4。シグマの最高性能を有する一本は、高画素機をお持ちの方でも何の不安もなく使用できます。

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