Canon RF24-70mm F2.8 L IS USM

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

キヤノンRFマウントの標準ズームレンズはLレンズだけでも3本あるのですが、開放F2.8通しという中心的なポジションにあるのが本レンズ RF24-70mm F2.8 L IS USM。EFの時代から大口径標準ズームレンズとして親しまれたスペックであり、プロフェッショナルからアマチュアまで被写体・シーンを選ばず幅広く活躍できる、いわば主力レンズです。F4よりは明るさが欲しいけれど、F2は振り回すのに重すぎる。結局の所はクオリティと使い勝手のベストバランスはこのあたりになるのでしょう。フィルター径 82mm、重さ 約900g、15群21枚のレンズ構成で少しだけ全長が伸びましたが、ほぼ EF24-70mm F2.8L II USM と同じサイズ感と考えれば良いと思います。RFマウントで再定義された大口径標準ズームレンズがどんな画を描くのか、確かめていきましょう。

( Photography & Text : Z II )

まずは波打ち際でワンショット。複雑に姿を変える水の表情は、レンズの描写力を確認するのにはうってつけの被写体です。クリックで原寸大の画像が開きますのでぜひ隅々までご覧になってください。肉眼では認識できないような細かな泡や水飛沫に、思わず唸ってしまうと思います。

こちらは絞りを開いた撮影。ピント面を繊細に描き前後がゆるやかにボケていくので、被写体がよい具合に際立ちますね。F2.8通しのズームレンズに期待するのはこうした表現力と描写力だと思います。

F8まで絞った画を見てみましょう。遠景からテレ端のカットですが、驚くほどシャープでクリアな線を描いてくれました。拡大してみるとマストから伸びる細いロープまでしっかりと解像しており、まったく曖昧さのない描写なのです。Lレンズに対する期待にしっかり応えてくれていますね。

強烈な逆光を受けているのですが、何気なくクリアに写し取ってしまうのは流石です。コントラストの強いシーンで手前は完全にシルエットかと思いきや、松葉にきちんと色が残っているのですよね。背景の人物が分かる程度のボケになるようにF5.6まで絞りましたが、ボケも柔らかく品のいい写りだと感じます。

美しいシーンに遭遇して、思わず何枚もシャッターを切りました。こちらはワイド端で少し絞っただけのカットなのですが、画面の隅々まで質感描写が素晴らしく、鮮やかに記憶を呼び起こしてくれる一枚です。濡れた岩、波の飛沫、海面のうねりなど「こう撮りたい」というイメージ通りに描いてくれたと思います。

---

手ブレ補正を搭載しているのも本レンズの魅力です。最大5段分の手ブレ補正効果があり、室内など暗いシーンでも感度を上げることなく手持ちで撮影ができました。R5との組み合わせによるところもありますが、三脚なしでも撮影がある程度こなせるとあれば、自由さの面や身軽さの面でも大きなアドバンテージですよね。

EFの24-70mmに比べると最短撮影距離が短くなり、ワイド端で21cmまで寄れるようになりました。ちょっとした差ではあるのですが、被写体を捉えながらファインダーで画面を整理しているときに、制限を感じることが減ったと思います。

試しに寄ってみるとこんな具合に。ほとんどレンズに付きそうな距離感ですから取り回しの際にはご注意ください。もっとも大きく撮影できるのは焦点距離32mmということで、微妙なレンジではありますが最大撮影倍率は0.3倍になります。被写体をクローズアップするような使い方もできそうですね。

本日のポートレートはこちら。動き回る被写体に少々苦労しましたが、スピーディなAFによってなんとか収めることができました。ピント位置はジャストではないのですが、被写体に敬意を表して可愛く写っているカットを選んでおります。

---

EOS Rシリーズの真価がわかる "極上の写り"

メーカーの総力が結集される大口径標準ズームレンズですから間違いないだろうと思っていましたが・・・やはり間違いありませんでした。安心して使えて、しっかり結果を残してくれる、頼もしいレンズだと思います。EFレンズ資産を抱えてRボディと組み合わせている身だからこそ感じるのですが、写りはまさに「一皮剥けた」感じですね。ズーム全域で魅力的な描写が得られ、フォーカスもクイックかつスムースです。周辺光量や歪曲は多少ありますがそれこそがレンズの個性ですし、気になる方は少し絞るかボディのレンズ光学補正をオンにすればキレイに解消します。今回はEOS R5との組み合わせ、4500万画素のセンサーを余すところなく働かせるレンズの力に素直に感服しました。Rのボディを持つ者としては、この大口径標準ズームレンズなしというわけにもいきません。あとはお財布との相談というところでしょうか。

( 2022.03.04 )