PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100M, Photo by A.Inden

Carl Zeiss Milvus 2/100M

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ツァイスのレンズには、Otus(オータス)、Milvus(ミルヴァス)、Classic(クラシック)の3シリーズが用意されていて、Milvus(ミルヴァス)はデジタル撮像素子に最適化されたレンズ設計を特長としています。

今回紹介する「Milvus 2/100M」(Canon EFマウント)は、8群9枚で異常部分分散性の特殊ガラス製レンズを2枚採用しており、旧モデルにあたる「Makro Planar T* 100mm F2」とほとんど同じレンズ構成です。ただデジタルに最適なコーティングがなされているのか、解像力はアップしています。前作のPlanarタイプの柔らかなボケ味を生かしながら、解像力をアップしたというところでしょうか。鏡胴のデザインも一新され、金属製のフードまで含めた流れるようなデザインは、最近の丸みを帯びたボディーにマッチするのではないでしょうか。また、大きな回転角をもつ精密なピントリングが、クローズアップ撮影時の正確なピント合わせをフォローしてくれます。

100mmマクロレンズとしては最も明るい開放値F2のこのレンズ。大きなボケ味を生かしたクローズアップ撮影だけでなく、解像力のアップしたPlanarらしい描写も楽しみたいと思います。

( Photography & Text : A.Inden )


Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100M, Photo by A.Inden

Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100M, Photo by A.Inden

上の3カットは最短撮影距離44cmで撮影。撮影倍率は1:2になります。Planarらしいふわっとした柔らかいボケ味が美しいですね。開放で撮影するとピントは本当に薄いため慎重なピント合わせが必要です。ピントピークは解像力が高く立体感のある描写で、前後の柔らかいボケを伴って浮き立つように表現されます。どこにピントを持ってくるかをイメージしながら撮影すると、クローズアップでしか得られない独特の世界を表現できると思います。


Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100M, Photo by A.Inden

Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100M, Photo by A.Inden

Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100M, Photo by A.Inden

背景の雰囲気が感じられるように、最短撮影距離より少し引いて開放で狙ってみました。この距離で撮影すると、背景によってPlanar独特のクセのあるボケ味がみられますね。このクセが苦手な方は、被写体と背景の距離が少し離れた条件を選ぶと気にならなくなると思います。

日中の強い光と、夕方の逆光気味の柔らかな光で撮影してみましたが、色再現はどちらの条件でもクリアーで濁りのない発色です。先代モデルとレンズ構成はほとんど変わってないと言われていますが、ピントピークの凜とした描写は光の条件を選ばず、コーティングがかなり変えられたのではと想像してしまいます。正確な描写が求められるマクロレンズとして、もう一段上のステージに上がってきた印象です。


Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100M, Photo by A.Inden

Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100M, Photo by A.Inden

Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100M, Photo by A.Inden

クローズアップにはこだわらず100mm F2のレンズとして使ってみました。あまり強い光の条件ではありませんが、色乗りの良さと被写体が浮き出てくるような立体感はさすがZEISS。特に少しアンダーにすると、その特徴が出やすくなると思います。少し遠景を開放で撮影してみましたが、立体感を伴ったピントピークのシャープさは、先代モデルを凌ぐ解像力に感じられました。レンズ構成を変えずにレンズの解像力をアップさせるのはZEISSの得意とするところですね。


Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100, Photo by A.Inden

Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100, Photo by A.Inden


  • PHOTO YODOBASHI最短撮影距離44cmで撮影。どこにピントを持ってくるか悩みましたが、一番ピントが合わせやすい花弁についた斑点をピントピークに持ってきました。花が浮き出してくるようなクリアーな描写が ZEISSらしいですね。
  • PHOTO YODOBASHI湘南の海の近くの路地では、サーフィンを楽しんだ後に干されているサーフボードをよく見かけます。半透明のブルーのフィンが路地に浮き出して見えるよう、絞りは開放、露出はアンダーに、フィンの背景を濃い緑の樹木にして撮影しました。夕方の柔らかい逆光でしたが、十分なコントラストで立体感のある描写です。
  • PHOTO YODOBASHIF4まで絞って、遠景の新緑を狙ってみました。少し絞るとレンズの癖が消えて画面全体がすっきりとします。周辺まで細かな葉が流れることなく結像しています。
  • PHOTO YODOBASHI開放より半段絞って撮影しました。ピントピークの解像力に変化は見られませんが、ピントが合っている面が少しメリハリがついたように感じます。

Canon EOS-1D X, ZEISS Milvus 2/100

一段ステージが上がった解像感。

難しい選択ですね。旧作と新作どちらがいいか。映画だったら、少し荒削りだけど作り手の想いが詰まった旧作が面白いと思うのですが。ただ映し出す映像機器の性能が上がってくると、新作を見たとき、画のリアリティーさに「おっ凄い」と思ってしまうのも事実ですね。そんなことを考えながら、開放値F2、焦点距離100mmの大口径マクロはどちらがいいのかなと・・・普通はこんなこと悩まないのですが、レンズ構成がほとんど同じというのがいけないですね。

悩んだふりをしていますが、実は結論は出てるのです。レンズ構成をほとんど変えずPlanarらしい味を生かしながら、コーティングと内面反射を徹底的に抑え解像力を上げたということは、哲学を守りながら性能が上がったということですから、新作がいいに決まっているのです。前作のクラシックなデザインがいいとか、ちょっと柔らかい解像感の方がPlanarらしいなんていうのは、財布に対する言い訳ですよね。そんなことわかっています。コーティングを変えただけでレンズ性能を上げるのはZEISSのお家芸ですから。ただ、同じスペックの2種類のレンズがあるのですから、どちらかを選ばないと、気がつくと2本のレンズが並んでいることになってしまいそうで、そんなZEISS沼は危険ですよね。


( 2019.07.11 )

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