PHOTO YODOBASHI

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Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports vol.1 vol.2

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

その昔、SIGMA APO 50-500mm F4-6.3 EX RF HSMというレンズを所有していました。2002年あたりだったか・・記憶が定かでないのですが。当時は飛行機をよく撮っていた頃で「50-500mm ! ほ、欲しい!」と飛びついて購入したのでした。まだ手ブレ補正機構も入っていない頃で、今の基準で見るとテレ端は甘く、フレアに困らされました。もちろん光量と光線条件を選んで撮影すれば、なかなかな描写を見せてくれるレンズでもありました。やはり唯一無二のレンズで、飛行機や風景の撮影に大活躍。常に車に積んでいました。なんだか懐かしくて、他の編集員の撮影が終わった後に半日ほど持ち出しました。昨今のシグマレンズの写りを見れば、撮る前からそれに疑いなしなわけですが、SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports のルーツとなるレンズを所有していたわけで、いったいどの程度進化しているのか試してみたかったのです。そんなわけでショートなインプレッション、行ってみたいと思います。

( Photography & Text : K )


PYOTO YODOBASHI, Photo by K

こちらはSIGMA APO 50-500mm F4-6.3 EX RF HSMで撮影したものです。あいにくJPEGファイルしか見つけられなかったのですが、当時現像したものだろうと思います。ファイルのタイムスタンプは2002年、いまから16年前! 伊丹空港の千里川土手なので、恐らくテレ端でひょっとすると1.4倍のコンバーターを使用している可能性があります。現像のパラメータはなんとなく覚えていて、そもそも空気の揺らぎがあり、レンズもフレアが出やすいので、現像時にかなりトーンを切り詰めたのでしょう。当時の現像ソフトは今のように黒を締めるのも操作パラメータがなく、トーンカーブでシャドー側をバッサリ切り捨てています。またカメラ側の画も眠かったですから。まだポジフィルムも普通に使っていた頃なので、ポジの画作りに引きずられているのがありありと見てとれます。

千里川の土手に、ずらっと並んだ三脚。いまのように手持ちではないのです。ボディにマウントされたレンズは70-300mmあたりがポピュラー。いつも見かけるような手練れ達は、誉れ高き500mm単玉あたり。その予備軍達が300mm F4の単玉とテレコンという組み合わせ。500mm単玉なんて車が買えるような値段ですから、どうやったらあんなの買えるんだ?と思っていました。当時の私に声を掛けてやるとすると「なにかを諦めれば、若しくは、壊れれば買えるよ?」と伝えるといたしましょう。そんなことはさておき、昔からシグマというメーカーは、当時の私のようなユーザーに遍く光を照らしてくれる存在だったのです。300mm単玉もなんとか買えなくもない。しかし50-500mm、10倍ズームでしょ? ものすごく得した気分(笑) 単焦点にお金を注ぎ、画角の制約を受けるほど器量も財布も裕福ではないのだ! 500mm単玉なんて、街走ってるフェラーリみたいなものですよ。駆け抜けるエキゾーストノートと同期して、口半開きで「ふぁぁスッゲエー!」みたいな。・・いまSIGMA APO 50-500mm F4-6.3 EX RF HSMで撮影したこのカットを見ると、まったく悪くない。しかし単焦点レンズのヌケの良さと濃厚な色乗りの画を見せられて、本当に憧れたものです。


Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

高倍率とは思えない驚きの描写性能

さて与太話はそこそこにして、SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sportsのインプレッションへ。一番上のカットも若干絞った程度で、ヘイズの多い中で鮮烈な像を結びます。この画も同様で、ヌケ・キレ・色乗りと別次元。しかも5000万画素を超えるボディでまったくレンズが負けていません。16年の進化をまざまざと感じさせられます。しかし一切の曖昧さを感じないシャープさ。こちらは開放ですから、本当に素晴らしい。

Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

海面の強烈な燦めきをバックにレンズを向けてみる。10倍ズームというのに・・よく写るもんだ。ボケに嫌なリングなどないし、意地悪な条件ですが破綻がない。16年前のシグマといえば、カメラメーカーのラインアップにおける隙間を縫い、または、未だ見ぬ領域のスペックのレンズをラインアップしていました。パフォーマンスは抜きんでたものを感じる物もたくさんありましたが、平凡な物もありました。総じてリーズナブルなのは今も昔も変わりませんが、今のシグマレンズは本当に圧倒的なものを感じさせられます。

Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

ズーム全域で歪曲はよく抑え込まれています。大したものです。

Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

手ブレ補正機構も強烈に効く印象で、あえて感度は上げず・・1/20秒ですよ!よく止まるもんだ。むしろ効きすぎてファインダーの画がガチっと止まりすぎて気持ち悪さを感じるほど。

Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

たった半日持ち出しただけ、しかしカット数は後ほど出てくる飛行機の撮影があったとはいえ約500カット。超望遠の世界は楽しい。自分の方へ大きく手繰り寄せられる楽しさ、圧縮効果の面白さ、ファインダーを覗くのが本当に楽しい。最初のうちはレンズの素性を見るために背面液晶で確認をするのですが、途中から撮影に没頭。しかしズーム倍率を微塵も感じさせない描写で、まずこれに驚かされます。解像力、ヌケ、色乗り、コントラストとまったく不満を感じません。これはこの大きさも重さも納得。目的に応じたレンズがシグマには多数ラインアップされています。本レンズはどんな使い道がよいのか。そのあたりは最後に。


Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

さて、本日のメインイベント

レンズを持ち出したのは上のネタフリ通り飛行機撮影が目的でした。10月月末で日没は5時前。マジックアワーまで本レンズでその他のカットを撮り、羽田空港第一ターミナル展望台へ。10倍ズームならではでしょう?と言いたいところですが、いくら60mmスタートといっても普段使いはあり得ません。なかにはそんな猛者もいるかもしれませんが(笑)飛行機撮影は本当に久しぶり。すべて手持ちで撮影ですが、振り回すには若干重いかなあと思いますが、手持ち流し撮りなんかは軽すぎても困ります。夕方の時間帯は滑走路から次々飛び立つのですが、合間にいろんなシーンを撮影します。10倍ズームというのは本当にありがたい。100-400mmあたりでもよいのですが、それだと標準ズームを取り付けたボディをもう一台肩に提げておきたくなります。そんなわけで、飛行機撮影にはバッチリ。

Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

1/13秒は、久しぶりだとさすがにバチっと止まらない。知り合いに1/4秒で止めるF1カメラマンの方が居ますが、もはや職人通り越して地上の人だとは思えません。手ブレ補正機構はスポーツ対応のほうのモードで撮影しましたが、これがよい塩梅の効き具合で、製品化にあたってかなり追い込んだのだと想像しています。

Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

Vol.1でmotoGPの撮影を行っていますが、飛行機の離陸速度とmotoGPの直線スピードはほぼ同じ。飛行機よりもバイクの方が捉えるのは断然難しいと思います。

Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

空港は100-400mmあたりが最も多かったように思います(手練れの皆さん)。羽田空港の展望デッキ辺りの距離感だと、確かにそのあたりの焦点距離を最も使います。ただ、日没直前から空の霞の影響がなくなり富士山がドーンと第一ターミナルからは見えるのです。それを大きく捉えようとなると600mmあたりは欲しくなる。私のように飛行機以外の周辺シーンまで捉えようというアプローチであれば、本レンズは本当に便利な存在です。


Canon EOS 5Ds R, SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports, Photo by K

ズーム倍率がもたらす利便性、犠牲にならない画質。あとは目的次第。

たとえば風景撮影であれば、大半車での移動となるでしょう。基本的に三脚に据えての撮影で、絞り込む。そうなると、開放F値の明るいレンズである必要はなくなります。おおよそ300mm程度まであればカバーできますが、突発的にもっと長いのが欲しいシーンもあります。車に本レンズが1本あれば助かるシーンが多いように感じます。動き物系で光量のあるモータースポーツ系も、一脚を用いることが大半で、狙ったコーナーに陣取り撮影することが大半だろうと思います。そこでのフレーミングの自由度を考えればありがたいでしょう。もちろん、コースを練り歩くような撮影なら100-400mmあたりが適当だと思われます。Vol.1で運動会の撮影シーンがありましたが、これはあまりおすすめできません(笑)28-300mmあたりが無難というか。目的が明確で、撮影スタイル自体が基本的にどっしりしたもので、そこにフレームの自由度を求めるのであれば本レンズはうってつけ。つまりは、プロフェッショナルの皆さんの「もう一つの可能性」を追うために1本手に入れておく、そんなことが考えられます。そして、汎用的な望遠ニーズに重量の軽いライトなレンズをお持ちで、一本、本格的なものが欲しいという方にもおすすめです。もちろん普段使いではないですから、その観点で見れば特別重いというわけではありません。いずれにせよ、10倍という倍率は我々にいろいろな可能性をもたらしてくれると思います。そこだけは16年前とまったく同じで、シグマらしい1本。そしてあの頃、画質的に単焦点レンズに憧れました。そんな想いを拭ってくれる、素晴らしい写りの1本になっています。

( 2018.10.30 )

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10倍ズームレンズとしても規格外と言える60-600mmという焦点域をカバーし、スポーツをはじめ様々なシーンで活かせる1本。ヘビー級のレンズですが、チャレンジしがいのある1本ではないでしょうか。

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これほど大きな前玉でも保護してくれるフィルターがあるのです。あるのだからしっかりと保護する、自然な流れであります。

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