PHOTO YODOBASHI

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Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/3200, F5.6, ISO 100, Photo by Z II

SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

キヤノンEFマウント対応「SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art」の実写レビューをお届けします。大切なことなのでもう一度お伝えしますが、ズーム域は"24-35mm"です。シグマのレンズがお好きな方は既に察しがついていることと思いますが、本レンズは2013年に世界初のズーム全域F1.8という驚愕の性能でデビューしたAPS-C用ズームレンズ「SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art」のDNAを受け継ぐ一本。開放値はズーム全域でF2となっており、こちらもまた35mm判フルサイズをカバーする交換レンズとしては“世界初”の性能を実現しています。FLDガラスや特殊低分散ガラス、非球面レンズを惜しみなく使った、13群18枚構成の妥協ない設計。24mm F2、28mm F2、35mm F2の単焦点レンズ3本をこの1本に集約したとも言える最高の光学性能と表現力。特に、ワイド端24mm、テレ端35mmの焦点距離では、Artラインにラインナップされている2本の単焦点レンズに迫る光学性能を有するとなれば、心中穏やかではいられません。スペックの数値を見ただけで、何時間でも語りたくなってしまうほど垂涎の性能となっていますが、ここはグっとこらえて作例を見ていきましょう。

( Photography : Z II / Text : Rica )

Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/4000, F5.0, ISO 100, Photo by Z II

まずはワイド端24mmでの1枚。F5まで絞っての撮影です。空に向かって伸びていくビルに、ディストーションはほぼ見られません。キレのあるシャープな描写でありながらまっすぐな線からは繊細さが感じられ、金属、ガラス、コンクリートなど、それぞれ違う質感もリアリティを持って描写されています。黒つぶれのように見えるシャドウ部にも、実はたっぷりと情報が残っているんです。逆光の影響も、まるで感じられませんね。

Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/400, F3.5, ISO 100, Photo by Z II

こちらもワイド端24mmでの撮影です。ご覧の通り、ピントピークのキレは素晴らしく、細かなモザイクタイルひとつひとつもしっかりと解像しています。こういった繊細な被写体はあまりに解像し過ぎて不自然な描写になってしまうこともありますが、とてもナチュラルな描き方をしてくれるレンズです。

Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/60, F3.2, ISO 250, Photo by Z II

太陽の照りつける屋外から、静かで涼しい屋内へ。ヨーロピアンテイストのアンティークな装飾が、人がリラックスできるだけの必要最低限の照明で彩られています。ソファーやカーテン、タイルや壁面の装飾など、どこまでも拡大して見たくなるほどの質感描写。そのキレのいい描写と同居するしっとりとした画作りが、長い歴史を持つ建造物の悠久の時を感じさせてくれます。また、窓の外に見える景色も白とびせず、そのディテールを残しています。


Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/60, F3.2, ISO 250, Photo by Z II

お父さんの髪の毛一本一本が、まるで触れられそうなくらいに自然に描写されています。娘さんが着ている浴衣のリップル生地の質感再現力も見事です。賑やかな背景のなかにある点光源が円形絞りによって丸くキラキラとしているのも魅力的ですね。テレ端からほんの少しズームリングを回し、約26mmでの撮影。微細な寄り引きをズームによって調整できるのは、こんな場面でとても便利です。

Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/30, F2.0, ISO 400, Photo by Z II

テレ端35mm、F2での撮影です。氷や水の描写からはひんやりとした温度まで伝わってきそうです。後方に向かう緩やかなボケもナチュラルでその場の奥行きが感じられます。

Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/200, F2.0, ISO 400, Photo by Z II

暮れゆく街のなか、お祭りへ向かう女の子の浴衣姿は、この時期特有の素敵な風景。こちらもテレ端35mmでの撮影ですが、こういったスナップ撮影には最適な焦点距離ではないでしょうか。F2という大口径はこういった薄暮の時間帯には大きなアドバンテージとなります。張りのある鮮やかな赤い帯の立体感、そして石畳と植物の葉ひとつひとつまで余すことなくしっかりと描写しています。


Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/640, F5.6, ISO 100, Photo by Z II

きらめく水面、ゆらめく木々。水の音や風のにおいまでも感じられそうなリアリティ。派手すぎない落ち着いた発色も好印象です。こういった高周波な遠景もなんなくこなしてしまうところに素性の高さが感じられます。28mm F5.6とやや絞り込んでの撮影ですが、こういったパンフォーカス的な風景写真撮影でこそ広角レンズの快楽を得られるというものです。

Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/1000, F2.0, ISO 100, Photo by Z II

最短撮影距離は28cm。最大撮影倍率こそ1:4.4と控えめではありますが、被写体にググっと寄って撮影できるのは大きな強みです。明るいレンズだからこその大きなボケに、9枚羽根の円形絞りによる丸ボケが彩りを添えています。決してよいとは言えない撮影条件下でもしっかりと画をまとめてくれるのは、本レンズの持つポテンシャルの高さと言えるでしょう。

Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/2700, F2.0, ISO 100, Photo by Z II

子どものころに感じた夏の夕方のちょっぴり切ない気持ちを思い起こさせる、凛としたひまわり。その存在感そのものを逆光にまったく負けることなくしっかりと再現しています。広角レンズでありながら、ボケを効果的に使った演出ができるのもF2という開放値だからこそ。


Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/1600, F2.0, ISO 100, Photo by Z II

Canon EOS 5D Mark III,  SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art, 1/1300, F2.0, ISO 100, Photo by Z II


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3本の単焦点レンズを1本に凝縮した、圧倒的パフォーマンス

性能に違わず940gと重量級のズームレンズですが、その描写は薄いビニール幕を1枚剥がしたようなクリアでヌケのよいものです。ズーム域が狭い分、ワイド端からテレ端までキレのある描写を堪能できます。また、このレンズ1本で勝負できることが撮り手をレンズ交換から解放してくれます。広角レンズの撮影では構図を決める際に背景を整理する必要も多く、ズームリングを回し瞬時に対応できるのも大きなメリットではないでしょうか。単焦点レンズと同等の明るさ、そして表現力を持ち、最高レベルの性能を徹底的に追及して生み出された本レンズ。広角レンズ3本を同時に携行する以上に、その焦点距離を自由に行き来しながらさまざまな被写体に向かうことを可能にしてくれるのです。単焦点レンズの描写力をズームレンズにも要求できる。このレンズはついにそんな時代が来たのだということを、その画力を持って提示してくれました。24mmから35mmとズーム域はわずか"一歩分"ではありますが、これは新たな世界への扉を開く大きな一歩になるはずです。

( 2015.07.30 )

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Artラインの最高性能をズームレンズで体感できます。ぜひ、あなたのカメラバッグに追加して頂きたい1本です。

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大切なレンズにはぜひ保護フィルターを。シグマ純正の保護フィルターは完全無色で色再現にも影響はありません。

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