PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
キヤノンEOS Rシステム特集
Chapter 3：とことんEFレンズで撮ってみる
EOS R + EF11-24mm F4L USM / EOS R + EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
キヤノンのカメラを選ぶという安心感、その根底にはやはりEFレンズという膨大な資産があります。広角から望遠、単焦点レンズにズームレンズ、マクロレンズにシフトレンズ。およそ撮れないものはないラインナップで選択肢が揃っていますから、これを使わない手はありません。EOS RシステムのボディにEFレンズを装着するにはマウントアダプターが必要になりますが、それが4種類も用意されているということに本気が見えますよね。EFレンズがあればこそ、産声を上げたばかりのEOS Rシステムにも躊躇なく踏み込めるというわけです。
さてそれでは実際にEFレンズをEOS Rにマウントして、その写りや感触を確かめてみたいと思います。選んだレンズは超広角ズームのEF11-24mm F4L USMと、望遠ズームのEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM。この極端な2本を使って得られる世界を、EOS Rで楽しんでみましょう。
( Photography & Text : Serow & Rica )
超ワイドに翻弄される幸福
EOS R + EF11-24mm F4L USM
ワイド端11mmというこの比類なきズームレンズは隅々まで破綻のない強烈な写りで、写真表現の新たな世界を切り拓く一本です。メーカーの枠を飛び越えて眺めても稀有な存在であり、RFレンズのロードマップにおいても、そう簡単にリリースされるスペックとは思えません。EFで用意されているのだから、こちらを使う。まさにそういったレンズだと思います。
本来的には三脚を据えてしっかり水平垂直を出すという使い方でしょうから、重量バランス等を気にする必要はないかもしれません。とはいえ今回は手持ちのスナップ撮影。これだけの性能ゆえに立派な大きさ・重さのレンズなのですが、EOS Rに装着した感触もほとんど違和感なく当たり前に使えてしまいました。焦点距離11mmの描く世界はまさに伸びやか。それ以上に撮り手の直感を超えるところがあって、「このあたりならこう写るかな」と想像しつつ、構えてみたらまったく画にならないという事態に何度も直面します。これがいい意味で刺激となって、また創意工夫を求められるわけです。良いレンズには、撮り手を導く力があります。
EF-EOS R マウントアダプターは4種類
EFレンズをEOS Rボディに装着するためのマウントアダプターは4種類用意されています。写真は「コントロールリングマウントアダプターEF-EOS R」。根本についたコントロールリングにより、シャッタースピード、絞り、ISO感度、露出の操作ができる優れモノです。コントロールリングは便利でスムース、質感も良好なのですが、不用意に触って設定が変わっている…なんていうこともあるのでご注意を。この点、シンプルなベーシックモデル「マウントアダプターEF-EOS R」がお好みの方もいると思います。この他に「ドロップインフィルターマウントアダプターEF-EOS R」が2種類、偏光フィルターとNDフィルターのモデルがあります。レンズを選ばずフィルターの効果を得られるというのは嬉しいですね。
カメラの軽さの恩恵をもっとも感じる超望遠ズーム
EOS R + EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
100-400mmというズーム域を持ちながらも、手持ちでの撮影も可能なコンパクトさが魅力のEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM。とはいえ、さすがにコンパクトなEOS Rに装着するとレンズが大きく感じ、ボディとの重量バランスが良いとはいえない印象でした（笑）。しかし、一眼レフではできないピントの拡大が可能なこと、そしてマウントアダプターを介しても、想像以上にしっかり動作してくれたこともあり、必要十分な撮影ができます。実際、風景など静物の撮影では何ら問題を感じませんでした。ピントを確実に追い込めることで、よりレンズの性能を引き出すことができますから、本レンズをお持ちの方はその魅力を再発見できるかもしれませんね。
動体の撮影ではAFを「顔+追尾優先AF」に設定。次から次へと向かってくる被写体に対しての追尾性能はなかなかのものです。その一方でシャッターを切った後、撮影に戻れる状態になるまでに多少時間がかかるため、特に連写をしたい場合には撮影画像の再生をオフにしての撮影をオススメします。その点まだ一眼レフに軍配が上がるものの、キヤノンには一眼レフもさまざまにラインナップされていますから必要に応じてカメラをチョイスしていくことができますし、もちろんミラーレス機として、今後そういった部分の性能の底上げは確実に施されていくでしょう。本レンズのような望遠ズームレンズを装着する場合でも、カメラそのものが軽いために（EOS 5D Mark IVとの比較では-230g）携行する際の体への負担は確実に軽減されます。たったの数百グラムと侮るなかれ。一日中撮り歩いたときにはその差は歴然。カメラが小さく軽くなることは大いに歓迎すべきことだと身をもって感じることができます。
EOS R/RPには、EFレンズがある。
RFレンズのラインナップは現状4本（2019年4月現在）。このレンズラインナップの数は、新マウントでは仕方のないところでもあります。自身の欲する焦点距離域がRFマウント化されていないことで、ボディの購入を保留しているという方も少なくないでしょう。しかし、キヤノンには30年余り続いてきたEFレンズ群があります。マウントこそEOS R/RPで「RFマウント」となりましたが、EFレンズのラインナップもRFレンズの一部と考えてしまえば選択肢は無数にある、ということになります。すでにEFレンズを持っている人がシームレスにEOS Rシステムに移行できるというだけでなく、EOS Rシステムを新たに手に入れる人にとって、マウントアダプターは夢の扉を開く鍵……というと大げさかもしれませんが、EFマウントの全レンズを自分の選択肢として持つことができる、大事なアイテムです。RFレンズのラインナップに限るのではなく、キヤノンの現行レンズをすべて使うことができると考えれば、どんな表現もできる。そう、EOS Rシステムには「EFレンズ“も”ある」のではなく「EFレンズ“が”ある」のです。
( 2019.04.19 )
EFレンズをEOS Rシステムボディに装着する、一番ベーシックなマウントアダプター。シンプルイズベストという方はこちらを。
絞りやシャッタースピード、ISO感度、露出補正などの設定を割り当てられるコントロールリングがついたアダプター。スムースな撮影に威力を発揮します。
こちらは偏光フィルターのついたアダプターです。水面やガラス面などの反射を抑えたり、青空を強調したり、使い方は言うまでもありませんね。
日中から開放を使いたい方、スローシャッターでクールに決めたい方なら是非このNDフィルター付きを。マウントアダプターにフィルターがつくのもEOS Rならではです。
11mmの難しさに撃沈・・・しかし端ばかりを使うのがズームレンズではありません。11-24mmの必要な焦点距離を自在に使えるというのが本レンズの価値。視野が広がる1本です。
使えるレンジとこのサイズ。お値段を見ればバーゲンプライスではないかと思います。風景を自在に切り取る望遠ズームレンズの力を、どうぞご堪能ください。