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キヤノンEOS Rシステム特集
Chapter 1:とことん教えて! EOS “R”

開発者特別インタビュー
キヤノンさんに聞いてきました!

およそ30年前に誕生した一眼レフのEOSシリーズは、フィルム時代を経てデジタルカメラの黎明期を支え、そして現在まで熟成させてきました。これまで、EOSシリーズは“快速・快適・高画質”をコンセプトに数々のモデルをリリース。現在、世界でもトップシェアを誇り、フルサイズミラーレス機への期待も高まっているなか、昨年の10月25日、満を持してEOS Rを世に放ったのです。そして今年の3月14日に、フルサイズセンサーを採用したEOSの中で最小となるフルサイズミラーレスカメラEOS RPをリリースし、ミラーレス市場に新たな風を呼び起こしたことはすでにご存知のことでしょう。そして今回はなんと、一連のフルサイズミラーレスの開発に携わった方々に、直にお話をうかがう機会をいただきました。EOS Rシステム誕生についてはもちろんのこと、新しいモデルについてどんな思いを抱いているのか、その他諸々をうかがうべく、キヤノン株式会社の下丸子本社へと向かいました。

話を聞いた人(敬称略):
キヤノン株式会社 イメージコミュニケーション事業本部 ICB製品事業部 小林正博
キヤノン株式会社 イメージコミュニケーション事業本部 ICB光学事業部 河合海至
キヤノンマーケティングジャパン株式会社 イメージコミュニケーション企画本部 阿部俊介
聞き手、文:Z II(PY編集部)
写真:KIMURAX(PY編集部)

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PY:昨年の10月に発売されたEOS Rですが、リリース後半年ほど経過し、手ごたえを感じていること、また想定外のことはありましたか?

小林:EOS Rシステムは、さらなる高画質を追求する為に開発したRFレンズを核とした新しいイメージングシステムです。我々の狙い通り、RFレンズの光学性能を中心とした画質の良さについては好意的に受け止めてくださっているということは感じております。また、オートフォーカス面の成熟が求められるのも必然で、デュアルピクセルCMOS AFについても好評価をいただいているのは嬉しい限りですね。特に暗いシーンにおけるAF性能について高い評価をいただいております。
また、我々が思っていた以上にEOS Rの反響が大きかったのは、電源OFFの際にシャッター幕が自動で閉まる仕様です。レンズ交換時にセンサーにホコリなどが付きにくいこの仕組みはめずらしい仕様のため、お客様から、これはいいねという声をいただいています。新しい操作系としては、マルチファンクションバーも、こんな割り当てが便利だったとか、設定はこうした方がいいよ、などお客様からのご提案が多数あり、私どもが想定していたよりも自由な使い方をしてくださっているのも嬉しいことでした。もちろんこれまでにはなかった操作系ですので、不安もありましたが、それ以上に新しい操作系に対し、ポジティブに捉えていただいている声が多く、今後もそういったさまざまな声を開発に生かせればと考えております。

PY:EOS Rの実機を手にすると、手にしっくりとなじみ、デザイン的にもとても完成度が高いことがわかります。実はかなり前から出来上がっていて、他社の様子を伺っているのではないか……と戦略めいたことを深読みしていたのですが、実際はどうだったのでしょうか?

小林:確かに、フルサイズミラーレスカメラに対する市場の期待が高まっているというのは、お客様からのご要望などから感じていました。ただ、EOS Rシステムは、単にカメラの新製品を開発しようと考えていたのではなく、さらなる高画質を提供するため、撮影領域を拡大するためには何が必要かを徹底的に考え、光学性能の可能性を追求した新しいイメージングシステムです。この先30年を見据えた発展性のあるシステムを開発するためには、新しいRFマウントの採用を含め、様々な技術の成熟が必要でした。その技術が成熟し製品化できたタイミングというのが、あのタイミングだったということになりますね。他社の動向は関係なく、キヤノンとしてベストなタイミングで出したということになります。

PY:なるほど、やはり他社も市場調査などから開発に進むわけですから、一生懸命にやっていると出来上がりも不思議と同じようなタイミングになるものなのですね。

小林:他社については分かりかねますが、キヤノンとしてベストなタイミングで発表できたと考えております。

PY:EOS 5D Mark IIIのユーザーとして、最近EOS Rを購入したのですが、5Dシリーズから省略された機能がいくつかあることに気がつきました。例えばストロボのシンクロ端子や、絞り込みボタン、背面のマルチコントローラー、ホイール式のサブ電子ダイヤルなども省略されています。そのあたりについてはどのような意図があるのでしょうか?

小林:やはりフルサイズとはいえ、ミラーレス機ということで小型軽量化を目指していました。その過程でEOS Rのターゲットとなるユーザー層のニーズとのバランスを見て、搭載する機能を決めていきました。

PY:メインのターゲットユーザー層はどのあたりを想定していますか?

小林:幅広い方々に使っていただけるようになっていますが、メインのターゲットユーザーは、より高画質、高機能、高性能を求めるハイアマチュアユーザーです。被写体に応じてレンズを交換し、撮影を楽しむハイアマチュアの方々をメインのターゲットと考えています。

PY:小型軽量化、ユーザーの要望を実現するための創意工夫が散りばめられた結果というわけですね。では、3月14日にリリースとなったEOS RPの方はエントリー機という位置付けになりますでしょうか? センサーサイズは異なりますが、EOS Kissシリーズや、EOS Kiss Mシリーズなどとユーザー層が重なってくる部分もありますよね。

小林:センサーサイズの違いはもちろんあるのですが、キヤノンと致しましては、お客様が何を求めているかという部分、またそこに対して選択肢を多く取り揃えていこうということを考えています。センサーサイズよりも小さなボディサイズを重視するお客様であればEOS Mシリーズをご用意していますし、フルサイズセンサーで小型軽量のボディを求めている方に対しては、これまでEOS 6Dシリーズを提供させていただきましたが、さらなる小型軽量の選択肢として、ピースを埋める形で今回「EOS RP」をご用意できたということですね。これまで大きい・重いを理由にフルサイズカメラを諦めていたお客様に是非EOS RPを購入いただきたいと思っています!

PY:EOS Rの手ブレ補正について教えていただきたいのですが、他社ではレンズシフト式のレンズ内手ブレ補正とセンサーシフト式のボディ内手ブレ補正のいずれか、または両方を組み合わせた手ブレ補正システムに進化する中、EOS Rではレンズ内手ブレ補正に電子式のボディ内手ブレ補正を組み合わせています。

小林:ひと言で言えば製品としてのバランスということです。EOS Rではサイズ感や重量、価格など、総合的に考えた結果、センサーシフト方式の手振れ補正は搭載しておりません。EOS Rとレンズ内に光学式手ブレ補正を搭載したRFレンズの組み合わせについては、静止画では、デュアルセンシングISの搭載により手持ち撮影などで生じる低周波のブレを補正し、CIPA基準で最大5段のIS性能を実現しています。また、動画では光学ISと電子ISの協調制御を行うコンビネーションISによる性能向上を実現しています。例えば、将来的にセンサーシフト方式の手ブレ補正のカメラが出るという可能性を考えた際には、カメラのセンサーシフト方式の手ブレ補正とレンズの光学ISとを協調させ、さらに高いレベルでの手ブレ補正システムとして進化させることも見据えており、カメラとレンズ両方の手ブレ補正を進化させていくことを目指しております。レンズ側に光学ISを搭載することは、そのような将来の展開を見据えた上でもメリットがあると考えております。

PY:実際にEOS Rを使用してみると、EOS 5Dシリーズに比べ、バッテリーの消費が早いと感じました。

小林:バッテリーにつきましてはEOS RのターゲットユーザーとしてEOS 5DシリーズやEOS 6Dシリーズからの乗り換え、買い増しを検討される方が多いのではないかと考え、同じ電池を使えるというメリットが大きいので、共用できるようになっています。電池の持ちにつきましても、お客様の声を真摯に受け止め、今後に生かしていきたいと考えております。

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写真左:小林氏、中央:河合氏、右:阿部氏

PY:RFレンズのラインナップについてはスタンダードな「RF24-105mm F4 L IS USM」だけではなく、「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」にはマクロ機能があったり、「RF50mm F1.2 L USM」という大口径標準レンズがあったり、「RF28-70mm F2 L USM」という世界初の開放F2通しのズームレンズがあったりと、非常に面白いラインナップを展開していますよね。

河合:今回新しいシステムになった意味をボディだけでなくレンズを通して体感してもらいたいということで、この4本をラインナップしました。まずRF28-70mm F2 L USMですが、このレンズをEFマウントで作ろうとすると、手持ちの撮影は厳しくなってしまうほど、大きく、また重くなってしまいます。ですが、今回EOS Rシステムの特徴である大口径・ショートバックフォーカスになったことで、光学設計の自由度が高まり、ついにという思いでリリースすることができました。

PY:“いちカメラ好き”からするとこういったF2通しのRF28-70mm F2 L USMという、ある意味とがったレンズをキヤノンさんが最初のラインナップとしてリリースしてくるということが実は意外でした。

河合:開発する側としては、ミラーさえなければもっと面白い、もっと新しいレンズができるのにという部分があり、今回EOS R用のレンズとしては、やりたかったことをまずやりました。大口径・ショートバックフォーカスにすると、高画質化、小型化、ハイスペック化のうち、どれかに振ったレンズを設計可能になるのですが、RF28-70mm F2 L USMはこのうちのハイスペック化に振ったレンズで、RF50mm F1.2 L USMは高画質化、RF35mm F1.8 MACRO IS STMは小型化とそれぞれに新しい価値を与えることができたレンズだと考えております。

PY:単刀直入におうかがいしますが、どのレンズがいちばん売れていますか?

阿部:いちばん売れているのは、やはりといいますかRF24-105mm F4 L IS USMですね。ただRF28-70mm F2 L USMとRF50mm F1.2 L USMも私どもの想定以上に売れており、大変嬉しく思っております。

PY:RF50mm F1.2 L USMという非常に明るい開放値のレンズのリリースは、ユーザーとしても嬉しいです。挑戦的なと言いますか、とてもアグレッシブとも言うべきレンズを最初のラインナップにするあたりに、今回のEOS Rに対する熱い思いを感じます。開放F1.2ということでいくと、EFレンズにも「EF50mm F1.2L USM」というレンズがありますよね?

河合:もちろんEF50mm F1.2L USMには50mmという使いやすい焦点距離や浅い被写界深度による大きなボケ味を活かせる点で、多くのお客様にご愛用いただいております。しかし、プロの方は解像力を上げるために少し絞って使うことが多かったかもしれません。RFマウントのRF50mm F1.2 L USMは、絞り開放から存分に解像力を得られる一本となっていますので、開放でのカットも積極的に作品化していただけると自負しております。

PY:これまでの製品に関しても、今回のEOS Rに関しても、デザイン、操作感、パフォーマンスにおいても質が高い、オールマイティでバランスが良いという部分を重視しているという印象を受けます。趣味性というより、“確かな道具”としてのカメラを目指しているように感じているのですが、実際のところはいかがでしょうか。

小林:EOSというのは30年前から“快速・快適・高画質”をコンセプトに、技術を積み上げてきたので、カメラとしてバランスがいいと感じていただいていると思います。もちろんEOS Rにもそのコンセプトは受け継がれていて、この先の新たな30年を見据えたとき、EOS Rも同じように長く愛していただけるようにという思いで新しいシステムを立ち上げています。それぞれの撮影者に寄り添う、快適なカメラというのを念頭に置いた開発をしていきたいですね。また、30年後どのようになっていくかという未来は、私どもだけが考えていくものではなく、お客様が何を求めるかということによっても変わっていくものだと思っています。そして、そのニーズに応えられるだけの発展性を秘めているシステムだと思っておりますので、これからお客様と一緒に育てていきたいという思いが強いですね。

PY:EF、EF-S、EF-M、RFとフルラインナップを揃えて、自由にチョイスできるという自由度も高まっていますね。

阿部:2018年9月にEFマウントの「EF400mm F2.8L IS III USM」と「EF600mm F4L IS III USM」、EF-Mマウントの「EF-M32mm F1.4 STM」、それにRFマウントの4本を同時に発表し、それぞれのシステムのレンズラインナップを拡充しました。3つのマウントそれぞれに良さがあり、今回同時発表したのは、お客様毎に自由に選択頂くというメッセージ的な意味合いもありますね。

PY:これまでEOS 5Dシリーズほか一眼レフでEFマウントを使用してきたユーザーの方々のEOS Rシステムへの反応はいかがでしたか?

阿部:小型軽量という面では、シニアの方ですとより小さく、軽くというところを重視される方が多く、このあたりのご要望は多かったんです。フルサイズとはいえミラーレス機では、これまでの一眼レフよりも軽量コンパクトになっておりますので、好意的に受け止めていただいているという印象です。

PY:EFレンズへのマウントアダプターが4種類もラインナップされていますよね。

河合:今までのEOSシリーズを使っている方、レンズ資産をたくさんお持ちの方に対して、よりスムーズに、シームレスに移行してもらいたいという意図もありますし、風景を撮る方なら必ずといっていいほど使用する、レンズの前面に装着するPLフィルターなどをドロップインで差し込めるようになれば、利便性の面からも、メリットのある商品になるという思いから揃えました。

PY:さきほどシニアの方々の小型軽量化への声を伺いましたが、実は老眼という面でEVFとはまさに救世主だと思います。そういったご意見もありますか?

阿部:おっしゃる通りですね。やはりEVFを実際に試されてみた後“やっぱりEVFが内蔵であった方がいいね”という方は多くいらっしゃいます。光学ファインダーの良さももちろんありますが、ピントが合っているかどうかをしっかり見ることができるだけでなく、拡大も可能ですから、そういった面で老眼の方だけでなく、すべてのお客様にとってもEVFのメリットは大きいと思います。

PY: F1.2での極薄のピント合わせを光学ファインダーよりも、はるかに速く、正確にできるというのは本当に大きなメリットだと思います。現時点でEFとRFそれぞれ向き不向きやEFレンズから進化した点というのはありますか?

阿部:EOS Rシステムでの一番のポイントは、小型軽量化とともに、大容量高速通信という点でしょうか。通信面で進化しているという意味ではEFにできないコントロールリングや、電子的に手ブレを感知できる性能があります。ただ、流し撮りなど動体に対してはまだEFマウントの光学ファインダーの方が向いている部分もありますので、これからもEF、EF-S、EF-Mも並列していくということになります。もちろんその面でもRFが追いつく可能性は十分にありますので、お客様の用途やニーズに応じて選んでいただくことができればと思っています。

PY:カメラが小さくなるのは大歓迎です。できれば重たいカメラは持ち歩きたくない、スマートフォンのサイズや重さがいいなと思われる方も少なくないですよね。

阿部:確かに先日のCP+でもそういうご意見はありまして、3月14日発売のEOS RPへの反響は非常に大きかったですね。

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3月14日にリリースされたばかりのEOS RPは手のひらに収まってしまうほどコンパクト。

PY:できるだけ小さくて軽くて、でもいい画が撮れるカメラが欲しいというのは偽らざる本音なんですよね。

阿部:EOS RPに関しましては、APS-Cからのステップアップをしたいと考えている方に向けてのモデルとなります。“初めてのフルサイズ”というコンセプトで、価格帯やサイズ感では大変良い反響を受けている印象です。

PY:カメラ好きからすると、とかく「P」がつきますと「プロフェッショナル」という意味合いを思い起こしてしまうのですが、EOS RPの「P」にはどのような意味があるのですか?

阿部:1959年発売の「P型」というモデルの愛称である「ポピュレール(Populaire)」に由来しています。フランス語で「人気の、大衆的な」という意味を持ちます。当時は高級機をメインとしてカメラを生産していましたが、ポピュレールはより幅広いお客様向けとして作られたモデルでした。実は、EOS RPはEOS Kiss X9iよりも軽いんです。よりカジュアルに、軽快に携行し、撮影していただけると思っております。また、こちらは日本国内のみの販売ですが、5,000台限定でゴールドのカラーバリエーションを用意しています。

PY:RPの方には電源オフ時にシャッター幕でセンサーを保護する機能がありません。あれは難しい技術なのですか?

小林:技術的にというよりはEOS RPのユーザー層を考えて、あえて外しているんです。というのは、センサーを保護しているのはシャッター幕で、つまり、それが露出しているわけです。触ろうと思えば触れてしまうんですよね。これはこれでとても繊細な部品ですので、初心者の方が何も知らずに触れてしまうというリスクをあえて外したということなんです。EOS Rはハイアマチュア層向けなので、その辺りの知識をお持ちの方も多いと思うのですが、EOS RPのユーザー層はもしかすると……というリスクを軽減しました。

PY:コンパクトカメラと言ってしまえるほど小さいEOS RPですが、設計で苦労した点はどんなところですか?

小林:やはり小型化・軽量化するということそのものが大変ですね……。何か特定のパーツを改良すれば良いという話ではなく、数ある部品のひとつひとつの改良の積み重ねで実現しています。小型化を追い求めるとどうしても出てくる問題が強度と熱対策なのですが、それもひとつの部品を改良すれば済むという話ではないので、そのあたりにはさまざまな工夫と苦労があります。また、小型化だけを追い求めて、グリップのホールド感や操作性を損なってはいけません。小型化と使いやすさの両立、EOS RPはそのバランスがとても良く仕上がっていると思います。

PY:最後にぜひおうかがいしておきたいのですが、RFレンズのマウント径については、相当な議論があったと思います。しかし、結果としてEFマウントと同じ54mmとなっていますよね?

河合:レンズマウント径を大きくすると、光学設計の自由度が上がるというメリットはあるものの、その分レンズの太さに直結してきてしまいます。その結果レンズが太く、大きくなってしまい、どうしてもカメラとのバランスが悪くなります。さまざまな議論、検証を重ね、結果的に従来と同じ内径の54mmということに落ち着きましたが、ミラーがなくなりショートバックフォーカスとなることで、同じマウント径でも、これまでにないスペックのレンズを作ることが可能になりました。レンズ最後端から撮像面までの距離をバックフォーカスと呼び、光学設計にはこの距離が短い方が有利になります。ただ、この距離を短くすると、マウント面から撮像面までの距離であるフランジバックが短くなり、剛性との兼ね合いでここを短くしすぎると、強度が落ち、マウント部分が折れてしまうというリスクがあります。そういったバランスも含め、20mmのフランジバックがベストという結論に至りました。

PY:54㎜ありきではなかったのですね。これまでの30年余りを支えてきただけではなく、まるでミラーレス時代を見越していたのかと深読みするとゾクゾクします。これからの未来をも担う54mmというマウント径なのですね。


未来を予見していたかのようなマウント径を有するEOS R

さらなる「高画質化」を追求した結果、EOS Rの誕生には新たなレンズが開発できるようになったという部分が大きく貢献していました。そのエピソードは大変興味深く、キヤノンが目指してきた“快速・快適・高画質”を次世代のモデルへ継承するためのさまざまな創意工夫があったわけです。また、これまでのEOSシリーズを支えてきたEFマウントの54mmというマウント径は、さらに進化を遂げながらEOS Rシリーズでも同じサイズが引き継がれたというか、さまざまな検証の結果として再び導き出されたわけです。これはキヤノンの先見性の高さを物語るエピソードのひとつではないでしょうか。EOS Rが新たなキヤノンの推進力となっていくことは間違いないと確信した次第です。ちょっと個人的な感想を言わせていただくと、作り手のパッションがビシバシ伝わってきました。というのも実は、キヤノン製品を通してなんとなく抱いていたイメージが、クールとかスマートなという言葉がしっくりくるかなと。カメラ好きなら誰もが知るメーカーながら、いやそれ故なのか、人臭さみたいなものをカメラから感じたことがないのです(すみません勝手な思い込みで)。でもやっぱり直に会ってみると違います、そこはやはり人ありきなのですね。開発陣のひとり一人の、汗をかきながらの熱い思いがカタチ作っている。ユーザーに寄り添い、ユーザーとともに、新たな次世代のカメラを育てていきたいという思いが、EOS Rを生み出したのだと実感しました。「EOS R」そして「EOS RP」をすでに入手している人はもちろんのこと、これから手にしようと考えている人は、ぜひともその思いを感じてみてください。

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( 2019.04.10 )