PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SORI2 - 新宿光學總合研究所

第8話
StarScape
シンク・アバウト・マルミのフィルター(その2)

星本来の色味を大切に、美しい夜空を表現

光害って聞いた事ありますか?

カイハツ髙橋
3号

ヒカリガイ?

2号

人工的に作られた街の明かりとかですよね。

都心で星が見えにくいのはそのためですし、実は地方でも星が見えにくくなっています。

カイハツ髙橋

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日本光害地図より

ちなみに、こちらは光害のレベルを色で表した(日本光害地図)ですが、ここマルミから近い長野県美ヶ原高原でも光害の影響が及んでいます。

カイハツ北村
3号

まことでござるか。

都会ほどではありませんがね。しかし人工光特有の色によって星空の色味に影響が出てしまうのです。

カイハツ北村
2号

今はデジタルの時代、ホワイトバランスの調整で如何様にも。

って単純なものではないのです。

カイハツ髙橋
4号

だな。

そこで都市の主な光害となる光源の波長域をカットする(透過させない)コーティングを施したフィルターを完成させました。

カイハツ髙橋

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1号

曲線がストンと落ち込んでいる所がカットしている所だ。

この図の見方は第1話でざっくり説明しましたね

カイハツ髙橋
2号

はーい、大丈夫です。

通常のフィルターであればコーティングは20層程度ですが、この時は40層を超えまして。。。

カイハツ北村
2号

めちゃめちゃ、がんばっちゃいましたね。

3号

大サービス!

実は、、、

カイハツ髙橋
4号

実は?

広角レンズで使用すると周辺が色被りしてしまいまして。

カイハツ髙橋

コーティング層が多いことで、入射角(光が入る角度)によって光学特性が変わり、色ズレが生じてしまい、、、

カイハツ北村

ボツ!

1号

意外な落とし穴。

3号

あちらを立てれば、こちらが立たず。悩ましいでござる。

そこから侃々諤々し、コーティング層を減らすために、ガラス材で何か対処できないかとなったわけです。

カイハツ髙橋

ハンサー系の色ガラスを応用できないかとかね。

カイハツ北村
2号

ハンサー系って、これまた第1話で出てきた

ガラスメーカーさんに、こんな特性のガラスが欲しいとオーダーし、上がってきた試作を測定器で評価したり、実際に撮影してということを幾度となく繰り返しました。

カイハツ髙橋

そしてようやくいい塩梅のガラスに仕上がったのが2018年の冬。フィルターの最終的な透過率の特性はこうなりました。

カイハツ北村

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星景用光害カットフィルターの開発をスタートしたのが2014年ですからね、丸5年もかかってしまいました。

カイハツ髙橋

ああ、忘れもしない最後の実写評価、、、

カイハツ北村

クソ寒い中、メンバー総出での撮影はホント痺れましたねぇ。

カイハツ髙橋
1号

それはそれは、がんばった甲斐があったじゃないですか。