PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
第8話
StarScape
シンク・アバウト・マルミのフィルター(その2)
星本来の色味を大切に、美しい夜空を表現
光害って聞いた事ありますか? |
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ヒカリガイ? |
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人工的に作られた街の明かりとかですよね。 |
都心で星が見えにくいのはそのためですし、実は地方でも星が見えにくくなっています。 |
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ちなみに、こちらは光害のレベルを色で表した(日本光害地図)ですが、ここマルミから近い長野県美ヶ原高原でも光害の影響が及んでいます。 |
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まことでござるか。 |
都会ほどではありませんがね。しかし人工光特有の色によって星空の色味に影響が出てしまうのです。 |
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今はデジタルの時代、ホワイトバランスの調整で如何様にも。 |
って単純なものではないのです。 |
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だな。 |
そこで都市の主な光害となる光源の波長域をカットする(透過させない)コーティングを施したフィルターを完成させました。 |
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曲線がストンと落ち込んでいる所がカットしている所だ。 |
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はーい、大丈夫です。 |
通常のフィルターであればコーティングは20層程度ですが、この時は40層を超えまして。。。 |
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めちゃめちゃ、がんばっちゃいましたね。 |
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大サービス! |
実は、、、 |
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実は? |
広角レンズで使用すると周辺が色被りしてしまいまして。 |
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コーティング層が多いことで、入射角(光が入る角度)によって光学特性が変わり、色ズレが生じてしまい、、、 |
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ボツ! |
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意外な落とし穴。 |
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あちらを立てれば、こちらが立たず。悩ましいでござる。 |
そこから侃々諤々し、コーティング層を減らすために、ガラス材で何か対処できないかとなったわけです。 |
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ハンサー系の色ガラスを応用できないかとかね。 |
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ハンサー系って、これまた第1話で出てきた。 |
ガラスメーカーさんに、こんな特性のガラスが欲しいとオーダーし、上がってきた試作を測定器で評価したり、実際に撮影してということを幾度となく繰り返しました。 |
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そしてようやくいい塩梅のガラスに仕上がったのが2018年の冬。フィルターの最終的な透過率の特性はこうなりました。 |
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星景用光害カットフィルターの開発をスタートしたのが2014年ですからね、丸5年もかかってしまいました。 |
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ああ、忘れもしない最後の実写評価、、、 |
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クソ寒い中、メンバー総出での撮影はホント痺れましたねぇ。 |
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それはそれは、がんばった甲斐があったじゃないですか。 |
- プロローグ 異動辞令下る
- 第1話 フィルター事始め - 写真用フィルターとは何か
- 第2話 デジタル時代のフィルター - 光学フィルターの危機か?好機か?
- 第3話 フィルターの構造についてちょっと - ガラス板と枠しかないけど、でもそこにはいろいろある
- 第4話 いかにしてフィルターは作られるのか - これぞ、ハンド・メイド・イン・ジャパン
- 第5話 今回はCP+の特集です! - マルミ光機@CP+2025 直前スペシャル
- 第6話 カイハツのハナシ - そこには未開の荒野が広がっている?
- 第7話 EXUS Lens Protect - シンク・アバウト・マルミのフィルター(その1)
- 第8話 StarScape - シンク・アバウト・マルミのフィルター(その2)