PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
第4話
いかにしてフィルターは作られるのか
これぞ、ハンド・メイド・イン・ジャパン
興味津々、工場の中へ
はーい、皆さんこちらでーす。 |
ベリッ、ベリッ、ベリッ |
なにゆえに足踏みしているのでござるか。 |
靴底に付着したゴミを取るための粘着マットです。チリやホコリの侵入は作業上よろしくないものですから。作業工程ゾーンに入る際には必ずやります。では、おひとりずつどうぞ。 |
おや、ひとりひとり区切られた、暗い空間で何かやっているなあ。 |
これはC-PLフィルター用のガラスを加工しているところで、ガラスに偏光板フィルムを貼り付けています。 |
不要な反射光を除去するフィルターね。 |
ガラスにフィルムを貼るって、スマホの画面に貼るみたいな? |
まさにそれ。貼り合わせたものがこれです。 |
ズレたり空気が入ると厄介なやつだ。 |
貼り合わせる際に気泡やホコリなどの混入が無く、均一に貼れているかどうか目視できるように周囲からの光を遮断して作業しています。 |
あ、それで靴もベリベリしたでござるか。 |
手元に伸びたダクトからも、常に空気を吸い出しています。 |
ホントに小さなゴミが大敵なんですね。 |
働いている人に訊いてみた① 堀内さん(貼り合わせ担当)
Q:現在の仕事に就いてどのぐらい?
A:貼り合わせで6年になります。Q:この仕事のいちばん大変なところは?
A:目が疲れて、肩が凝って大変です。先日もマッサージに行きましたが、翌日にはもう凝ってる感じで。施術が始まった途端、「うぉっ」て先生に言われたこともあります。Q:今のスキルが身に付くまでどのくらいかかった?
A:独り立ちできたかなと思えるまで半年くらい。最初はきれいに貼り合わせができなくて、誰が見ても一目で不良品と分かるものばかり作っていました。一通りのことを教わってからは、もう慣れるしかなかったです。Q:この仕事のためにプライベートで気をつけていることは?
A:一定の温度・湿度に保たれた暗い空間で、ずっと一人で作業をしているので、眠くなりやすいんです。そうならないように、睡眠をしっかりとることには気をつけています。ホントに寝ちゃったこと? ないですって!(キッパリ)。Q:この仕事を誰かに教える場合、どんなことがいちばん大事だと教えますか?
A:大事なことだらけで絞れません。元からある作業マニュアルに加えて、配属時に教えてもらった時のことを思い出しながら、それを私なりに図面や文章に書き起こしたものを使って説明する工夫をしています。Q:プライベートで写真は撮る?フィルターの使用経験は?
A:2~3年前までカメラで撮ってました。フィルターは何度か使ってみたのですが、知識が足りず使いこなすまでにはいきませんでした。Q:休日は何をして過ごすのが好き?
A:推し活です! 東京や名古屋は長野から行きやすいので、可能な限りライブに足を運んでいます。
貼り終わったものがまとまったら、ガラスの形に沿って余分なフィルムを切り落としていきます。 |
バリ取り大事。 |
手際よくスイスイとキレイに切り取れるものなんですね。接着面があるし、形が丸いから切りづらいと思うんだけど。 |
もちろん、最初からこんなふうにはできません。そこはプロの技です。確実、丁寧、そして速さが大切。サイズや数量によってはレーザーカッター機(2枚目の写真)を使うこともあります。 |