PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
- 本稿は、写真用フィルターについてより深い理解が得られるよう、その原理や構造を出来る限り易しい言葉で解説することを目的としています。
- 本稿は、マルミ光機株式会社による取材協力・監修のもと、すべてフォトヨドバシ編集部が考案したフィクションです。実在の人物が実名で登場しますが、本人と酷似する言動があったとしても、偶然の一致に過ぎません。
- 「新宿光学綜合研究所 長野分室」は、実在しない架空の団体です。
第3話
フィルターの構造についてちょっと
ガラス板と枠しかないけど、でもそこにはいろいろある
日々フィルターの勉強をしている4人。ここまではフィルターの種類や現代にフィルターが果たす役割について考えてきましたが、いよいよフィルターがどのような仕組みになっているのか、その構造について考察するところまでやってきました。フィルターの主なパーツはガラス板と枠。それだけ。数ある写真関連用品の中でも飛び抜けてシンプルな構造をもつフィルターですが、意外というか、やはりというか、そこにはたくさんの秘密がありそうですよ。
わりとタメになる導入部
長野の人はみんな優しいなあ。 |
何かあったでござるか。 |
車を運転してて、赤信号で停まるじゃない。で、ちょっとよそ見したり、考え事をしてたりして、信号が青になっても気づかないことって、たまにあるでしょ。 |
拙者はほぼ100パーセントそうでござるが。 |
あなたの場合はそうでしょうね。でね、その時にずっと待ってくれるのよ、後ろの車が。私が気づくまで。もちろん、そんなに長い時間じゃないけどね。 |
東京だったら2秒でクラクション鳴らされるでござるな。 |
それに比べると長野はおおらかだわー。 |
長野県の交通マナーは総じていいと思うよ。ここに「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」という舌を噛みそうなデータがあるんだけど。 |
信号の無い横断歩道に歩行者がいた時、車がちゃんと停まるかどうか。それを調査して都道府県別にスコアを出しているんですね。 |
そんなデータがあるでござるか。 |
一般社団法人日本自動車連盟、通称JAFが毎年調べてる。近年はこの違反(立派な道路交通法違反です!)の取り締まりが強化されていることもあって全国的に底上げ傾向にあるけど、それでも全国平均は53%どまり。 |
まだ半分の車は停まらないんでござるか。嘆かわしい。 |
ところが長野県はなんと87%。もちろん堂々の1位。2位の石川県とは6%以上の開きがあるので、これがいかに突出した数字か分かりますよね。 |
わあ、すごい! これって、もし停まってくれなかったら心の底から驚かれちゃうレベル。 |
ちなみにJAFが都道府県別の調査を始めた2018年からずっと、長野県がトップを独走中。 |
もう習慣として身についてるんでござるな。 |
歩行者に優しいってことは、ドライバーに他者を思いやる心の余裕があるってこと。隣接する県の数だの、河川の名前だのは私たちにはどうしようもないことだけど、これは県民性を表す数字だから自慢できますよね。すてき。 |
まぁ、実際に住んでるわれわれにしてみれば、「そんなの当然でしょ?」なんですけどね。 |
そこがまたカッコいいのよう。 |
さて、そろそろみなさんに、フィルターを作るプロセスを実際に見てもらおうと思う。 |
おっ、工場見学ですね! |
待ってました! |
早く見ましょう! どこから工場へ入ればいいんですか? このドアですか? あ、トイレだ。 |
これこれ。落ち着きなさい。いきなり見たって何が何だか分からないだろう。 |
まずはちょっとだけ予習をしておきましょう。 |
なんだあ、お勉強でござるかあ。 |
そう言わない。フィルターの構造って、どうなってるか知ってる? |
金属製の枠にガラス板が嵌っているだけ・・・ですよね? |
まぁ、簡単に言ってしまえばその通り。至ってシンプルな構造を持った製品だ。だけど、もちろん嵌っているのはただのガラス板ではないし、枠だっていろいろ秘密がある。 |
シンプルな構造だけに、奥が深そう。 |
順番に見て行きましょう。いわゆる「ガラス板」と呼ばれている部分から。 |