PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
第1話
フィルター事始め
写真用フィルターとは何か
特殊なフィルター
「色に変化を与える」「像に変化を与える」以外のフィルターもある。その代表格は、何と言ってもPLフィルターだな。 |
PLとはPolarized Lightの略。直訳して偏光フィルターと呼んだりもします。PLフィルターは「不要な反射光を除去する」ためのフィルターです。 |
不要な反射光って? |
これを見てください。 |
あ、水面の反射がなくなって水の中までクッキリ! |
これの仕組みについてはまた別の機会に譲りますが、このフィルターがどれだけ効果絶大か、一目で分かりますよね。 |
ガラスや水面の反射は分かりやすい例だけど、実は目に見えるすべてのものは光を反射している。空気でさえ、大気中の水分が光を反射している。それによって、写真に撮るとコントラストが低下したり、色が濁ったりしてしまうんだ。およそ光の下にあるものなら、このフィルターを使うことでキレイに写るようになるよ。 |
魔法のフィルターでござるな。 |
あとは、こんなフィルターもある。 |
これは何のためのフィルターかしら? まさか画面全体をどぎつい赤やオレンジにするわけじゃないですよね? |
それも面白いかもしれないけどね。これはモノクロ写真用のフィルター。黒と白の濃淡だけで表現されているのがモノクロ写真だけど、そのコントラストを調整するためのものなんだ。モノクロで写真を撮っている人は、これをつけっぱなしにしていることも多かった。一眼レフだとちょっと使いづらいけどね。 |
いっさい効果を与えないフィルターもあります。 |
何ですか、その禅問答みたいなフィルターは。 |
プロテクトフィルターです。 |
ああ、そういうことか。 |
プロテクトフィルターはレンズをしっかりガードしつつも、写りに関しては「何も足さない、何も引かない」ことが求められます。それはそれで結構難しいんですけどね。 |
さっきのガイドブックでプロテクトフィルターを探してごらん。 |
えーと、あれ? 無い…? あ、あった一番最後のページにちょこっとだけ。 |
実は、プロテクトフィルターってデジタル以降に急成長したアイテムなんですよ。 |
へええ。でもどうしてですか? 昔からあってもいいようなものだけど。 |
それは、レンズの価格の変化と関係している。デジタルになってレンズの性能が飛躍的に向上した結果、フィルム時代に比べると高額になったんだよ。 |
高いから、より気を使う必要が出てきたんでござるな。 |
昔はネクタイで前玉を拭いたりしてたけどね。今のレンズでそれをやったらドン引きされるね。 |
NDフィルターもプロテクトフィルターに似ています。 |
あ、その名前は聞いたことあるぞ、えーと・・ |
Neutral Density、直訳すると「中立な濃度」。一般には減光フィルターと呼ばれます。色や像に変化を与えず、透過する光の「量」だけを減らすフィルターです。 |
ああ、そうそう。流れている川や滝の水を「逆の流し撮り」みたいにして撮るやつですよね! |
そう。シャッタースピードを遅くしたいけど、ISO感度を下げるだけでは追いつかない時に使うのが典型的。あとは輝度差が大きい風景を撮る時にも特殊なNDフィルターを使うし、私なんかはもっぱら、F1.2とかの大口径レンズを真っ昼間から開放で使いたいから「つけっぱ」にしたりね。実はいろいろ使い道があるフィルターです。 |
そんなわけで「フィルターにはどんな種類のものがあるか」を簡単に説明しました。フィルターのバリエーションは多岐に渡っていて、特にフィルム時代にはたくさんのフィルターがありましたが、それについてはガイドブックを見るとよく分かると思います。今回の話をおさらいするとこんな感じかな。 |
ところで、素朴な疑問なんでござるが・・・ |
はい、どうぞ。 |
フィルターで作られる効果の多くは、今となっては画像処理ソフトで同じことができるような気がするんでござるが・・・ |
あっ |
あっ |
お前、それを言ってしまったな・・ |
3号さん、それは極めて重要な問題です。その点については・・・ |
その点については? |
次回に続く。 |