PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SORI2 - 新宿光學總合研究所

第1話
フィルター事始め
写真用フィルターとは何か

フィルターって、ナニ?

4号

そもそもフィルターって、何なんですか?

来たド直球の質問。まぁ、最初はそこからですね。

藤原室長

写真用フィルターをひとことで言えば、「写真を撮影する際、カメラのセンサー面(またはフィルム面)に届くまでの光をコントロールして、『色』と『像』に変化を与えるもの」となるかな。

カイハツ北村
2号

光をコントロールして色と像に変化を・・

そう。だから世間で写真用フィルターとして売られているものだけじゃなくて、いろんなものがフィルターになりうる。

カイハツ北村
2号

例えば?

例えば、目の細かい金属製の網とか、透ける布とか、カラーセロファンとか、他にもありとあらゆるものが。

カイハツ北村
1号

そういえば、レンズにパンティストッキングを被せて写真を撮るヘンタイ、間違えた、知り合いがいます。なんでも色とか、繊維の太さとか、あるいは引っ張り具合で写り方が変わるんだとか。

それはきっと「ハイライトの滲み」が欲しいのですね。ハイライトが滲むと、古い写真の感じが出るんです。さらにやり方をいろいろ試して、自分のイメージ通りの効果が出るようにコントロールしている・・・それはもう、立派なフィルターです。

カイハツ北村
3号

ちょっとお待ちくだされ。カメラやレンズを設計されている方は、被写体が目に見える通りに写るよう、日々苦心されているでござる。それを変化させてしまっては、彼らの苦労が水の泡ではござらぬか。

写真は記録手段でもありますから、正確さが求められる写真の場合はその通りです。変化させるなんてもってのほか。

カイハツ北村

一方で、写真は表現の手段でもある。「この被写体が私にはこう見えたから、見る人にも同じように見えて欲しい(その時の感覚、感情)」とか、「私の撮る写真はすべて、人にはこう見えて欲しい(自分らしさ)」とか。写真って、実はそこが大事だと思うんだよ。

オヤカタ関
2号

確かに。それと同じ話は、この連載のシーズン1でも繰り返し出てきましたね。

そのための方法はいっぱいありますよ。別にフィルターに限らず、みんなが自分のやり方を持っている。その中で、有効かつ簡単な方法の一つとしてフィルターがある。そういう感じですかね。

藤原室長
1号

フィルターって、量販店に行くといっぱい並んでるじゃないですか。あれを見るだけで、なんだか近寄り難く感じてしまうんですけど、フィルターにはどんな種類があるんですか?

お、いよいよ本題に入ってきたね。フィルターの話をする前にまず言っておきたいのは、デジタル以前と以降では大きく違うってこと。

オヤカタ関

フィルムからデジタルに置き換わって、いろんなことが激変しました。撮影の仕方から、作品の仕上げ方、鑑賞の方法、それにスピードも。写真というものの本質は変わらないとしても、あらゆるモノ/コトが「フィルム時代と同じ」では済まなくなりました。

カイハツ北村

フィルターも例外ではなく、根本的な役割に変わりはないけど、求められる技術やトレンドは大きく変化したんだよ。

オヤカタ関

この記事の最後に、1998年に出た「マルミフィルターガイドブック」を載せました。まだフィルム時代のものです。いま改めて見ると、なかなか興味深いですよ。特に、デジタル以降に写真を始めた方には衝撃的ですらあると思います。

藤原室長

「へえ、昔はこんなフィルターがあったんだ」って、興味本位で見てくれるだけでいいんだ。それだけでもフィルターへの理解は深まるからね。

オヤカタ関

で、話を戻してフィルターの種類ですが、さっき、「色と像」という言葉が出てきましたよね。

カイハツ北村
4号

はい。色と像に変化を与えるのがフィルターだって。

つまり、大きく分けると「色に変化を与えるフィルター」と「像に変化を与えるフィルター」があります。実際にはこの二つの合わせ技的なフィルターもあるし、反対にどちらにも属さないフィルターもありますけどね。

カイハツ北村