PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
第1話
フィルター事始め
写真用フィルターとは何か
フィルターって、ナニ?
そもそもフィルターって、何なんですか? |
来たド直球の質問。まぁ、最初はそこからですね。 |
写真用フィルターをひとことで言えば、「写真を撮影する際、カメラのセンサー面(またはフィルム面)に届くまでの光をコントロールして、『色』と『像』に変化を与えるもの」となるかな。 |
光をコントロールして色と像に変化を・・ |
そう。だから世間で写真用フィルターとして売られているものだけじゃなくて、いろんなものがフィルターになりうる。 |
例えば? |
例えば、目の細かい金属製の網とか、透ける布とか、カラーセロファンとか、他にもありとあらゆるものが。 |
そういえば、レンズにパンティストッキングを被せて写真を撮るヘンタイ、間違えた、知り合いがいます。なんでも色とか、繊維の太さとか、あるいは引っ張り具合で写り方が変わるんだとか。 |
それはきっと「ハイライトの滲み」が欲しいのですね。ハイライトが滲むと、古い写真の感じが出るんです。さらにやり方をいろいろ試して、自分のイメージ通りの効果が出るようにコントロールしている・・・それはもう、立派なフィルターです。 |
ちょっとお待ちくだされ。カメラやレンズを設計されている方は、被写体が目に見える通りに写るよう、日々苦心されているでござる。それを変化させてしまっては、彼らの苦労が水の泡ではござらぬか。 |
写真は記録手段でもありますから、正確さが求められる写真の場合はその通りです。変化させるなんてもってのほか。 |
一方で、写真は表現の手段でもある。「この被写体が私にはこう見えたから、見る人にも同じように見えて欲しい(その時の感覚、感情)」とか、「私の撮る写真はすべて、人にはこう見えて欲しい(自分らしさ)」とか。写真って、実はそこが大事だと思うんだよ。 |
確かに。それと同じ話は、この連載のシーズン1でも繰り返し出てきましたね。 |
そのための方法はいっぱいありますよ。別にフィルターに限らず、みんなが自分のやり方を持っている。その中で、有効かつ簡単な方法の一つとしてフィルターがある。そういう感じですかね。 |
フィルターって、量販店に行くといっぱい並んでるじゃないですか。あれを見るだけで、なんだか近寄り難く感じてしまうんですけど、フィルターにはどんな種類があるんですか? |
お、いよいよ本題に入ってきたね。フィルターの話をする前にまず言っておきたいのは、デジタル以前と以降では大きく違うってこと。 |
フィルムからデジタルに置き換わって、いろんなことが激変しました。撮影の仕方から、作品の仕上げ方、鑑賞の方法、それにスピードも。写真というものの本質は変わらないとしても、あらゆるモノ/コトが「フィルム時代と同じ」では済まなくなりました。 |
フィルターも例外ではなく、根本的な役割に変わりはないけど、求められる技術やトレンドは大きく変化したんだよ。 |
この記事の最後に、1998年に出た「マルミフィルターガイドブック」を載せました。まだフィルム時代のものです。いま改めて見ると、なかなか興味深いですよ。特に、デジタル以降に写真を始めた方には衝撃的ですらあると思います。 |
「へえ、昔はこんなフィルターがあったんだ」って、興味本位で見てくれるだけでいいんだ。それだけでもフィルターへの理解は深まるからね。 |
で、話を戻してフィルターの種類ですが、さっき、「色と像」という言葉が出てきましたよね。 |
はい。色と像に変化を与えるのがフィルターだって。 |
つまり、大きく分けると「色に変化を与えるフィルター」と「像に変化を与えるフィルター」があります。実際にはこの二つの合わせ技的なフィルターもあるし、反対にどちらにも属さないフィルターもありますけどね。 |