PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SORI2 - 新宿光學總合研究所

第1話
フィルター事始め
写真用フィルターとは何か

像に変化を与えるフィルター

さて、お次は「像に変化を与える」フィルター。

カイハツ北村

これには大きく分けて3つある。
被写体を拡大(または縮小)して撮るフィルター
被写体をぼかして柔らかい印象で撮るフィルター
被写体に光条などの効果を与えて撮るフィルター

オヤカタ関

まずは「被写体を拡大して撮る」ためのフィルター。クローズアップフィルターと呼ばれます。

カイハツ北村
3号

マクロレンズ的なものでござるか。

その通り。

カイハツ北村
3号

だったら、マクロレンズで撮ればいいと思うのでござるが。

それを言っては元も子もない。でも持っていくレンズが1本増えるって、意外とキツくないですか? フィルターなら胸のポケットに入ります。それにマクロレンズを1本買うにはそれなりの出費が嵩みますが、フィルターならずっと安く済みます。撮影倍率の変更だって、フィルターを付け替えるだけです。

カイハツ北村
3号

でも肝心の写りはどうなんでござるか?

そりゃあマクロレンズと同じとは言いませんよ。でも、いつも使っているお気に入りのレンズがマクロレンズのようにも使えるって、ちょっと嬉しくないですか?

カイハツ北村
4号

とは言え、写りにまったく不満はないですけどね、実際に撮ったものを見ると。

PHOTO YODOBASHI

撮影:雨上がりの自宅裏で北村貴司

2号

もう十分でしょ。それに、いざ被写体を前にしてレンズを交換するのって、意外に億劫なのよね。レンズをどこかに置いておかなきゃいけないし、その間、センサーが剥き出しになる。その点、フィルターなら安心。

お次は「像をぼかして柔らかい印象で撮る」ためのフィルター。ソフトフィルターと呼ばれます。

カイハツ北村

PHOTO YODOBASHI

撮影:仄かな灯りに孤独を忘れた北村貴司

2号

ふわっとした光がきれい!

これはあえて解像しないようにして、こういう効果を出しているんだ。効果の大小や、雰囲気の違いでいろんな種類があるから、被写体や写したいイメージによって使い分けられるよ。

オヤカタ関
4号

昔はレンズでもあったよね。ソフトフォーカスレンズが。有名なところではライカのタンバールとか。復刻版が出たけど、元は1930年代のレンズ。

1号

かの木村伊兵衛さんがタンバールで撮った女性のポートレートなんて、いま見ても本当に綺麗だよね。

そういう写真が、たった1枚のフィルターをつけるだけで簡単に撮れるようになるんです。しかも自分が好きなレンズで。

カイハツ北村
2号

これは魅力的。そうか、これで景色を撮るっていうのもアリなんだ。

4号

ムービーで使っても面白そう。

そして最後は「光条などの効果を与えて撮る」ためのフィルター。

オヤカタ関
2号

また難しい言葉が出た。「コウジョウ」というのは?

これです。

カイハツ北村

PHOTO YODOBASHI

撮影:実はこれスマホで撮った北村貴司

3号

ああ、そういうことでござるか。

2号

ゴージャス!

クロスフィルターと言います。これも光条の出方でバリエーションがあります。ここまで派手に出るものは、最近はあまりお目にかかれないですけどね。

オヤカタ関
2号

だからこそ、かえって新鮮に映ります。ところで、これらのフィルターはどういう仕組みでこういう効果を出しているんですか?

同じ「像に変化を与える」でも、ぜんぜん効果の違うフィルターを3つ挙げましたが、実は3つともやっていることは同じ。光を曲げているだけなんです。

カイハツ北村
1号

えっ? そうなんですか?

そうなんです。もちろん、そこには多くの技術とノウハウがありますけどね。

カイハツ北村
4号

シーズン1で「レンズの役割は光を曲げること」という話が出て来たけど、これらのフィルターも言ってみればレンズなんですね。まぁ、クローズアップフィルターは分かり易いけど。