PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY SEL35F18F FE 35mm F1.8
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
多くのαユーザーにとって、恐らく悩みのタネだった「ちょうどいい35mmレンズ」問題。人気の焦点域でありながら、ZEISS銘を冠する「SEL35F14Z Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA」と「SEL35F28Z Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」の間を行く明るさのものが不在でした。そしてこの度、めでたく解決の運びとなったのです。ご紹介する「SEL35F18F FE 35mm F1.8」は、F1.8の明るさで、お値段的にもやさしい、ソニー純正フルサイズ対応レンズ。好評の「SEL50F18F FE 50mm F1.8」や「SEL85F18 FE 85mm F1.8」と同様、何の不足も感じない高性能レンズであることは容易に想像できますが、こちらの1枚目。のっけから「バカにするんじゃないよ!」と言わんばかりの、キレキレの描写ですよね。私達は、こういうレンズを待っていたのです。
( Photography : KIMURAX / Text : TAK & KIMURAX )
絞り開放から実にシャープな像を結ぶレンズですね。はるか後方まで曖昧さなし。逆光もなんのそのと言わんばかりの撮像を見せてくれます。
フォーカスエリアのシャープな描写とデフォーカスエリアのボケ味が醸し出す立体感。髪の毛一本一本までを緻密にトレースしているのがわかります。
絞り込んでも画が平坦になることはありません。多少のゴーストは出ているものの悪目立ちするようなものではなく軽微なレベル。これだけ印象的で盛大な光芒を描きながら、ゴーストゼロだったらかえって気持ちが悪いというものです(笑)。
35㎜ですからそれなりにパースを付けて切り取るのはお手のもの。少々距離はあるものの、フォーカスしたガラス面周辺の質感描写はキレっキレです。
右側の写り込みでガラス越しの撮影だということはお判りでしょうが、その存在をまったく感じさせないクリアな写りに思わず溜息。
さすがに高輝度な被写体を狙うとAFが迷うこともありました。ピーカンのさなか絞り開放という、かなり意地悪な設定ですからね。そんな時にはAF後、鏡胴にあるフォーカスモードスイッチで咄嗟にMFに切り替えてピントを追い込めばOKです。日差しをもろに反射している取っ手部分をPCで拡大してびっくり。フリンジがほとんど発生していないではありませんか。JPEG撮って出しで破綻のない仕上がりに感心しきりです。
AFは素早く合焦。フォーカスした人物の自然なシャープネス、立体感、そして階調表現も上々です。
明るいレンズは無暗にISO感度を上げずに済むのがいいですね。開放からビシッと解像してくれなければ話になりませんが。やってくれますねこのレンズは。
明るい広角単焦点の醍醐味を、すべてのユーザーに。
絞り開放から切れ味鋭い解像力に、F1.8がもたらす豊かなボケ。ヌケも爽快でコントラストや階調も申し分ありません。光学性能、明るさ、サイズ、お値段のバランスが本レンズの肝なのですが、それにしても光学性能がサービスし過ぎなんじゃないの?と心配になるほど、素晴らしいのです。その高画質を足を使って切り取る単焦点の醍醐味を、存分に味わってください。単焦点デビューに最適なのはもちろん、ズームとのコンビでも重宝するでしょう。これで、手頃で明るい純正単焦点も35mm、50mm、85mmのトリオが揃いましたね。広角でもボケを楽しみたい方には、こちらの「SEL35F18F FE 35mm F1.8」を自信を持っておすすめいたします。
( 2019.09.01 )
初心者から「これ一本で十分」と言える玄人まで。単焦点の味をとことん味わってください。
カールツァイスの「T*コーティング」が頼もしいプロテクターです。