PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
TAMRON 70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD Model A047
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
2020年10月29日、タムロンから新しい望遠ズームレンズ「TAMRON 70-300mm f/4.5-6.3 Di III Model A047」が発売されました。タムロンのサイトを見ると、印象的なキャッチコピーがまず目に飛び込んできます。「気軽に楽しむ、望遠300mm」。さらに「望遠の世界をより多くの方に楽しんでいただくために生まれた」と続きます。そう、タムロンはこのレンズに託した使命をここでハッキリと宣言しているのです。裏を返せば、「望遠ズームレンズは楽しいのに、まだその楽しさに気づいてない人が多い。そこを何とかしたい」という願いでもあるわけです。みなさんは70-300mmと聞いて、どんな被写体を連想しますか。運動会? 飛行機や鉄道? はい、そうですよね。なので今回の作例にも飛行機と鉄道が入っています。でも、タムロンはもっと自由に、このレンズを使って欲しいのだと思います。だからこそ「世界最小・最軽量」をまず目指したのでしょう。そんなわけで今回の作例は望遠レンズの楽しさ、面白さが伝わるようなものを中心に選んでみました。どうぞご覧ください。
( Photography : Naz / Text : NB )
まずは70-300mmというズーム域が、実際にはどのぐらいの画角の変化をもたらすのか、あらためて確認してみましょう。上の2カットは同じところから撮影したもの。上がワイド端70mm、下がテレ端の300mmです。けっこう使いでのある画角ですよね。この両者の間が、無段階でぜんぶ自分のものになるのです。もちろん、ゾクゾクしちゃうリアルな描写にも注目ですよ。
望遠レンズの魅力は「遠くのものを近くに引き寄せることができる」という部分にあるわけですが、単に大きく写すというよりは、構図から余計なものを排除して、被写体の純度を高める。結果として、面白い写真が撮れる。そんなところにあると思います。
テレ端の最短距離(1.5m)での撮影。ワーキングディスタンスはそれなりに取ることになりますが、切り出せる被写体からすればかなり寄れる印象です。植物のやわらかい感じがよく出ています。
ピントのキレを感じさせながらもカリカリにならず、硬さを感じさせない、やわらかさを残した描写は「さすがタムロン!」と思わせるものがあります。
ピントをどこに置くかで、写真が語るストーリーががらっと変わります。主役は何(誰)か? を伝えやすいのも望遠レンズの魅力。
離れたところから画面いっぱいに捉える。だからこそディテールが伝わる。迫力が出る。望遠レンズにしかできない芸当です。
雷門から仲見世イッキ抜き。「望遠レンズの圧縮効果を生かした街の撮影がとにかく楽しかった」とは、撮影を担当したカメラマンの弁。70-300mmで街中スナップ。大いにアリでしょう。
こういう遊びができるのは望遠レンズならでは。さらに、フレームを「ここしかない」というところまで追い込めるのはズームレンズのおかげ。
存在意義が明確な望遠ズーム
「望遠の世界をより多くの方に楽しんでいただく」ためのレンズがもし高額だったら、笑い話にもなりません。こちらのレンズはヨドバシカメラ価格63,800円(発売時点・税込)というリーズナブルさ。当然、初めてズームレンズを買ってみようという方にはうってつけのレンズだと言えます。しかし(ここが重要なところですが)、だからと言って写りは二の次かというと、まったくそんなこと無いのはご覧いただいた通り。見れば分かることをくどくど説明するのは気が引けますが、非常に素晴らしい写りを見せてくれます。中でも特筆すべきなのはクセのない美しいボケ。そこにキレのあるシャープさが加わる。レンズスピードこそお高いレンズに一歩譲りますが、高感度特性に優れるソニーαとの組み合わせなら、問題になることはまずないでしょう。
「望遠の世界をより多くの方に楽しんでいただく」。とても崇高な、と同時に極めてまっとうな商品メッセージだと思います。楽しみのないところに継続も発展もありませんからね。その意味では写りがいいのも頷けます。買いやすさや小型軽量であること以前に、写りの良さに感動がなければ楽しめないですから。いいレンズです。
( 2020.10.29 )
「気軽に楽しむ」という言葉に見合った価格。そして釣り合わない性能。
世界最小・最軽量とは言え、やはりそこは全長のある望遠ズーム。備えあれば憂いなし。