PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporary
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
フルサイズミラーレス機はミラーボックスがなくなったことによって、カメラの小型軽量化を実現し、いまでは多くのユーザーがさまざまなミラーレス機を選んで使う時代です。しかし、その一方で、「いいレンズは大きくて重い」のです。カメラよりも重量のあるような大きなレンズも少なくありません。描写力を追求し、大口径化すれば、もちろんレンズが大きくなってしまうのは仕方のないことでしょう。とはいえ、やっぱり普段いつも一緒に持ち歩けるような小さく軽い、でもよく写るレンズというのは絶対に必要です。開放値がF2.8では気分がアガらないかもしれません。でも、そんな気持ちも本レンズの写りを見れば吹き飛んでしまうでしょう。今回レビューをお届けするのは「SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporary」。シグマがミラーレス専用設計のレンズとして、携行しやすく、かつ高い光学性能とのバランスを取り開発したコンテンポラリーラインの新しいラインナップです。手に取ると、ほどよい重量感で金属の鏡胴のひんやりとした触感に心が躍ります。“常用レンズ”と謳うからこそ、手に取ったときの感覚、そして心地よい操作感が重要になってきますよね。さて、このレンズがどんな写りを見せてくれたのか。じっくりと作例をご覧ください。
( Photography : KMURAX / Text : KIMURAX & Rica )
高さ7~8mほどの木を見上げ、絞り開放でパチリ。ピント面はナチュラルなシャープさが得られており、周辺のボケとも相まって、立体感あふれる爽快な描写です。
最短で狙うとピント面は薄々。昨今、明るい単焦点標準レンズが増えてきたこともあり、開放F2.8という数字は目を引くものではないかもしれませんが、柔らかなボケ味も手伝い表現力はなかなかのものです。
F11まで絞り込んでも回折現象の影響はなさそうです。手強い逆光での撮影ですが破綻のない写りはあっぱれの一言。
ガラス越しながら店内の壁面プリントを克明にトレースしてくれました。絞り開放からこの描写ですから、絞り値のことは考えずにパチパチとスナップしていきましょう。
フォーカスエリアとデフォーカスエリアの連なりも自然ですね。
この立体感、ボケ味、コントラスト、色再現、質感描写。F2.8というスペックになんら不足は感じないでしょう。大変よく写る、いいレンズです。
いつでも、どこでも一緒に。
開放値F2.8、ちょっと控えめだな……と思った大口径好きの方もいらっしゃるでしょう。実際にF2.8で撮影してみると、想像以上のボケが味わえる上、開放では柔らかな描写、絞り込むと鋭いキレ味が堪能でき、この一本で性格の違う描写を得ることが可能です。また、最短撮影距離は24cm。被写体にグっと迫った撮影ができるので、スナップだけでなく、テーブルフォトも同時に楽しめます。ステッピングモーターを採用した静かで速いAFも快適。ソニーαシリーズの顔/瞳優先AFにも対応していますから、人物の撮影時にも有効ですね。本レンズは「ボケの表現にこだわり、合焦部分近くの小さなボケでさえも柔らかになるよう球面収差をコントロール。二線ボケなどを抑制するためボケ像の縁にあたる部分もソフトににじませ、被写体の立体感を高めている」とのこと。実際に撮影した画を見るとまさにその通りで、柔らかなボケからはF2.8以上のボリュームを感じます。絞ったときのキリリと引き締まった画も秀逸で、固いもの、柔らかいもの、反射するものなどなど、さまざまな被写体の質感も丁寧に描き分けてくれました。使い勝手が良くミラーレス機との重量バランスも良いコンパクトなレンズですから、いつでも、どこにでも携行して、さまざまな日常を切り取ってみてください。いつもの風景に、新たな発見があるはずです。
( 2019.08.22 )
常用レンズに最高なコンパクト設計。45mmという絶妙な画角は、撮り方次第で標準レンズ的、広角レンズ的アプローチが可能です。コンテンポラリーラインらしく、描写よし、携行性よしとバランスの取れた一本となっています。
レンズ保護用のフィルターもシグマ製をどうぞ。こんなに薄い一枚でレンズ面のホコリやキズがつくのを防いでくれるので、精神衛生上とっても良いですね。完全無色となっており、色再現にも影響のない常用フィルターです。