SIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

各種の特殊ガラスや非球面を投入し、諸収差を良好に補正しているシグマのAPS-C用標準ズーム。フルサイズ換算で26-76.5mm相当の画角をカバーし、広角側ではやや歪曲が出るものの、全ズーム域において解像力は抜群です。特に画面中央付近では開放から極めてシャープな像を結びます。絞ればそのシャープさが画面全体に行きわたるといった印象。ズームレンズの撮像によく見られる1枚皮をかぶった感はほとんどなく、短焦点レンズに迫るヌケのよい描写で、色乗りも良好です。かといって派手過ぎることはなく、とにかくしっかりと描き込んでくれる確かな1本。その実力のほどを、作例でじっくりとご覧ください。

( Photography : S.Zets & M.Ito / Text : KIMURAX )

大道芸人さんのパフォーマンスを撮らせていただくことはしばしばありますが、そこに釘付けになっている人たちも結構いい表情をしているんですよね、無防備ですし。後ろ姿なんてその際たるもの（そこまで気遣っている人もまずいませんが）。花柄のレースのワンピースがよく似合う彼女は、首筋にタトゥーを入れるおしゃれさん。その他大勢から抜きん出たそのセンスにフォーカシングしました。髪のニュアンスから服の風合いまでしっかりと捉えており、肌質感の再現性もなかなか秀逸です。

このレンズだけで一日過ごしても、大抵の撮影で困ることはないでしょう。というわけで、ちょっと遅めのランチをテレ端でパシャリ。開放の浅い被写界深度を活かしながら大胆に切り取ると、単なる記録写真ではなくなります。

眩いばかりの夕日の反射光でしたが、ハイライトは飛びすぎず、シャドーはべたっと潰れず。ポテンシャルの高さをうかがわせる解像力です。

忘れられていったボールを発見。泥で磨かれたようなテカリ具合、よく使い込まれたいい表情をしていますよね。寂しさは微塵もなく、希望に満ちたような凛とした趣があります。リアリティあふれる精細な描き込みと、なだらかなボケ味のマッチングがそのように感じさせるのでしょうか。