PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

PENTAX K-3 / SHOOTING REPORT

圧倒的な画質で絶賛されたK-5IIsの登場から1年。多くの新機能・新技術を搭載し、PENTAXのフラッグシップ機としてK-3がリリースされました。K-5IIsは、世間の高評価もさることながら、フォトヨドバシ編集部スタッフからも絶大な信頼を得ているのはこちらでご案内した通り。過酷な環境もものともせず、使いやすいインターフェイスとともに圧倒的な画を軽快に叩き出してくれます。そこからさらに数多くのアップグレードが施されたのがK-3です。画素数アップやAF/AEの強化、画像処理エンジンのバージョンアップ、果てはローパスフィルターレス機の悩みどころであるモアレ対策として「ローパスセレクター」という世界初の機能まで搭載。K-5IIsからどれだけ良くなってるの?と期待は高まるばかり。じっくりと画を観ていきましょう。

( Photography : T.Nakanishi & Z II / Text : 4Beats )

ローパスフィルターレスなので、まずは高周波の画から。冬支度を始めた木々が重なり合っており、前後の一本一本を描きわけるのは難しいシーンですが、手前から奥に向かって確かな立体感と細部に渡る緻密な描写で、見事に季節の移ろいを表現してくれました。奥の山肌も小さな起伏までよく分かる写りです。以前であれば遠景のディテールなどは潰れてしまいがちでしたが、K-3の様な緻密なセンサーを搭載したデジタルカメラともなると表現力が違いますね。

近距離でのディテール再現も見てみましょう。ビッシリと敷き詰められた針葉樹の落ち葉が混ざり合うこと無くしっかりと再現されています。石もそれぞれの形や表面の凹凸、材質の違いまで判別可能です(すいません、鉱物に関する知識がないので、詳細は言えないのですが・・・)。目で見たままと言うより、目で見て認識した以上の膨大な情報量には圧倒されます。やはり2435万画素、ローパスフィルターレスの威力は絶大ですね。

こちらも地面ですが今度はアスファルトで。日の光を受けたハイライトから、逆光のシャドウ部、そしてほぼ明暗差だけで表現している路面の様子まで、適度な白飛び・潰れ具合とともに絶妙なトーンで描いています。センサーのダイナミックレンジの広さと、それをうまく生かし切る画像処理エンジンの巧みさが感じられる一枚です。

朝靄の中にポツンと立つ一本の木。その前後にうっすらと見える木々も繊細に描いています。やはり豊かなダイナミックレンジがあるからこそ描けるおぼろげなシーンですね。実は靄の平らな面をアップで見たときに、K-5IIsに比べてノイズが少し増えたのでは?と感じました。画素数が上がり、1画素のピッチが狭くなっているのですから影響を受けやすいところではあります。しかしご覧頂いているように、同様に影響を受けやすいはずのダイナミックレンジは広いまま、相変わらずといった様子です。ノイズもこのカットの様に、色の変化が少ない部分を子細に見て初めて気になる程度。画素数がアップしたことを含め、トータルで見れば何ら問題にならないでしょう。


もう一つ、高画素化で影響を受けやすいのが高感度撮影でのノイズですね。このカットはISO1600で撮影しました。さすがに常用感度よりはノイズが感じられますが、この程度であれば十分に「普段使い」できるのではないでしょうか。

解像度が上がったからといって肌をカリカリに描かれてはガッカリですが、そんな心配も不要ですね。金属はキリッと、肌はやさしく、被写体をありのままに描いてくれました。
AFのについても触れておかねばなりません。K-5IIsで11点測距・SAFOX XだったAFセンサーとユニットが、K-3では25点のクロスセンサーを含む27点測距・SAFOX 11へと大幅にアップグレード。速度・精度が上がったのはもちろん、センサーの数が増えたことで構図の自由度も増し、いっそう使い勝手が良好になりました。特に、ライブビュー使用時のAF速度の向上は如実に感じられたほどです。その際画面上でピントを確認するために、好みの拡大率まで何度も「拡大ボタン」を押していましたが、K-3では選んでおいた倍率までたった1回の操作で到達でき、とてもシンプル且つスピーディ、これまで以上にシャッターを切るまでの時間が短縮されました。もちろん-3EVまでの低輝度対応AFも健在。それどころか低輝度時にも合焦速度がアップした印象です。

そしてAEも大きく改善されました。これまたK-5IIsとの比較になりますが、、、K-5IIsでは画面を77分割して輝度を判別していた測光センサーが、K-3ではなんと8万6千分割!に大幅アップ、明るさだけで無く色や動きまでも識別し、シーン解析を行うというのですから驚きです。もはやこれまでの測光用のセンサーとは別次元に。そしてそのセンサーもAF同様に-3EVの低輝度まで測光が可能とのこと。まさに鬼に金棒ですね。

さて、今回の作例のカットでお伝えしきれないところをいくつか。K-3を使ってみて真っ先に気付いたのは、ファインダーの見やすさや、背面液晶の再現性の良さです。K-5IIs同様、視野率が100%なのはもちろんですが、ファインダー倍率が僅かに上がった恩恵なのかとても見やすくなりました。被写体への集中力も大幅アップ!です。また、撮影現場で見る背面液晶の画像と、PCの画面で改めて見直す画像の印象に大きな差がなくなりました。現場でイメージ通りに撮れているのかキチンと確認できるというのは大きなポイントですよね。撮影画像そのものも、よりナチュラルな色再現になった印象です。
何気なく?アップグレードされた機能に「インターバル合成」や「多重露光」があります。K-5IIsでも9枚まで重ね合わせる多重露光はあったのですが、K-3ではなんと2000枚まで可能に。しかも合成方法を「合成」「加算」「比較明」から選択できます。例えば天体撮影で星が流れていく様なカットが、長時間露光ではなくインターバルタイマーをセットして撮った複数枚の画像から合成することで実現できるのです。そして驚くことにその合成処理は一瞬で終ります。K-3では全般的に速度アップが感じられますが、こういったところにも恩恵があるようです。
冒頭でも触れた、モアレ対策の「ローパスセレクター」はやはり気になりますよね。実はその効果のほどを確かめようと何度も「モアレの出そうな」被写体を撮ってみたのですが、、、ローパスセレクターをONにするまでもなく、出ないのです。画素数の多さやセンサーの密度の高さからなのか、新開発の画像処理エンジンが効いているのか、撮り方が悪いのか。念のため申し上げますが、絶対にモアレが出ないということでは無いと思います。何にせよ「モアレが出たダメな例」を撮ろうとしても撮れなかったのですから、安心すべきことですね。ところでこの機能、1画素単位でセンサーを移動できるのであれば、疑似的にローパスフィルターを再現する使い方だけではなく、1画素に3色を配置したような(疑似的にFoveonセンサーの配列を再現する)演算ができると思うのですが、、、内部処理的には違いはないのでしょうか?すみません、余談でした。できたら凄いなと思ったもので。






3枚続けて、被写体の質感が伝わるカットを選んでみました。金属の表面の錆、パンの生地や砂糖の粒、ナイロンの毛の細かな曲がり具合や光の受け方に至るまで子細に描写されています。画素数が上がったことで、これまで以上に被写体の肌触りや温度が感じられるようになった気がしませんか。








揺るぎないフラッグシップの信頼感。

今回は短期間での使用となりましたが、ペンタックスの一眼レフらしく、操作性にはまったく違和感なくスムーズに使えました。もちろんK-5IIsを使い慣れているのですが、それを差し引いてもやはり使いやすい印象です。僅かな変更点ですが、AFボタンが右手親指を大きく移動せずに押せる様になったことが挙げられます。これは撮影時間の短縮にも繋がるくらいに大きな影響があり、個人的には大変有り難い変更でした。また、グリップが持ちやすくなったことも声を大にしてお伝えしたいと思います。こればかりは人それぞれ違いがありますが、少し大きくなったグリップが吸い付く様に手に馴染むのです。おかげでホールド感がとても心地よく、ファインダーの見えの良さや、抜群の操作性も手伝って、本当に撮影が楽しめました。

さて、2435万画素という膨大な画素数を手に入れたペンタックスの最新機種の画はいかがでしょうか。K-5II/K-5IIsですでに信頼を得た画質とボディ性能、そこからの大幅なアップグレードで、さらなる次元に到達したK-3。これだけ切れ味鋭い画をたたき出せるにもかかわらず、フットワークの軽さは従来以上で、撮影のテンポが上がったと感じるほどです。様々なシーンで素早く思い通りに被写体を追える、撮ることに集中できるカメラ。しかもフラッグシップ機でありながら、プロフェッショナルもアマチュアもなく手に入れられる価格帯に収まっていることは特筆に値します。 少し大きく重くなったとは言え、その差はほんの僅か。十分に小型・軽量です。K-5II/K-5IIsはもちろん、他の機種からの乗り換えというのも十分に考えられますよね。フラッグシップだからといって遠慮することはないのです。風景も人物も、ちょっとした日常のシーンにだっていつも通りに、いや今まで以上に活躍してくれるでしょう。持っているだけで嬉しくなる、撮っていれば楽しくなる、そして長くつきあえる、とても信頼のおけるカメラです。

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遠慮無く使い倒せるフラッグシップ。タフなヤツです。

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ズームからのスタートも良いですね。十分楽しめます。

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タフとは言え、予備バッテリーはあっても困らないでしょう。K-3にも対応してます。

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