PHOTO YODOBASHI

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良いカメラほど、触ってわかる佳さがある - Zの感触

Z 7、Z 6は正面右下部のバッジの数字以外は、外観上全く同じです。もちろんボタンやダイヤルなどの操作部品も同じです。レビューでも申し上げましたが、まさに一卵性双生児。こういうラインナップって今まであったかなあと今思い返してみるのですが、最近のカメラでは例外的かと思います。どちらかのカメラを使い慣れた人が、もう一方のモデルでも全く同じように操作できる。これはカメラ人類の貴重な財産です。

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すべては「Zマウント」のために - 未来を見据えた有機的デザイン

まずは眺めてみましょう。真っ先に目に飛び込んでくるのは大きなマウント周り。マウント上部は軍艦部をはみ出す形となり、Nikon F5あたりから続く昨今のニコンデザインとは雰囲気がガラリと変わりました。55mmというマウント内径は、35mmフルサイズセンサー搭載のデジタルカメラの中では最大です(2018年現在)。ちなみに伝統のニコンFマウントは47mm。そこから大幅に広げてきたということ、しかもリアエレメントがセンサー面にぐっと近づいたことがレンズ設計にどれほど利をもたらすかは、既に実写でご覧の通り。これはデータの上でも明らかで、MTF一つとってもこれまでの35mmフルサイズ用レンズではあまり見たことのない、新次元の光学性能であることを示しています。

この「Zマウント」で、これからの100年のスタートを切るのだという決意が、デザインにもよく現れていると思うのです。軍艦部をマウント上部より少し低く取ったことでZマウントの存在感を示しつつも、その分のコンパクト化にも成功しています。その一方でグリップは十分な高さを確保し、撮る道具としての高いハンドリングを担保。これでも高さ的にはNikon D500のグリップ部よりも7、8ミリほど低いのですけどね。ミラーレスだからコンパクトでなければならないということはなく、むしろしっかり握れるサイズを維持くれたことがウレシイ。そして、EVF下部のZマウントから波紋が広がったような丸いカットからも、Zマウントを中心とした各部の有機的な結合を感じ取ることができます。余談ではありますが、今こうして上方から眺めると、ヤークトパンターなどの戦闘車両のようにも見えなくもない(個人的見解)。力強く有機的でありながらも、シンプルで洗練されている。実物を見たら「カタログで見るよりも、はるかにカッコいい!」と思うパターンです(車にもそういうのってありますよね)。


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確実かつ快適極まりない操作性

いざ手に取ってみるとこれがまたシックリと来るんです。前述の通りグリップは十分な高さを確保してありますから、小指まで使ってガチッとホールドすることができます。深さもちょうど良いですし、重量バランスも然り。ボタンやダイヤル類の配置は基本的にDシリーズを踏襲、指が求める先に欲しいものがある感覚です。グリップしたまま人差し指で電源オン、人差し指と親指で露出決定、人差し指/親指でAFオン、人差し指でレリーズ。レンズを操るのは左手ですが、それ以外全部右手の二本の指で撮影行為を完結できる操作系は人間工学的にも極めてスムーズです。初めてニコンユーザーとなる方でも、すぐにその快適性をわかっていただけるでしょう。余談ですが、個人的に、グリップ上部の赤い録画ボタンからメインコマンドダイヤルにかけての、しゅるっとしたS字カーブにベタ惚れであります。

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ボタンやダイヤルの操作感もこれまた丁度良い。固かったり痛かったりすると操作するのも嫌になるものです。部品というモノは目的を背負ってカタチと操作感を与えられますが、それに快適性を求めるのも人間です。Zはダイヤル操作一つとっても、意味もなくグリグリしたくなるほど心地が良い。この辺りの追い込みは机上の計算では辿り着けないアナログな境地で、何度も試行錯誤したであろうことは想像に難くありません。

左手が暇だと感じたら、撮影モードダイヤルをいじってみてください。皆がしょっちゅう回すような部品ではないと思われますが、非常に手の込んだ贅沢な作りで回転トルクも絶妙。ダイヤル一つとっても、Zは「カメラ」なんだ、「耐久消費財」なんだということを再認識させてくれるでしょう。細かいところですが、削除ボタンについても一言。どんなデジカメにもある部品ですが、一度押して「削除しますか?」と聞かれ、「はい」だったら同じボタンをもう一度押すだけです。つまり同じボタン連打ですぐに削除できる。指があっちゃこっちゃしなくてもいいのです。ニコンという会社は、指の動線まで思い遣る会社なのです。


拡大しなくてもピントの山がわかる、出色のEVF

Z 7、Z 6のオーナーの多くが「ファインダー見て決めた」と言います。PY編集部も同様で全会一致で「こりゃ佳いわ」と。それをお伝えすべく、ファインダー内表示を動画で撮影し、実際に覗いた感じをシミュレートしてみました。

コンパクトカメラ「COOLPIX W300」のレンズ部をZ 6のEVF部にくっつけて撮影しております。多少コーナーがケラレている点はご容赦くださいませ。「マウントアダプターFTZ」経由で「AI Nikkor 50mm f/1.2S」を装着し、絞りをF1.2の開放にしてマニュアルフォーカスでピントを合わせています。ご覧の通り、拡大表示しなくてもストレスフリーでピントが合います。これは単純にすごい。同じことをAF一眼レフなんかでやるとツライこともありますからね。拡大表示でピントを確実に合わせられるのがEVFの利点ですが、「拡大、元の倍率に戻すを繰り返していると、酔う」といった声もよく耳にします。ところがZのEVFは、表示が実になめらかでジャリジャリしていません。フォーカスリングを回していると、まるでマニュアルフォーカスの銀塩一眼レフのファインダーのようにピントの「山」がハッキリと見えてくるので、ピーキングの必要性も感じません。当然レンズが広角になったり遠景になるに従い山も曖昧になってきますが、それは他のカメラでも同じですし、そういう時こそ拡大表示すれば間違いないでしょう。

EVFなのに、一眼レフのような見え味

ZのEVFの素晴らしさはこれだけではありません。ご覧いただいたように、なんとファインダー映像を露出やホワイトバランスを「反映させない」ようにも出来るのです。「撮影設定を反映させてこそのEVFでしょ」と思ってしまうのですが、一度、反映させずに(メニューから「Lvに撮影設定を反映」を「OFF」にします)覗いてみてください。ちょっと黄色がかった懐かしい感じで、色味的にも一眼レフの光学ファインダーを覗いているような気分になりませんか?つまり「デジタル臭さ」が無い。これなら目への負担も軽くなり、撮る意欲が沸々と湧いてくるのではないでしょうか。これを見てから通常の(撮影設定を反映させる)モードにした瞬間は「あれ?」っとなるのですが(笑)、目的に応じて使い分ければ良いかと思います。見え味に選択肢がある。これ、Zユーザーの特権です。

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ファインダーとは文字通り見つける道具。見つける力は即、撮る力となります。ニコンの「見え」へのこだわりは尋常ではない。この出色の見え味、約369万ドットの「Quad VGA 有機ELパネル」や最新の「EXPEED 6」画像処理エンジンが効いているのはもちろんですが、ニコン独自の光学系によるところも大きいと思われます。そして、これは開発中の超弩級MFレンズ「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」を視野に入れた水準でもあるのでしょう。撮影画像そのものを撮影時にも見ることができるEVF。便利この上ないですが、ファインダーである以上、その見え味は撮影者のマインドを大きく左右します。各メーカーも画素数やフレームレートを上げたり、光学ファインダーと切り替え式にするなどして改良を重ねてきました。そして、ニコンはEVFそのものを最新のハードやソフトで構成するだけでなく、それらを究極のレベルにまでチューンすることで、撮影欲をインスパイアする見え味を実現したのです。ハードがどれだけ進化しても、それを上手く御するには「ノウハウの蓄積」が必要です。餅は餅屋。101年目を迎えた血統が、「Z」にもしっかりと息づいているのですね。

ちなみに細かいことですが、視度調整ノブは右方向に引っ張ってからしか回せません。ニコンのカメラなら当然なのですが、その理由もお分かりですよね。


動画の「おまけ」の件ですが、調子に乗って、シャッター音を少しいい音質で撮ってみたくなったのです(笑)。Rolland社のバイノーラル録音(左右の耳にマイクを装着して録音し、よりリアルな臨場感を再現する方法)ができるイヤホンをICレコーダーに接続し、実際にカメラを構えてファインダーを覗いている状態でシャッターを切るところを録音しました。カメラを構えた状態では本体の大部分が鼻の位置より右側に来るので、右側の音量が大きめとなっております(笑)。録音状態が良すぎて再生音量も大きめで音質も少しシャープになっておりますが、実際は街中でレリーズしても目立たない音量で、もっと柔らかい音がします。

「シャッター音いいね。」「こういうのをカメラって言うんだよ。」これもよく聞かれるZユーザーの声です。とにかく、撮っていて気持ちがいい。撮った感覚をしっかりと伝えながらも、しっかりと振動を抑制しているのが手に伝わってきます。もちろん振動ゼロではありませんが、ボディ全体の剛性感も高くなければ実現し得ない、高級感のあるフィーリングです。言うまでもないですが、タイムラグも感じられません。切ったと思った瞬間にちゃんとレリーズしてくれる、またそれを実感できるシャッターです。こういう基本中の基本をしっかりと押さえているカメラって、実は多くはありませんからね。

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なお端子まわりは、ヘッドホン出力端子(3.5mmスレレオミニジャック)、外部マイク入力端子(3.5mmスレレオミニジャック。プラグインパワーマイク対応)、USB Type-C端子(SuperSpeed USB)、HDMI端子(Type-C)、アクセサリーターミナル(別売りリモートコード「MC-DC2」など用)となっています。カードスロットはシングルでXQDカードを使用します。使用電池は「EN-EL15b」ですが、EN-EL15a/EN-EL15も使用可能です(こちらは撮影可能コマ数が減少する場合があります)。

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撮影の本質を何よりも大切にしたミラーレス

カメラがいかに進化しようと、撮影するのは人間です。手に取って、構えて、ファインダーを覗いて、露出やピントを決めて、シャッターを切る。この一連の行為は不変で、それを快適に行えるのがZというカメラなのです。でもそういう本質的なことに限って、カタログだけではうまく伝えにくい部分もあったり。ということでZの素晴らしい感触、少しでもリアルに感じていただけましたでしょうか。いつも「店頭でお試しください」なんて言ってごめんなさい。実際そう言わざるを得ないところもあるですが、Zは手に撮った瞬間本当に「イイ!」(「イ」は濁点付き)と思ったので、この場でもそれを少しでもお伝えしたかったのです。その上で、店頭でじ〜っくりと触ってみてください。即決するもよし。帰宅後悶々とするもよし。本特集では更なる実写検証もおこなってまいりますので、どうぞお楽しみに。(TAK)

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( 2018.12.07 )

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