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使い込んでみての感想 - Zな日々

Zの鮮烈なデビューから、早いもので9ヶ月以上が経ちました。本特集を開始して以来、我々PY編集部もZとの楽しい日々を送っておりますが、使い込んでゆくことで、初めて触った時とは違ったものも見えてきているようです。今回は、そんなZな日々を送る編集部メンバーに、あらためて率直な感想を聞いてみました。(Text by TAK)

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1) 最強、最高のEVF

メンバーが開口一番に語ったのは、やはり、ファインダーの見え味でした。これは初めて覗きこんだその日に分かることではありますが、未だにそれを口にするのですから、余程魅了されているのでしょう。また、仕事柄あらゆるカメラを使っているからこそ、そのクオリティの突出ぶりに衝撃を受けるのかもしれません。

「ZのEVFの見えには本当に驚きました。千本ノックの1本目、派手なレンズでいこうとLEITZ TELYT 560mm F6.8をチョイス。超望遠でさらにF値は暗く、経験上EVFでピント合わせるのは大変かなと思っていたのですが、迷うことなくピント送りができ、気持ちよくジャスピン。ファインダーのスペックだけ見ていたら、ここまで合わせやすいと思えなかったのですが、どこに工夫がされているのか、、、さすがはニコンです!」(A.Inden)
「何が一番自分にインパクトがあったかと申しますと、やはりEVFの視界の良さですね。コントラストが、、、色味がちょっと、、、なんていう、覗き込んだ瞬間の違和感がまったくというほど無いのです。リアルを地で行くEVFという感じで、長時間の撮影でも眼は疲れ知らず(笑)。乱視がある人間には嬉しいことこの上なしです。見やすいEVFって、使っているうちにまるで空気のような存在になってしまうのですよね。そう、すぐにその有難みを忘れてしまうものですから。ここで今一度、EVFサイコー!と書かせていただきます。」(KIMURAX)

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「ニコンのファインダーにはいつも感心しますね。中でもZのEVFは非常に見やすいです。広角レンズでのMFはどんなカメラでも苦労するものですが、意図した位置にピントを素早く送ることができるのが素晴らしいですね。」(Z II)

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「EVFがものすごくきれいで、メガネでも見やすいです。特にライティングがコロコロ変わる暗いライブハウスでは、このEVFの恩恵をものすごく受けました。」(Rica)
「倍率が高い上に隅々まで見渡せるのは、メガネ使用者にとっては本当にありがたいです。ライバル機と較べても、ファインダーの出来は最も優れているように感じました。」(Naz)
「EVFなのに官能的。EVFなのにOVFのようなトキメキがあり、撮る時の気持ちが萎えません。撮影設定を反映させない表示モードがお気に入りで、それ自体にニコンの哲学を感じます。ライブビューなのに結果が分からないのが、ドキドキして楽しいのですよね。」(TAK)

「サイコー!」なZのEVFの設計者は、先日のインタビューでも登場していただいた毛利元壽氏です。「ファインダーの神様」とも呼ばれていることを後になって伺い、深く納得しました。ガラスも使用した贅沢なEVFは、OVFにも劣らぬ自然な見え味を提供してくれますし、ピントの山の見極めやすさはOVFを凌駕していると言ってもよいでしょう。0.8倍という、同カテゴリーのカメラではトップクラスの高い倍率を維持しながらも、メガネ使用者でも隅々まで見渡せるように十分なアイポイントが取ってあります。超広角から超望遠まで焦点距離を問わず自信を持ってピントを合わせることが出来ますし、ファインダー像もEVFを覗いていることすら忘れてしまうほどにリアルで、見ていて疲れません。ファインダーの役目は文字通り、撮影に不可欠な要素を「見つける」ことです。その役目に真正面から取り組んでいるのがZのファインダーであり、「見つける」ことはもちろん、「見極める」ことさえ容易です。撮影の本質に全力を注ぎ込む。それが、ニコンというメーカーなのです。


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2) 大口径マウント+ショートフランジバック+EXPEED 6がもたらす、異次元の画作り

ファインダーを覗いてびっくりした後、見たこともない画作りに二度びっくり。これもZユーザーに共通する体験でしょう。例えば上の写真。ちょっと見たことがない描写で、一瞬「CG?合成写真?」と思いました。左側の建造物が、まるで貼り付けられた別の写真のように浮き上がって見えませんか?

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「50mm f/1.8 Sで数枚撮影した段階で、今まで経験したことのない、異次元の写りを目の当たりにしました。ピントピークのキレと周辺までしっかり描き切る描写力、そして開放F値から想像する以上のボケ量を得られる感覚があるのです。2Dの世界を3Dに変えてしまうような力を持ったレンズです。ここまで高性能であることを考えると、価格設定が随分と控えめだな、、、とも思えます。今後も続々と出てくるSラインレンズが楽しみです。」(TA)

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「フランジバックが短くマウント径の大きいZマウントは、システムの展開当初からその構造的優位性を活かして、『今できることを最大限引き出してやろう』という開発者の方々の意欲を感じます。」(Naz)

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「Zレンズとの組み合わせによる描き込みは、まさに圧巻でした。フレームした細部に至るまで克明に再現しているのですからね。深度に収まっていれば曖昧さはまったく感じられないというシャープさ。シャドーエリアもびっちりと情報を盛り込んでくるので、ついつい露出も切り詰め傾向での撮影が多くなりました。個人的にはアンダートーンの描写がZに似合うと、勝手に思い込んでいます(笑)。」(KIMURAX)

マウントの大口径化とショートフランジバックがもたらす恩恵は、我々の想像以上に大きいものがありますが、インタビューでご紹介したとおり、ニコンの方も「こんなに写るの?」と驚いたほどのインパクトでした。撮影時には既にEVF内でスルー画を見ているので何となくアガリは想像できるのですが、「それにしてもNIKKOR Zはすごいよね」と唸ってしまいます。それを考えると、確かにお値段はかなり控えめだと思います。もちろん、良質な画作りにはレンズだけではなく、最新の画像処理エンジン「EXPEED 6」とセンサーそのものの力も不可欠です。以下、センサー周りの貢献度が伺い知れるコメントをご紹介します。

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「フィルム時代のレンズはメーカーによって独自の色表現がされていました。また、彩度の表現も、派手な発色から若干渋めのものまで多くのバリエーションがありました。デジタルカメラは、画像処理エンジンによって美しい写真を作るためにデータをコントロールしています。Zはそのコントロールが絶妙で、いい塩梅でオールドレンズの色調を表現してくれました。おかげで、防湿庫に眠っていた何本ものレンズが現役復帰しました。」(A.Inden)

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「他社製を含め、所有しているレンズの描写が、軒並み今までよりも格段によくなっている気がしました。」(TA)
「Mマウントレンズなどはレンジファインダーで使うのが一番自然なのですが、Zの画作りが気に入っているので、あえてZで撮りたくなるのです。周辺の色被りもかなり少ないほうなので、レンズ転がしにも最適なボディだと思います。」(TAK)

マウントアダプターを介して撮影しても、純正他社はもちろん新旧を問わず、レンズの性能が一段上がったような写りが得られます。気になる広角レンズの周辺描写も、ミラーレスではトップクラスでしょう。「このレンズってこんなに写ったかな?」と二度見、三度見してしまうのですが、同時にそのレンズの特長もちゃんと反映されるのが素晴らしいですよね。千本ノックにおいても、これまでに何本のレンズの名誉が挽回されたことでしょう。。Zのおかげで、手持ちのレンズを「見直したよ」と笑みがこぼれる日々です。Zレンズが拾った光を、高精細センサーが一番近い位置で受け取り、画像処理エンジン「EXPEED 6」がこれまた絶妙に解釈する。このイメージングデバイスとしての総合力も、Zの肝なのです。


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3) ニコンらしい感触

「初めて手にした瞬間に伝わってきたガチッとした剛性感。あっ、ニコンボディとすぐわかるところが流石です。ミラーレスとしての軽快感を担保しつつ、握って持っただけでも『確かさ』を感じることができるのですから。根っからのニコンユーザーさんにとっては信頼できるミラーレス機であり、Zがはじめてのミラーレス機となるユーザーさんにとっては、『ニコンらしさ』をダイレクトに感じることができるでしょう。」(KIMURAX)
「ボディもレンズもミラーレスカメラの中では、決して小さくないサイズなので、グリップも大きくホールドはとてもしやすい。ズームレンズは開放F値を抑えたこともあり、また沈胴構造にするなどの工夫によりコンパクトに仕上がっています。」(Naz)
「シャッター音がいい! 撮ってる感があります。ニコンは一眼レフもシャッター音が好きで、気持ちが高まります。やっぱりそういう点は大事だなと再認識しました。防塵防滴は嬉しい仕様でした。最初に持ち出したのがマレーシアで、常にスコールに見舞われる中で撮っていたので、安心感が違いました。一眼レフよりは軽いので動き物の撮影じゃないときには携行はラクです。電池も思ったより持つ印象でした。静音シャッターは無音と言ってもいい感じで、クラシックギターの演奏会でもシャッター音を気にせず撮れるのはすごく良いです!」(Rica)
「Fマウントのフラッグシップ機のような高い操作性と安心感を持った、ショートフランジバックのカメラが出て来るのを首を長くして待っていましたが、Zはまさに私が待ち望んでいたカメラです。」(A.Inden)

グリップの良さ、全体の剛性感、防塵防滴構造、撮ったことをしっかりと感じることが出来るシャッター音。持っただけですぐに分かるニコンクオリティは、Zになってもしっかりと継承されていますし、ユーザーの気持ちに寄り添うようなインターフェースからは、優しささえ感じます。ミラーレスからデジカメに入るユーザーでも、一眼レフを中心に使い込んできたユーザーでも、ひとたびZを手にしてファインダーを覗いてシャッターを切れば、すんなりと入り込めるでしょう。


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4) こんなZも、見てみたい。

最後に、これからのZシステムに希望することを語ってもらいました。

「現状、大きなレンズはまだ登場していませんが、縦位置グリップはやっぱり欲しいです。あと、電子シャッターに関しては、F1.2開放がいつでも使えるくらいの最高速がほしいです。」(Naz)
「望遠系のNIKKOR Zレンズがラインナップされたらいいなと思います。」(Rica)
「D850に搭載されたネガフィルムデジタイズ機能が、Zでも使えるようになってくれたら嬉しいです。また、複数のニコンのボディ間で、出来うる限りの設定を一発でインポート/エクスポートできたら助かります。」(TAK)
「ダブルスロットであればと思わなくもないですが、XQDの書き込み、読み出しは速いのでストレスフリー。信頼を置いています。」(TA)
「過去に撮影中に撮影データが飛んだことがあって、記録媒体が2枚ないと不安で仕方がないのです。新しいXQDカードで安心なのかもしれませんが、ダブルスロットで同時書き込みになるといいなと思っています。」(A.Inden)
「XQDカードスロットはシングルですが、SDカードと比べて書き込み、読み出しが高速だというだけではなく、メディアの品質が高いレベルで揃っていて信頼性も確保されていることから、今回シングルになったのではないかと推測します。XQDカードは高画素機の静止画でも高画質な動画でも書き込みがスムーズに行え、カメラ全体のパフォーマンスを底上げしてくれているようです。メディア単価が高額であるため、買うまでは不満も出てきますが、実際に使ってみるとSDカードに勝っている部分が数多くあるように思います。」(Naz)

縦位置グリップは大きなレンズでは特に有効ですし、中にバッテリーが入れば撮影枚数も増えるので、今すぐにでも欲しいアクセサリーです。望遠系もいずれはネイティヴマウントのものが出てくるものと思われますが、こちらも早く見てみたいですね。XQDカードに関しては確かにちょっと高額なのですが、使い始めると他には戻れなくなるくらいの高性能で信頼性があります。ただ、カードの信頼性は上がっても肝心な人間様が間違って消去することもあるので、その意味ではスロットも単発より双発の方が安心というユーザーは少なくないでしょう。ネガフィルムデジタイズ機能もミラーレスとの相性がバッチリなわけですから、ぜひ受け継いで欲しいですね。

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その他少々マニアックなつぶやきも、ちらほらとございました。

「ブラックペイントなんて出ると、オールドレンズが更に似合うのではと妄想してしまいます。」(A.Inden)
「単焦点レンズは写りこそ素晴らしいものの、少々大きく、撮影目的のない休日の散歩に持ち出すような時にはもう少し小さいと嬉しいです。パンケーキレンズとまでは言いませんが、明るさを抑えた小さなレンズも希望しています。」(Naz)

確かに、もっと趣味性を追求したモデルも出てくると、システムにより深みが出てくるかもしれません。一台で何でも出来るモデルに加えて、AFもVRも取っ払った潔いモデルや、それと組み合わせるMFオンリーのNIKKOR Zも見てみたいです。非現実的ですかね。でも新しいシステムだからこそ、逆に「これを使ってみろ!」という、使い手の技量が問われるようなプロダクトも見てみたい気もします。それからF値を抑えた、システム全体を小型化出来る単焦点。これはかなり現実的な夢だと思いますし、それに合わせたボディも見てみたいですね(なんでしたらブラックペイントで)。いずれにせよ、Dfを作ったり、レンジファインダーのS3やSPを復刻してしまうようなメーカーですからね。ついつい夢が膨らんでしまうのです。


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おわりに

これまで半年以上にわたりお届けしてまいりましたNikon Z特集ですが、これにていったんお開きとさせていただきます。ご覧頂き誠にありがとうございました。当初は、これほどの期間にわたるとは考えておりませんでした。これまでの内容をご覧の皆様はご存知かと思いますが、当初は予定していなかったインタビューが途中から複数件、派生しております。ニコンの方とお話すると必ず時間オーバーになるほど盛り上がるのですが、その度に「じゃあこのお話もどうですか?担当をご紹介しますよ。」と話が次々に進むのですね。ニコンというとやはり「質実剛健」というイメージがあり、それも間違いではないのですが、実際にお会いすると、これがあのニコンなのかと思うほど気さくで話していて楽しく人間味に溢れる方ばかりで、ごく自然にお話をすることが出来ました。どのメーカーにも、公に言えること言えないことがあると思うのですが、インタビュー中はここでは書けないような、大変に深く楽しいお話も伺うことが出来ました。ただこれは、決して口が軽いということではないのです。「大事だ」「面白い」と思った内容が口から自然に出てくると言った方が近く、「書けないから話さない、聞かない」ではないのですね。ISO感度の上限が高い方が常用感度も上がるのと同じように、話の振り幅が大きいほど、公開できるお話のダイナミズムも上がるのだ思いました。とにかくカメラ、レンズに一直線で、良いものをひたむきに作る。それがニコンという会社なのだと思います。Zはそんなニコンが放った渾身のミラーレスカメラシステムです。最新のNIKKOR Zの頭一つ抜けた写りを楽しむもよし。アダプター経由でオールドレンズを堪能するもよし。これまで以上に、撮る喜びを味わっていただければと思います。


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( 2019.07.25 )

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