PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

Carl Zeiss Otus 1.4/100

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ツァイスのOtusシリーズから、第4の刺客となる「Otus 1.4/100」のリリースがいよいよ迫ってきました。対応するマウントは、ニコンFマウント用とキヤノンEFマウント用の2種類。有り難いことに発売を目前に、PY編集部はひと足早く試写する機会を得ることができ、先行してキヤノン EFマウント用のレビューをお届けしたところです。そちらをすでにご覧いた方もかなりいらっしゃることとは思いますが、もちろん行きます!今回は心新たにニコン Fマウント用の実写レビューです。本レンズは、9枚の特殊ガラスと非球面レンズ1枚を組み込んだ11群14枚のレンズ構成で、考えうるほとんどすべての光学収差を極限まで抑制しているとのこと。妥協のない最高性能を持つというOtusシリーズのプレミアムな中望遠レンズですからね、描写性能は大いに期待してもいいのではないでしょうか。そこであえて厳しい目でといいますか、レンズの粗が如実に出てしまう高画素機(D850/4575万画素)にマウントしてのレポート。では早速、カメラマンTAが撮りためてきたカットをとくとご覧頂きましょう。

( Photography : TA / Text : TA & KIMURAX )

Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

「すごい・・・。」と、素直に何度も呟いてしまいました。開放F1.4での撮影は深度が浅くなり、浮遊感を感じるほどの量感のあるボケと、なだらかなトーンで描ききる再現力。これはもう中判カメラを使っているかのような感覚でした。そもそも明るい望遠単焦点レンズを使った時のボケ量は、人間の視覚を越えた世界を見せてくれる感動があります。そこにツァイスならではのマイクロコントラストの描写に優れた極上の写りがプラスされる。この喜びは取り分け大きく、そのせいか重量が1336gあるにも関わらず撮影中はまったく苦になりませんでした。しっとりと手にまとわりつくような金属製の鏡胴の感触も最高で、「撮る」ことに集中できる無駄のないデザインも撮り手のことをよく考えられたものだと思います。ボディーバランスやハンドリングの良さも、撮影中に重さやサイズに捉われなかった理由の一だと思います。ピントを人物に置いてアウトフォーカスに振った鈍色の空を、ここまでデジタルカメラで再現できるとは。いやはやのっけから恐れ入りましたという感想しかありません。

Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA


Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

本レンズは、鋭いキレのある描写で被写体を捉え、被写体を前面に浮き立たせるゾナータイプで、かつ諸収差を徹底的に排除させたアポクロマート設計です。使っていて気になるような収差は、いずれもほとんど見られませんでした。ハイライトのエッジに色が滲むこともなく、クリアで抜けの良い写りです。本レンズの魅力をどうにか言葉にしようと思うままにフレーズを思い浮かべてみるのですが、どうにも陳腐に思えてしまいます(笑)。それなりにというか、かなり高価なレンズであることは確か。本物とはなんぞや?と改めて考えさせられる、そしていろんな豊かさを与えてくれるレンズなのかもしれません。


Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

ファインダーの見易さも手伝い、カミソリのように薄いピント面ですが比較的ピークは追い易いです。なんの変哲も無いコップにフォーカスしましたが、並のレンズならこんな艶かしい写りにはなりませんよね、流石です。そしてティースターコーティングが生む高コントラストと独特の濃厚な発色は紛れもなくツァイスです。


Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

チェーン錠のダイヤル部を最短にて。最短撮影距離が1mと聞くと寄れない印象を持ちますが、100mmですのでここまで大きく写せます。歪曲もなくパースにも気を使わなくてよいので、テーブルフォトや商品撮影にも抜群の威力を発揮すると思います。

Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

アウトフォーカスの玉ボケもガラス越しだとわかる濃密な写りです。F1.4クラスの大口径ですから口径食は流石に見られますが、玉ボケの縁取りもなく綺麗ですね。暗所でももちろん極上の写りを担保してくれますし、シャッターボタンを押すだけで印象的なカットが撮れてしまいます。

Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA


Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA

F4.5での撮影。開放から本当によく写るのですが、絞ると周辺の光量落ちも解消され隅々までクリアで高精細な描写が得られます。数百メートル離れた木の葉の一枚一枚まで、しっかり解像しているのには背筋がゾッとしました。さらに驚いたのは一枚一枚の葉の表情が失われていないこと。細かく丁寧に拾い上げて再現しているからこその艶かしさではないでしょうか。

Nikon D850, ZEISS Otus 1.4/100, Photo by TA


PHOTO YODOBASHI

Carl Zeissブランドの名実を現代に受け継ぐ。

本レンズがもたらす言わば過剰とも思えるそのクオリティに、只々驚かされるばかりでした。カメラマンが撮りためてきた生データをクリックした瞬間に湧き上がってくる高揚感。寄ろうが引こうが、光が強かろうが乏しかろうが、抒情的に切り取られた画が次々と現れてくるたびに感じ入ってしまっている自分がいるのでした。絞り開放から繊細にして極めて尖鋭な像を結び、画面全体に渡ってその性能が発揮されているのですからね。非球面レンズ設計なので自然にスッとボケが生じるのですが、そこに漂っている空気までをも丁寧にすくい上げるかの如く見事に再現しているではありませんか。いくつものレイヤーが積層した重層的な描写とでも申しましょうか、その見事な奥行き感のある懐の深い画に溜息。我に返って拡大して見ていくも、メーカーアナウンス通り各収差はよく抑えられているではありませんか、しかも開放から。F1.4というスペックを活かしきる妥協なき一本。それはまさにいつの時代にもユーザーの期待に応え、魅了してきたオーバークオリティともいえる数々の製品を世に送り出してきたHISTORY OF ZEISSの現在進行形。フィルムよりも圧倒的に情報量が多くなったデジタルの時代にあっても、隙を見せないその仕上がり。軽量化をしたり、AFを搭載したりと何か特徴をだそうという考えは微塵もなく、ただひたすら世界の頂点を極める撮像を追い求めたOtus 1.4/100。Carl Zeissが長い歴史の中で培ってきた技術が息づく最新を手に入れるのは、あなたです。


( 2019.05.22 )

Loading..
Loading..

本レビューで使用したニコンFマウント用です。さぁ、決心しましょう。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ツァイスにはツァイスで。そこはやはり、そうですよね。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

連綿と続くツァイスの歴史を、名レンズで撮影したたっぷりの写真と共にこの一冊で振り返ることができます。この本を読めば、現行品のツァイスの描写の中に、しっかりとツァイスの伝統が生きていることを感じていただけるはずです。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

電子書籍版なら、いつでもどこにでも携行できますから、現行品のツァイスレンズを携えての撮影時にぜひお供にしていただきたい! お好きなタイミングで、スマートフォンやタブレットから気軽に読んでいただくことができます。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..