PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon Z7, ZEISS Milvus 2/135, Photo by TA

Carl Zeiss Milvus 2/135

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

大口径ズームレンズの高性能化とともに、望遠135mmの単焦点をラインナップするメーカーも少なくなりました。ズームの利便性は言わずもがなですが、解像力、ボケ味、携帯性といった大口径単焦点ならではのアドバンテージが色褪せることはありません。最新のデジタルカメラに合わせてコーティングなどをアップデートしているとはいえ、肝である光学系は先代の「Apo-Sonnar T* 2/135」と同一のようです。これは、変える必要が無いほどに先代のアポゾナーの写りが素晴らしかったことを証明していますが、元々が過剰なほどの描写性能をもつツァイスのレンズには茶飯事です。ともかくご覧ください。

( Photography : TA / Text : TA & TAK )

Nikon Z7, ZEISS Milvus 2/135, Photo by TA

あいにく撮影日は梅雨一番!といった空一面に広がる厚い雲。そして雨といった天候でした。手にしていたのは多くのファンを持つ往年の銘レンズ、アポゾナー135mmをデジタルに最適化させたMilvus 2/135。さまざまな条件下での描写を見てみたかったので少々残念ではありましたが、まずは屋内のミックス光下での一枚。色再現性も良いですね。切り花一本一本の生命力が感じられるほど。

Nikon Z7, ZEISS Milvus 2/135, Photo by TA

天候が天候だったので上限値を設定したISOオートでの撮影ですが、ISOは2800。ディテールを全く損なうことなく、ここまで描き切るかと正直驚いたカットです。中間域からどこまでも粘るディープシャドー。階調表現も素晴らしい。

Nikon Z7, ZEISS Milvus 2/135, Photo by TA

Nikon Z7, ZEISS Milvus 2/135, Photo by TA

フラットな光の下での撮影が続きましたが、像の分離が良く被写体を浮き立たせます。中距離にピントを置いてもご覧の通り、ごく自然な描写です。湿り気を帯びた重たい空気の表現も見事ですね。

Nikon Z7, ZEISS Milvus 2/135, Photo by TA

Nikon Z7, ZEISS Milvus 2/135, Photo by TA


Nikon Z7, ZEISS Milvus 2/135, Photo by TA

海と空の境目がほとんどないような日でしたが、飛ばし気味で一枚。ハイキーに振っても階調の厚みを感じる描写です。

Nikon Z7, ZEISS Milvus 2/135, Photo by TA

もはや3Dかと。被写体まで距離がありましたが、それでも被写体が浮き上がってくるような描写です。

Nikon Z7, ZEISS Milvus 2/135, Photo by TA

Nikon Z7, ZEISS Milvus 2/135, Photo by TA

ピークのキレと量感のあるボケ。これらをしっかりと描きわけるのがゾナーの魅力のひとつですが、画角とF値の関係からもアウトフォーカスに何が写っているかわからないほどのボケでもない。背景はきちんと背景してなりたっているのですね。副題(背景)があって、主題(被写体)がさらに引き立つ。本レンズの表現力がずば抜けているのはそういった理由からでしょうか。

撮影中、お天道様を拝むことができなかったのが誠に心残りではありますが、本シリーズは防塵防滴仕様で、何と言ってもアポゾナー。どんな状況下であっても、良好なパフォーマンスを見込めるだろうという目論見は撮影前からありました。まず数カット撮影した段階で、「オータスシリーズ」として出ていてもおかしくないと思うほどの手応えを感じました。「良く写るレンズ」のさらにその上を行くレンズです。表現力に直結する階調の豊かさ、立体感、コントラスト、色再現性、質感描写等、どれをとっても一級であり、写真に魂を宿す、強い力を持った一本です。


  • PHOTO YODOBASHI近接付近での撮影。そう、ミルバス135mmの良いところは意外と寄れるところでしょうか。135mmという望遠レンズながら、狭いスペースでの取り回しも良いのです。質感描写も見事です。
  • PHOTO YODOBASHIこのカットにも驚きました。ISOを7200まで上げてみての撮影ですが、ディテールをしっかりと残している描写です。ボケも良いですね。

PHOTO YODOBASHI

「上手い」を軽々と超越した、「凄い」プレーヤー。

このご時世でも135mmの単焦点を出し続ける理由は、伝統の焦点距離だからという受動的なものではなく、突出した表現力を持っている「アポゾナー」であるからだとも思えます。アイススケートに例えると、ショートプログラムでは当然のごとく高得点を叩き出し、更にフリー演技においては無類の強さを発揮し、その情感溢れる演技で観客を魅了する王者といったところでしょうか。ズームほどの柔軟性はありませんが、上下左右の余計なものを排除出来る「狭さ」を持っていますし、前後の余計なものを溶かして被写体だけを引き立てる力も絶大ですから、実はかなり使いやすいのです。しかもかなり寄れますし、自分の足で動けば中望遠のようにも望遠のようにも撮れてしまいます。そして、焦点距離を固定すると撮影意図も更に研ぎ澄まされますから、結果として撮れ高も上がるのです。絞りのデクリック機構を新装していますから、動画撮影にも重宝するでしょう。


( 2019.08.01 )

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眼前の混沌から何を抽出し、浮き彫りにするか。腕が鳴る一本をどうぞ。

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