PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Carl Zeiss Milvus 2.8/18
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
ZEISS Milvus 2.8/18は、デジタルカメラの発展に伴いClassicシリーズをデジタルに最適化したMilvusシリーズの一本です。「Carl Zeiss Distagon T* 3.5/18」からのリプレイスとなっていますが、開放値をF2.8に刷新。新しい光学設計を採用しています。重量675g、全長92mmと撮影に携行するのが億劫にならないコンパクトさも魅力。新設計とあって、その描写力に期待が高まります。超広角ながらF2.8という明るい開放値ですから、ボケ味を生かした撮影もできそうです。今回はニコンFマウント用のレビューをお届け。さっそく作例をご覧になっていただきましょう。
( Photography : Z II / Text : Z II & Rica )
18mmの広角レンズでも手前は自然なボケ。奥の建物が際立ちますね。また奥の建物の白壁の凹凸もきちんと描き切っています。レンズの素性を知りたくて、カメラ内の補正機能は全てオフにしての撮影です。若干の歪みはありますがカメラ内の補正も不要かなという程度でした。
夕陽を狙って出かけたのですが、あいにくの空模様。突き出た半島を見下ろす風景は、木々が茂っており、このようなフレーミングになりました。遠くに見える半島とはかなり距離がありますが、拡大してもそのディテールまでしっかり描写しており、その解像力には目を見張るものがあります。次は晴れた日に空と海がどんな表情を見せてくれるのか撮ってみたくなりました。
漁具の色味や質感描写、いかがでしょう。見事ですよね。曇天の弱く柔らかい光でも実にこってりとした色のりで立体感も十分。ツァイスらしさが存分に感じられます。
最短撮影距離は25cm。この夏咲き始めた紫陽花に、レンズフードの先端までグっと寄っています。早咲きの花の色は淡く、葉の濃い色に負けてしまいそうでしたが、その淡さがより際立つ写り。絞り開放のF2.8でのボケはご覧の通り、背景の葉の輪郭を残しつつ自然で上品です。
18mmでスナップとなると、いろんなものが画面に入ってきます。マニュアルフォーカスのため速写性には期待できませんが、絞って被写界深度を稼ぎ、目測・ノーファインダーで撮る方法を試してみました。犬の鼻ギリギリまで寄って撮ると、身体がほとんど隠れて不思議な写真になりました。ワイドレンズだからこその遊び心あふれる写真にもぜひチャレンジしてみていただきたいです。
この一本で自身とは違う視野を手に入れる
Distagon設計のZEISS Milvus 2.8/18には、非球面レンズ2枚、異常部分分散特殊ガラスを4枚採用。歪曲の低減、高い解像力と収差の低減を実現しています。もちろんT*コーティングも施されていますから不要な反射も抑えられ、難しい光でもフレアやゴーストの発生もごくわずか。積極的に開放から撮影を行える性能を持っています。ワイドレンズらしい伸びやかな線を描き出し、とてもスマートな描写だと感じるのはしっかりと歪曲が抑えられているからでしょう。最短撮影距離も25cmと旧モデルから5cm縮まり、被写体にグっと迫ることでより迫力のある画作りも可能です。今回のロケのように薄曇りの日でも、このレンズの良好なコントラストが被写体のディテールをしっかりと描き出してくれます。防塵防滴仕様ですから、少々の天候の悪さに臆する必要もありません。超広角レンズではありますが、合焦部から豊かな階調を伴ってボケていく「ツァイス感」もバッチリ味わえます。約100度という広い画角では不要なものがフレームに入りすぎるとネガティブに考えがちですが、この視野をぜひ自身のものにしてください。
( 2019.06.06 )
デジタルカメラに最適化された新しい設計のZEISS Milvus 2.8/18です。超広角ながら、開放値はF2.8。美しいボケも堪能できる、撮り甲斐のある一本です。
ツァイスレンズの性能を最大限に引き出すとT*コーティングが施されたUVカットフィルターです。大きなレンズ前玉の保護に純正フィルターをぜひどうぞ。
連綿と続くツァイスの歴史を、名レンズで撮影したたっぷりの写真と共にこの一冊で振り返ることができます。この本を読めば、現行品のツァイスの描写の中に、しっかりとツァイスの伝統が生きていることを感じていただけるはずです。
電子書籍版なら、いつでもどこにでも携行できますから、現行品のツァイスレンズを携えての撮影時にぜひお供にしていただきたい！ お好きなタイミングで、スマートフォンやタブレットから気軽に読んでいただくことができます。