Nikon Ai AF Nikkor 50mm f/1.4D

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

既に絞り環無しの「G」タイプがリリースされて久しいのですが、旧来の機種でも使用できるように「Dタイプ」の本レンズが残されているあたり、互換性を重んじるニコンらしい気配り。6群7枚・ダブルガウスのオーソドックスな構成で、最新レンズに見られる描写特性からすると少しクラシカルな描写をするレンズです。開放では残存収差が見受けられ、絞り込むことで描写が変わり、2段も絞り込めばキレのある描写で魅せてくれます。単焦点レンズを初めて手にする人にとって、まずは最初の1本にノミネートされることが多いレンズでしょう。大変リーズナブルなレンズですが、開放時のクセや大口径ならではの描写など、値段以上の楽しさを味わうことができます。少し自分の画にコンプレックスを感じたり、自己模倣のマンネリに陥ったとき、そして新たな切り口を求めるとき、"標準"と呼ばれるこの1本を手にしてみてください。

( Photography : M.Ishizuka & K / Text : K )

早朝夜露に濡れた草原をf8まで絞り込んで撮影。繊細だけれど力強さを感じます。最新のレンズに比べれば少しフレアを感じますが、シーンをかんがえればむしろ好結果。

真逆光ならともかく、サイド光、順光などではヌケのよさを感じます。レンズ構成枚数が少ない単焦点ならではのクリア感。ピントピークも非常にシャープな印象です。

50mmなのでF8まで絞り込んでも、この距離ではパンフォーカスにはなりません。しかし凄いキレです。

やはり積極的に絞りを開けて撮影したいもの。適度な残存収差が画にぬくもりを与える印象です。

若干ボケ味がうるさい印象ですが、これを活かして撮影するとなかなか面白い画が撮れるのです。ボケ味が滑らかなら滑らかなほど「写真的」。少しクセがあるレンズは「絵画調」になりやすいのではないでしょうか。色々とトライしてみてください。一風変わった画が欲しければ、あえてゴチャゴチャとした背景を選ぶのが吉。シャッターを切れば写る、ただそれだけ。それ以外はどんなことをしたってよいわけです。そんな探求は趣味だからこその愉しみでしょう。