Nikon AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ニコンから7月28日に発売された「AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR」のシューティングリポートをお届けします。ニッコールのフルサイズ用70-300mmズームレンズというと、「AF-S VR Zoom-Nikkor 70-300mm f/4.5-5.6G IF-ED」がありますが、今回レビューするレンズは「AF-P」の名前が示す通り、AFの駆動にステッピングモーターを採用したもの。またF4.5-5.6という開放値こそ同じですが、レンズ構成は別物の新設計です。このAFについては実際に撮影したZ IIが詳しくレポートしているので、ここでは簡単にその他のアウトラインを。大きさは「AF-S〜」とほぼ同じですが、重さは65g軽くなっています。手ブレ補正機構は4.5段の補正効果がある「NORMAL」モードに加え、超望遠レンズに採用される、さらに強力な「SPORTS」モードも搭載。そして最短撮影距離は「AF-S〜」から30cmも短縮されています。今までより30cm寄れるって、これは大きいですよ。70-300mmといえば性能で、機能で、あるいは価格で、それぞれの切り口で各社がしのぎを削る望遠ズームの激戦区。ここにニコンがどんなレンズを投入してきたのか、とても興味が湧きます。

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都会と森の森羅万象 ー 2017 夏

格の違いを見せつける、ワンランク上を行く望遠ズーム

もう何年も東京での夏を過ごしてきてるのですが、慣れないものですね。暑い。風が吹こうが日陰だろうが服を脱いだって暑いものは暑い。そんな中、各地で夏の風物詩的な催しが開催されます。主催者さんやスタッフの方々には本当に頭が下がります。そしてそれをドラマチックに撮ることで自らの存在意義を示す我々写真愛好家は暑いなんて言ってられません。むしろ暑いをネタに、いや暑いを楽しむくらいの気合いがないといい写真は撮れないのです。

さてそんな夏を感じる写真を撮りに連れ出したのは、ニコンから新たに出たステッピングモーター搭載の望遠ズーム「AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6 VR ED」です。使ってみて最初に感心したのは迷う事なく爆速で駆動するAFがほぼ無音という点。写りは、この手のレンズは「そこそこ写っていればいい？」くらいかなと思ってましたが、そこそこどころではなかったです。キレもボケも解像感も申し分なく純正品の名にふさわしい写りに少し驚きました。サイズはフードを装着すると少し長く感じますが、レンズ本体はそれほどで長くないという印象。太さも程よくて、ズーミングするのにも表面の凹凸が手に吸い付くような感触で、しっかりとクイックにズームリングを回転できます。重さもフルサイズ用のこのクラスでは軽い方と言える680グラム。防塵防滴に配慮された設計で夏の海や川にも積極的に連れ出せます。

高画素のボディが主流となり高感度の画も良くなったことと強力な手ぶれ補正機能を搭載することで望遠ズームレンズは大口径である必要もなくなり重さも価格も抑えることができました。もちろん写りは作例を見ていただく通りきっちり仕上げられているなぁという印象です。そしてやっぱりニコンのボディにはニコンのレンズがよく似合います。もしも初めて購入した時付いてきたズームキットレンズやサードパーティのズームレンズからランクアップして買い換えるとするなら、写りも満足度もきっとワンランク、いや、それ以上アップすると思いますよ。（Z II）

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• 強烈な西日が差す御徒町駅前。マブい（っていま言わない？）女性のシルエットを逆光で撮りました。まず目が行くのは、風に吹かれる髪。透明感があり、軽く、しなやか。絶対にいい匂いがするはずです。それでいて一本一本が見える解像感あふれる精緻な描写。ギラギラした日差しを表現するために路面は思いっきりすっ飛ばし、代わりに女性のディテールは見えるか見えないかのところで寸止め。あとは見る人の想像力で補完。いいレンズはいろんなことができます。
• 夕方より少し前の時間帯。改札口を出てホームに向かう階段に光が差し込んでいるシーンと仕事モードの顔がとてもいい雰囲気です。なぜか女性ばかりですが、それはたまたま。さぁ！こちらももうひと頑張り。
• 外の気温は18度。カーラジオから流れてきた東京地方の今日の最高気温は33度という予報を聞いて夜まで帰るまいと心を決めたのは言うまでもない。それにしても光量の少ない状況下で少しでも絞って撮りたい時など手振れ補正はありがたいことです。三脚？そんなもの用意してたらいい霧が逃げちゃいますよ。
• 上の作例には入れませんでしたが、速いAFと防塵防滴の性能を生かした写真ということでご紹介。川の上流にやってきました。長靴で行けるところまで水に浸かり、尻が水に浸からないくらいしゃがんで撮影。ちょっとやそっとの波がかかっても平気だと思うと、安心して攻めの撮影ができますね。スピードと激しい上下動がある被写体ですが、超優秀なAFがその安心感をさらに後押しします。

（サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます）

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初めてだからこそ選んで欲しい

ニコンのホームページを見ると、「FXフォーマットデジタル一眼レフカメラの初めての望遠レンズとしておすすめです」とあります。もちろんこれは「初心者ならこのぐらいで十分でしょ」という意味ではありません。その逆で、「初めての望遠レンズがこれなら長く使い続けられるし、さらに写真が楽しくなるでしょう」と言っているわけです。ここに挙げた作例を見ても分かるように、70-300mmは使い道がきわめて広いレンズです。そこへ静か（というかほぼ無音）で素早いAF、強力な手ぶれ補正、軽くて小さな筐体とくれば、もう悩む余地はあまりなくなります。趣味の風景写真や街中スナップ、あるいは子供の運動会や家族旅行のお供・・・と頻繁に使うことになる望遠ズーム。妥協をしてしまうと、手にするたび「ああ、やっぱりあっちを買っておけばよかったなあ」と後悔することになるのは目に見えてます。だったら最初から「あっち」を買っておきましょう。

( 2017.07.28 )