PHOTO YODOBASHI

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Nikon D5, AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED, 1/4000, F1.4, ISO 100, Photo by K

Nikon AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

28mm。これを「超広角」と言っていた時代もある(らしい)のだけど、今となってはそういう感覚はないですね。むしろ常用に足るという意味で「広めの標準レンズ」ぐらいに位置づけられているのが実情かと。事実、コンパクトカメラでも単焦点の28mmを搭載したものはフィルムの時代からありました。28mmというのはなかなか面白い焦点距離で、もちろん広い風景などはお手のものですが、寄って撮った場合でも背景の存在感をコントロールできる、つまり被写体と周りとの関係性を「自然に」表現できるのが28mmです。これより長いと、関係性の表現はどうしても希薄になるし、反対にこれより短いと、被写体と背景が限りなく等価になっていく(あるいは逆転してしまう)上、いかにも「広角でござい」といったワザとらしさが目立ち始める。そんなわけで28mmは使いこなし甲斐のある、言い換えれば撮影者のウデの差が如実に現れる焦点距離だと思います。

さて本題です。ニコンからFX(フルサイズ)フォーマット用の28mm、しかも開放値はF1.4というレンズが登場しました。光量の足りないところで、あるいはボケを生かして、表現の幅をさらに広げることができる…なんてことは言われなくても分かってるんです。知りたいのは写りがどうか?使い勝手は?この開放値を実際にどう生かす? 今回はZ IIと「28mm苦手」を公言して憚らないKに撮影をお願いしました。


Nikon D5, AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED, 1/200, F5.6, ISO 100, Photo by K

音のない景色

Nikon D5, AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED, 1/800, F1.4, ISO 100, Photo by K

Nikon D5, AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED, 1/4000, F1.4, ISO 100, Photo by K

Nikon D5, AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED, 1/2000, F1.4, ISO 100, Photo by K

Nikon D5, AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED, 1/1250, F1.4, ISO 100, Photo by K

記録の目に、あと押しのF1.4

フィルム/デジタルを問わず、単焦点レンズが搭載されたいわゆる「高級コンパクトカメラ」が存在しますが、なぜだか搭載されているのは殆ど28mm。何度かインプレッションに書いてきましたが、28mm苦手です。編集部を留守にしてる最中に担当が割り振られ、戻ってきてみたら「スティーヴ・マッカリーのようなスナップ」というお題と共に担当になっていました。編集部の近所にトヨタ・ランドクルーザーが必要な紛争地はございません。あったとしてもあんなの撮れません。

高級コンパクトに28mmが搭載される理由は何でしょう。おそらく、日常的な記録を行うのに丁度よい画角なのでしょう。しかし私にとっては「退屈への近道」と呼ぶべき画角です。まあまず使いこなせる気がしません。ただ、この画角が楽しくなれば「写真が上手くなれそう」とは思うのですが。

28mmでF1.4。まず使い道で思いつくのはポートレート。被写体の周りまで写し込んで、なおかつ撮り手が何を見たかを浅い被写界深度で表現できそうです。同じアプローチでスナップを行えば、田舎育ちの私が感じる大都会が表現できるかなと考えました。この街の人々は押し合い圧し合いの中でも、自分だけの空間を作るのが上手だと感じます。そして必要以上に人のことを気にしないように思います。そんなことをしていたらすり減って仕方がないからでしょうか。…なんてことを越してきた頃はよく思ったものですが、圧倒的な集積の中、ひとりひとりにそれぞれの世界とドラマがあるんだなと、写真を撮ってきたことで感じられるようになりました。なにせ朝刊と夕刊が一緒に届くような町で生まれ育つと、大都会のストレスは凄かったですから。

背景まで写り込む画角に、淡いボケの量を活かして、この街で暮らす人々が纏う空間を表現してみました。F2.8クラスだと、また違ったアプローチで撮ると思います。(K)


Nikon D5, AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED, 1/200, F1.6, ISO 100, Photo by Z II

キレふわ。

Nikon D5, AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED, 1/3200, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

Nikon D5, AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED, 1/3200, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

Nikon D5, AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED, 1/6400, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

Nikon D5, AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED, 1/3200, F1.4, ISO 100, Photo by Z II

切れ味抜群の短刀。ホントに欲しくなる銘玉。

PHOTO YODOBASHI今回のロケ先は特に場所は決めずに、お題としてはポートレートと風景写真。その中にこのレンズの性能を表現しろという、いつもの事ながら難題です。とはいえ撮り直しだけは避けたい。まずはポートレート撮影をしてみました。うぉ!ワイドレンズにしてなんという極薄のピント面、そしてその分キレッキレの描写、ピント位置から距離が遠くなるにつれてのボケの滑らかさと階調の豊かさ。スバラシイ感触。良いレンズだなぁと思う写りです。ワイドレンズでこれほど浮き立つようなレンズはなかなかないのではないでしょうか。まさに単焦点ワイドレンズでしか得られない見事な描写です。単眼とはいえ大口径なのでそれなりに重いのかな?と思うところでしょう。レンズ単体ではたったの645グラムですのでほんのペットボトルとおにぎりほどの重さです。体重80キロの筆者にしてみればほぼ誤差の範囲。肩からさげて山寺のガタガタの石段だろうがひょいひょい歩けました。

また今回、ニコン純正としては初となる保護フィルターも一緒に使ってみました。キズや雨、砂、埃からレンズを守るのが保護フィルターの役目ですが、あえて逆光で撮影してみてもフィルター由来と思われるハレーションやゴーストは出ませんでした。そして、フィルターについた水滴を拭き取ったときに驚いたのです。従来のものは軽く拭いただけではニジニジになってしまい、ゴシゴシやらないときれいにはならなかったのですが、これに関してはスッと拭き取れる。「ただの保護フィルター」と捉えてしまうと決して安くはありませんが、こういう場面でも安心感が得られるのは大きいと思います。(Z II)


  • PHOTO YODOBASHI人物以外にこれだけ周りが写り込んで、前後に大きいとは言えないまでも確実なボケ量があると、シーンの空気が写るような気がします。開放から諸収差がよく抑え込まれて存分にシャープ。歪曲等もよく押さえられています。
  • PHOTO YODOBASHI距離にして70cm程度でしょうか。開放だと28mmとはいえ、このボケ量です。28mmのパースペクティブにこのボケ量は新鮮です。また量感のあるボケ味。開放での周辺落ちも画作りに役立つことが多いでしょう。2段絞り込めば光量不足もおおよそ解消し、画面全域でシャープな像を結びます。
  • PHOTO YODOBASHIポートレートは85mmなど中望遠で撮るのは古い!とは言いませんがこの28mm F1.4で撮ると、ワイドでパースがつきながらもふわっとしていて不思議な感じに写ります。超ワイドレンズほどデフォルメされないので不思議でありながら不自然ではない感じが面白いです。このレンズでしか撮れない柔らかな描写は女の子を撮るのにも問題なさそうです。問題は女の子に寄りすぎて嫌がられないかという点だけですね。li>
  • PHOTO YODOBASHIとある山寺になんと孔雀が放し飼いにされていました。しかも、まるで撮ってくれと言わんばかりに羽根を広げてゆっくりと近づいてくるではありませんか。相手がその気なら、こちらも負けるわけにはいきません。F1.4の極薄のピント面で汗だくで挑みました。良いレンズで良い被写体に出会うことができ、わずか数秒の出来事ですがとても幸せな時間でした。

PHOTO YODOBASHI

分かりやすく、そして絶妙。

ニコンのサイト、特に「製品特長」を見ていつも感心するのは、その解説の分かりやすさ。難しい技術や用語を、普通の人にも理解できるよう、適切な図解とともに言葉を選びながら簡潔に説明している。一通りのことは分かったような気になっている人間(つまり私のことです)でも、「あー、そういうことだったのね!」と膝を叩くこともしばしば。こういう説明って「本当に大事なこと」だけがきちんと抜き出されていないと上手くできないんです。何が言いたいかと言うと、これってニコンの製品づくりそのものなんだろうなあということ。誰に、何を伝えたいかが明確。「本当に大事なことは何だ?」と常に自分に問いかけている。もちろん個人の勝手な感想ですよ。でも、今回撮られた写真を見ていて、ふとそんなこと思ってしまったわけです。

広角というと、ボケは期待できない、パンフォーカスで撮る、みたいなイメージがありましたが、各メーカーから「明るい広角」が出てきて、今やそういう印象は確実に古いものになりつつあります。FXフォーマットの広角F1.4では24mmがすでにありますが、ここで28mmという使い勝手のよい(言い換えれば分かりやすい)焦点距離をニコンが世に出したことは、とても興味深いことだと思うのです。今回撮影を担当した二人が異口同音に言っているのは、やはり「大きく、美しいボケという武器を手にした広角レンズの無敵さ」です。ここで大事なのは量だけでなく、きれいなボケであること。クセの強いボケだと、そこにばかり目が行ってしまって、冒頭で書いた「被写体と周りの関係性を自然に表現する」ことが破綻しちゃいます。それじゃ武器になりません。美しく自然であればあるほど、存在を主張しないものなんです。今度はあなたが、このレンズという武器を手にして、思う存分戦う番です。行ってらっしゃい。

( 2017.07.14 )

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ニコンからハイスピード28mmレンズが登場しました。広い画角をカバーしながらも大口径レンズ特有の薄いピントをお楽しみいただけます。もちろんナノクリスタルコート採用のハイエンド仕様。描写性能はご覧の通り強烈です。

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ニコンが満を持して投入するハイエンドプロテクトフィルター。最先端のレンズ加工技術とコーティング技術を組み合わせ、レンズ先端をしっかりとガードします。

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