PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

100年を紐解く努力
ハッとしてグッとくる「違法建築」

こんにちは、PY編集部のKでございます。なにやらニコン100周年特集記事の導入部を書けと。100年ですよ100年。書けと言われりゃ書くしかないのですが、いかんせん100年というのは重すぎる。キーボードを前に、半ばとりつく島もない状況で歴代のモデルをこねくり回してみると、昔のモデルはなぜこうも私を惹き付けてやまないのか。一向にカーソルが右に流れていきません。カッコいい‥。何がカッコいいんだろうと考えてみると、なんだかカタチがヘンなんですよね。まあヘンなのを率先して買う傾向があるだけですが。そこで閃きました。とりあえず100年を語るなんてことは無理なもんで、カタチがヘンな理由を紐解いたり歴代のカメラのカタチを追うことで、カメラがいかに進化していったかぐらいは伝えられるかと。実態はいろんなカメラをにやにやしながら触ってブツ撮りして遊んだだけですが。ともかくいってみましょう〜。

1959年、Nikon F 登場。
「容積率オーバー」ですね。

先に断っておきますが、ページ一番上の写真・一番右、これがNikon Fの普通の姿です。もっともオリーブに塗られちゃってますが。それにしてもこの出で立ちはスゴイ(上)。もう理屈なく魅せられます。いわゆる「モードラ(モータードライブ)」を取り付けたNikon Fですが、いったいなにがどうなってこうなるんでしょう。当初予定の母屋に無許可で地下室と階段を作ったような雰囲気で、こんな物件は売りに出しても違法建築として、買い主さんも融資が受けられないんですよねえ。仕方がないんで不動産屋の営業さん、融資通すのに地下部分の図面をマスクしちゃってコピーし、銀行屋さんにFAXするみたいな。そんな話はさておき、この「建て増し」すっごくよくできてるんです!

ほら、すごいんですよ! Nikon Fは、まだウラ蓋ではなく「お釜式」。標準のお釜をとりつければ単なるアイレベルファインダーのミニマム構成に早変わり。なによりお釜を取っ替えるだけでワインダーを実現してしまうジョーカー的働きに感服いたします。ワインダーになにやらカウンタらしきものがあると気づいた読者のみなさん、流石です! ワインダーが動けばカウンタも当然動きます。そしてフィルムをブッチ切らないようにリミッター付きなのですね。そして最後までカウントされるとワインダーはシャッターを押しても動作せず、フィルムを入れ替え、カウンタ横のダイヤルを回して「0」にセットしないと、ワインダーは動かないようになっています。

上から眺めてみましょう。なんとかワインダーを実現しようとしたエンジニアの気概がヒシヒシと伝わってきます。ワインダーのグリップ部、前側にネジと棒をご確認いただけますか? これはパコン!とワインダーを母艦にドッキングしたあとに、母艦前側との隙間のせいでグリップがグラグラしないための「つっかえ棒」です。くりくりとネジって棒がボディに密着すればあんしん。


  • グリップ側面を見てみると、いいですねえ「C」「S」切り替えスイッチが。枕元でこれを操作すると部屋の電気を消すことさえできそうです。コンセントらしきものがありますが、USBではまさかないと思いますが、、おそらく読者のみなさんのほうがご存じでしょう(投げ)。“つっかえ棒”の働きぶりもよく確認できます。

  • いいですねえ、何台あってもいい。この正面から「かかってこいや」感。これを手に持てばなんか偉くなった気分さえしてしまいます。ちなみに鉄の塊なんで相当重いです。軽すぎて手ブレしちゃうというのではなく、重すぎてシャッター切る瞬間にフレームがヨレそうです。余談ですが、ニコンファンミーティングキャラバン千秋楽、仙台行ってきました! 場内を撮るべくシャッター切ったら、あまりのうるささにみんな見る見る。その節はご迷惑をおかけいたしました。しかし狙いどおりでした。重ね重ねお詫び申しあげます。

あら、、既に1ページ消費してしまった。こんなにペンが進むことはないので、割り当てを大幅にオーバーして次いってみましょう。時代は巻き上げだけでなく、露出計をカメラに合体させろと要求します。そこでニコンが編み出したソリューションをご紹介。

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( 2017.11.29 )