PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

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Behind the scene of GAPPURI ZEISS
Vol.05

I Love T

最近フィルムで撮っています。デジタルに慣れた体には、36枚しか撮れない、その度のフィルム交換もめんどくさい、プリントするにも一苦労、なのにフィルムで撮っています。それは「GAPPURI ZEISS」のために久しぶりに使ったCONTAX Tシリーズにヤラれたから、そうです「撮り手は洗脳されTの虜に」なってしまったのです。これでTシリーズの虜になったのは二度目。

1990年、発売されてすぐのT2を「カメラ好きは持っていた方がいいな」と軽い気持ちで手に入れ、一眼レフのサブ機として鞄の中に入れっぱなし。本当に入れっぱなしでした。コンパクトカメラがまだ自称カメラマンには浸透していない時代、小さなカメラで撮るなんってかっこいいと思えなかった時代、でも持っていることが「ちょっとわかってる人だな」とステータスになる。そんな時代でした。そして、使わなかったもうひとつの理由が「Sonnarなんて知らない」「F2.8って暗い」。その当時Planarにぞっこんだった身には美しいボケ味がすべてだったのです。そう「写真はレンズで決まる」と思っていたのです。

何度目かのオーストラリア。ひとりのときには一眼レフは物騒と思い、ブラブラと昆虫採集のように街を撮り歩くときにはハンドストラップを手首にかけてT2を持ち歩いていました。昆虫採集なので、作品でもなく気合も入れず行った場所の証拠写真、要するに写ればいいなという程度です。帰国後、上がってきたポジを見てぶっ飛びました。そこには異国の空気感が写し撮られていたからです。そして、さりげない風景がかっこいいと初めて思わされました。そうなるともう止まらないですね。“スナップ=T2”と刷り込まれた体は一眼レフを拒否し、フィルム違いで何台かのT2を使い分け、持ち歩く鞄もどんどん小さく、そして、コンパクトカメラのすごさに目覚め、ちょっと浮気心もあり気がついたら現在……T2 を3台、Tを2台、T3が1台にTvs が1台。ほかに高級コンパクトカメラと呼ばれるMINOLTA TC-1 、RICOH GRが2台、Konica Hexarは3台と大所帯になってしまいました(笑)。

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GATUPPRI ZEISSの掲載写真はすべてネガで撮影しています。本当はリバーサルフィルムの種類を使い分けて撮りたかったのですが、少し田舎に住んでいるため現像に思いの外時間がかかり、諦めました。一気に撮って一発勝負で出せば入稿に間に合ったのですが、さすがに10年以上も眠っているカメラでは恐ろしくて……でも結果は下のリバーサルフィルムのスキャンを見ていただくとおわかりのように、意図した通りの露出、完璧です。カメラが問題なく動いたことも驚きですが、10年以上も使っていなくても体に染み付いた露出コントロールは忘れないものなんだなと感動しました。ただ、日本の風景なのでパリッといこうと思い彩度の高いRVPを使ったのですが、ちょっと彩度が高すぎて、Sonnar 38mm F2.8には合っていなかったかな……と反省しています。この辺の感覚が戻ってくるにはもう少し使い込む必要があるのかもしれませんね。

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巷ではT2、T3の中古相場が高騰しています。こんなタイミングでこんな本を出して迷惑なやつだと思われる方がたくさんいらっしゃると思います。実際、久しぶりに撮るまでは「こんな高くなってどうしたの」「骨董品価格だな」「いいデジカメが買えるじゃん」なんて思ってました。でも久しぶりに使ってみると、スムースな動作、Sonnarの曖昧さのない力強い写り、佇まいの品の良さ、コンパクトさ、どれをとっても素晴らしい仕上がりでした。なるほど欲しくなるな。いつもこう思うのです、いいカメラはそのまま姿を変えずにデジタルになってほしいと。でもTシリーズはこのままでいいと思います。フィルムだからこそ良さが滲み出てくるのだと。幸いフィルムはまだ手に入ります。GAPPURI ZEISSで見ていただいた描写を手に入れることは可能です。(A.Inden)


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( 2019.03.29 )

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ある意味では、ツァイスレンズを使った写真集ともいえる側面を持つ一冊。とことんこだわった印刷ですから、ぜひ紙で見ていただきたい! ページをめくる喜び、モノとしての本の魅力を感じていただける書籍版。大変お待たせいたしました。再入荷の書籍版をこの機会にぜひどうぞ。

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