PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

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Behind the scene of GAPPURI ZEISS
Vol.03

ひとつだけ残すなら、ローライフレックス。

「がっぷりツァイス」にて、ローライフレックスでの撮影を担当させていただいたので、我が「ローライ愛」を語ることになりました。まだまだ使いこなせておらずお恥ずかしいのですが、ちょうど最近、自分がこのカメラを気に入っている理由について考えさせられた、小さな出来事がございました。以下ご紹介いたします。

ある日、防湿庫の中をぼんやりと眺めておりました。その背中が連れ合いにどれほど情けなく映ったかは分かりませんが、こう問いかけてきました。

「ひとつだけ残すとしたらどのカメラ?」

いや、どれも好きだから所有しているのでございまして、それぞれに使用目的もあるじゃないですか。写真好きにとってこれほどタフなクエスチョンはありません。ただ、逡巡したのはほんの数秒ほどで、自分でも驚くほどすんなりと答えが出てまいりました。

「やっぱり、ローライかなあ」

デジタルも銀塩も魅力的なチョイスが山ほどある中で、60年以上も前のローライフレックスを選んだ自分。それは何故かと今になって考えてみますと、ローライフレックスが「悩まないカメラ」だからではないかと思うのです。例えば、露出にピントに構図。撮影の三大要素の中でも、構図だけは未だ「オート」がありません。でも、ローライフレックスはスクエアフォーマットです。縦位置も横位置もないですし、被写体は真ん中でOKですから悩まなくてもよい。もう「オート構図」と考えて差し支えないでしょう。しかもお辞儀をしている状態でファインダーを覗くので、自動的に謙虚になります。合掌すると自ずと感謝の心を持つのと同じように、ローライフレックスを構えバイアスのない真四角の世界を覗くだけで、心が安定するのです。作為や作画意図といった煩悩は消え失せ、眼前の光景を素直に受け入れる気持ちになります。

そして、その光景がツァイス色に染まった粒子によって再現されるのです。これ以上何を望めというのでしょう。「Planar 75mm F3.5」は別格です。今回見たこともないようなクオリティで印刷されたカットを見て、更にその思いが強まりました。開放からシャープでありながらボケもスムーズですし、全体としての立体感はもちろん、もはや粒子レベルでの立体感も感じられそうなほどのリアリティを感じます。名前の通り像面の平坦性が高く、歪曲収差も少ないので使いやすい。色再現も官能的で、見るたびに心が浮き立ちます。今の基準でもそうなのですから、発売当時の新品は相当のインパクトがあったことでしょう。ローライフレックスのもう一つの美点として、レンズ交換が出来ないことがあります。もちろん買う前は「Planar 80mm F2.8」というこれまた魅力的な選択肢との間で悩みに悩むわけですが、選んだ後は潔く撮影に出かけることが出来ます。まあ二台とも、いやそれ以上買ってしまう猛者も大勢いらっしゃいますけどね(笑)。

デザインについてもご覧の通り、1950年代で既に完結しております。「レトロ」とも言われるのですが、これはむしろ「タイムレス」ではないかと思うのです。いかなるプロダクトもリリース当時は「最新鋭」ですが、ローライフレックスは70年近く経っても陳腐化の気配すらありません。レリーズに至るまでの操作全てを合理的かつ快適に行えるばかりか、将来のメンテナンス性も考慮して洗練を極めた総合的なデザインもそう感じさせるのだろうと思います。

本質以外は何も入っていない。「これでいいじゃん」と思える、悩まないカメラ。それが私にとってのローライフレックスなのでしょう。後はこれのデジタル版が出てくれたら面白いだろうなと思います。真四角のセンサーや二眼レフという構造は確かに非効率的かも知れませんが、時を超えるデジタルカメラを見てみたい。ワガママですかね。

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GAPPURI ZEISSで使用したフィルムは、FUJIFILM FUJICHROME PROVIA 100F、通称「RDP III」です。RMS8を誇る世界最高レベルの粒状度、高いシャープネスと確かな色再現で、Planar 75mm F3.5の魅力を余すところなく伝えてくれるというのもありますが、そもそも選択肢が殆ど無い。いや、あるだけ有り難いと言うべきでしょうかね。デジタルにどっぷり浸かりきった目には少しマゼンダがかって見える青ですが、フィルム時代はこれが基準のように思っていました。久しぶりに撮ると、「これだよ。プロビアってこうだよ。」と、しみじみ感じ入ってしまった次第です。(TAK)


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( 2019.03.29 )

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