PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

FUJIFILM X-T4, SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporary, 1/8000, F1.4, ISO 80, Photo by KIMURAX

映り込みフェティシズム

いち写真好きとしては有り難いことに、カメラやレンズのレビューをさせていただいています。それぞれの性能や用途を勘案しつつ、ロケーションや被写体を想定してから撮影に出るのが常です。ところが天候も含め、その日その場所その瞬間によって撮れ高はマチマチ。作例カットとして掲載する十数カットだけを撮って、はい一丁上がり!と言う訳には行きません。使用感を確かめながら、描写性能がきちんと発揮されているカットを得るべく毎度奮闘しております。一方、その陰で日の目を見ないカットも私の手元にはどっさりと残ります。

最近、そのデータの山を見返す機会があり、ふと気づいたことがありました。多くの機材でガラスや水面への“映り込み”を写していたのです。事前に映り込みを撮影する予定もないのに。。。立ち寄った場所で、ふと惹かれてしまったのでしょうか。これと言った動機も思い当たらず。もはや「そこに映り込みがあったから」としか言いようがございません。

後日、編集部員との雑談でそんな話をしていたところ、「フェチの一種ですよ、それは」という声が。無自覚な行動とはいえ、まさかそんな指摘をされるとは。言いようのない気恥ずかしさもあってか、瞬間笑って否定してはみたものの時間が経つにつれ、妙に納得しだす自分。知らず知らずのうちに映り込みに執着していたのか…なるほど、そりゃフェティシズムだなと。そんなこんなで写真に関するモヤモヤが晴れて来たついでと言っては何ですが、私の映り込みフェチを晒すべく、写真と共にその時感じたことや状況などを、つらつらと書かせていただきたいと思います。

( Photography & Text : KIMURAX )

vol.1 with Building

何の脈略もなく映り込みのカットを並べられても、それは見るに堪えませんね。そもそもそんなものに興味が無いという方は特に。というわけで一応テーマと言いますか、映り込みのある被写体やその周辺を括りとしてご覧いただこうかなと。まず今回は“with Building”というタイトルで「建物」まわりでの映り込み写真です。大きなビルともなれば、まさにガラスの巣窟。映り込みカットの量産基地みたいなものです。見上げれば映り込みが!なんてこともしばしば。

SONY α7R III, TAMRON 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD Model A058, 1/250, F2.2, ISO 100, Photo by KIMURAX

はい、見上げれば飛行機がビルに!!!なんて場面に出くわします。ほんの一瞬の出来事ですが。この時は、レビュー用の撮影のために東京都港区の大崎駅周辺を徘徊しており、都心にしてはなかなか迫力のある低い高度で爆音を立てて通り過ぎていくではありませんか。見上げれば20~30分おきに、しかも律儀に同じルートを飛んでくるのです。撮り逃したとしても、黙って待っていれば次のチャンスはやってきます。ビルに垂直に入ってくれないかなと何度かトライしましたがご覧の角度と相成りました。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 28-75mm f/2.8, 1/6400, F2.8, ISO 100, Photo by KIMURAX空がビルに映り込む。比較的によく見かける光景ではないでしょうか。バリっと晴れていれば太陽の反射で、否が応でもその存在に気づかされるのですが。もし写真を撮る機会がありましたら、ぜひ雲の多い日にレンズを向けてみてください。露出を若干アンダーぎみ撮るとその表情がよく出てきます。このビルが凄いところは、壁面(ガラス面?)が三角錐をかたどった立体形状になっているところ。一般的な平面とは異なる、複雑な映り込みを見せてくれるのでシビレます。

SONY α7R III, TAMRON 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD Model A058, 1/3200, F2.2, ISO 100, Photo by KIMURAX

ビルは見上げるだけではありません。ちょっとした高台から少し見下ろすようなところに来れば、あたらしい街並みの出現?!いえいえ、お店の中を広く見せるために、どんつきの壁一面をガラスにした時のような視覚効果です。こういう場所に出くわしたら必ずといっていいほどシャッターを切っていることを思い出しました。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 28-75mm f/2.8, 1/320, F2.8, ISO 100, Photo by KIMURAX

こちら単なる外光の反射とも言えますが(笑)。床に映り込みが有ろうが無かろうが、広角ゾーンのレンズの作例カットとしても悪くはないと思います。しかし無いよりは有った方が、雰囲気が出ると感じてしまうのは私だけでしょうか。はたまた、白いものを後方に出しながら歩いているんじゃないの?なんて、どーでもよい想像を勝手に膨らませてみたりしております、はい。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 28-75mm f/2.8, 1/25, F2.8, ISO 100, Photo by KIMURAX

両サイドがすでにガラス面ですが、撮りたかったのは床の映り込みです。この色味が効いていると感じたのです。もうなんのこっちゃそれ、というツッコミもあるでしょうがスミマセン。ピントは間違えなくカラフルに艶めく床、というのが何よりの証です。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 28-75mm f/2.8, 1/100, F2.8, ISO 100, Photo by KIMURAX

コップのフチ子さんならぬ、階段のフチ子さんを発見!この日は有楽町の国際フォーラムで卒業式が行われており、振袖のお嬢さんがいい具合に階段を隔てるガラスに映り込んでくれました。こういった写真は、もはや作例カットにはなりえませんね。面白い映り込みを撮るぞ、という明らかな意思がものすごーく強く働いているのがバレバレです。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 28-75mm f/2.8, 1/640, F2.8, ISO 100, Photo by KIMURAX

大きな建物がある周辺には、ちょっとしたオブジェ的なものが散見されます。そういったものへの映り込みも要チェックです(ま、私だけですが)。その形状や材質によって、様々な表情を見せてくれるのです。そんな小さな世界に視線を向けてみると、またいつもとは違う写真が撮れるかもしれません、多分、きっと。

ここまで、とりとめもない映り込み写真をご覧いただきありがとうございました。当初、自分のフェチを晒すということで、企画の段階では多少なりとも心の抵抗というか葛藤みたいなものがありましたが、こういう場で改めて写真をまじまじと見ながら語らせていただくうちに、ちょっぴり楽しくなっている自分に気が付きました。

( 2022.04.28 )

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