PHOTO YODOBASHI

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一日一花

休日の昼下がり、家で互いに持ち寄ったご飯を食べながら、お花の先生でもあった友人にアレンジメントを教えてもらったのが花好きを自覚するきっかけでした。ふんわりと漂う優しい香りに包まれながら、無心になって花を束ねていると心が整っていく気がしたのです。まさに至福の時間でした。以来、草木や花を家に飾るように。部屋の中に緑や花があることで、その匂いや湿度、自然界にある色に五感が刺激され、結果としてそれが癒しになっているという側面もありますし、それぞれの草花の特性にあった世話をしていると心身が整う気がするのです。家に居ながら外との繋がりを感じることもあります。私にとって草花は心のバロメーター的な存在かもしれません。

前置きが長くなりましたが、ここではいろんな草花をさまざまなアプローチから撮影し、その時の状況や感じたことなどお話させていただきたと思います。

( Photography & Text : TA )


Vol. 1 トルコ桔梗

ある時、まだカメラを始めたばかりの人に「暗く撮りたいんだけど、、、、どうすれば?」と相談を受けました。やりとりするうちに、単純に露出をアンダーへ振る感じではなく、要は光を読みたいのだと理解しました。Vol. 1では、そこにある光で、見せたい部分が引き立つような撮影をしてみたいと思います。

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実は引っ越してまもないので、歩いて通える距離にお花屋さんがないか探していました。そんな時にこの「花を撮る」企画はまさに渡りに船でした。こじんまりしているけれども店主さんが優しそうなお店を見つけたのでトルコ桔梗を購入。トルコ桔梗はどこのお店でも通年で手に入りやすいお花ですが、自然界での開花時期は初夏から秋にかけてでしょうか。色は初夏を思わせる白、そして八重咲き(フリル)で枝付きの良いものをセレクトしました。トルコ桔梗は一本の茎から枝分かれした先に大きめの花を付けており、華やかで高低差が魅力なお花です。今回は切り戻しのことを考慮して枝を長めに残しつつ、撮影しやすいように花の高さを整えました。ブーケ風に束ねて前述したイメージになるように撮影したものが上の一枚です。

見せたかった部分は花弁の形状やその表情。撮影意図は汲んでいるものの少し寂しげと申しますか、儚げな印象でしょうか。これはこれで好きなのですが、グリーンを挿すともう少し初夏らしい印象になるかもしれないと思い再トライすることにしました。

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ちょうど編集部の敷地内に野草がワサワサと育っていることを思い出しました。外へ出てみるとのびのびと野草が育っており、挿しグリーンとして使えそうな感じです。咲き終わったチューリップの葉も、こうやって見てみるとなんとも可愛らしい形状をしているではないですか。

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カットしたトルコ桔梗の全長にあうような長めの野草を物色していると、ミズヒキに似た野草が(写真右)。

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苔まで生息しています。コンクリートからも伸びています。

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春の野草は可愛いですね。咲き終わったチューリップの葉にも参戦してもらうことにしましょう。トルコ桔梗は飾ってから一週間経過しており萎れてしまったものも。それらを取り除いて切り戻します。野草をプラスしたものの全体のボリュームが減ってしまったのもあり、ベビーバンズ(木苺)とアルケミラも追加することにしました。

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束ねていきます。

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完成。まずはキッチンの採光窓からの光で全容がわかるように撮ってみました。彩光窓のガラス面は凸凹しており、良い塩梅に光が拡散されます。このまま、違うアングルから撮影してみます。

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彩光部が小さく刻々と光の状況が変わっていきます。花器をくるくると動かしながらアレンジメントの顔が引き立つような光を探ります。近づいて花の右側に立ち、斜め上から少し見下ろすようにして捉えてみたのがこちらのカットです。小窓から差し込んだ光は下方の床に向かって減衰していきます。その光の減衰を利用し白い花が浮き立つように撮ってみました。緑も入って初夏らしさも感じられるようになったかなあと。八重咲きトルコ桔梗のフリルの形状や花弁の厚みも感じられ、改めて可愛いお花だなと思いました。


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今回は全カット、こちらのカメラとレンズで撮影しています。カメラはFUJIFILM X-T4,、レンズはSIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporaryを使用。レンズはフルサイズ換算で45mm相当なので日常的な撮影にうってつけ。また開放F値が1.4と明るいレンズなので、屋内での撮影においても抜群の安心感がありました。

PHOTO YODOBASHI撮影状況はこのような感じです。黒レフっぽいものは、コストのかからない白ダンボール紙を黒スプレーでペイントしたのもです。黒で締めたり、余分なハイライトをカットする目的で使用しますが、今回は白い収納ドアを隠して花以外にハイライト部分を作らないように立てかけています。

PHOTO YODOBASHIトップ画像に使っているカットの撮影状況。こちらも白ダンボール紙になります。数枚セットになっているものを購入して、そのうちの2枚を白い布テープで張り合わせたもので自立するようになっています。1枚は床に敷くといった具合です。省スペースで部屋のどこでも設置でき、日頃から簡易ブツ撮りのお助けアイテムになっています。

( 2022.05.31 )

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坂源のハンドクリエーションは手放せないアイテム。軽快な切れ味で花を長持ちさせてくれます。私はカバー付きのモスグリーンを愛用していますが、シブヤニがつきにくいようにフッ素コーティングされているのでお手入れも楽ちんです。

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耐久性に優れた割れないプラスチック素材、ポリカーボネートで作られたフラワーベースです。クリスタルガラスと同等の透明度を併せ持ち、どんなアレンジにも合うのでおすすめです。

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今回の撮影に使用したレンズです。メリハリのある描写で、かつボケが美しい大口径標準レンズ。コストパフォーマンス良すぎでしょう。

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今回の撮影に使用したカメラです。ボディ内手ブレ補正機能も備えたXシリーズのフラッグシップ。

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