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LEICA SL2, SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art, Photo by K

LEICA SL2 / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2

LEICA SL2のレポートはすでにお届けしていますが、先代モデルとLEICA Q2ユーザーであり、その違いを確かめるべく個人的な興味でテスト撮影を行ってみました。センサー自体はLEICA Q2と同一で一足先に高画素化された画像は見ています。その他にセンサーシフト式の手ブレ補正機構の実装や、見えの良くなったと言われるファインダー、操作系の変更と、カメラの使い勝手自体もかなり手が入ったと聞いてテスト前から楽しみだった1台です。実はライカ社のステファン・ダニエルさんからテスト前にお話を伺う機会があり、それを受けてのレポートとなります。作例と共に、そのあたりの話を交えて新しくなった本機についてのインプレッションをお届けしたいと思います。

( Photography : K & A.Inden / Text : K )

LEICA SL2, SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contempprary, Photo by K

確実に緻密さの増した描写

早朝にほぼ後ろからの斜光、背伸びして手持ちで撮影。これだけの画素数であれば少し感度も上げたいところですが、手ブレ補正もよく効いて、原寸で見ても微ブレすら感じさせず確実に画は止まっています。ハイエストライトからディープシャドーまで破綻なく収められた階調再現幅にまず驚かされます。正直なところ先代モデルのLEICA SLのほうが、ぱっと見の見栄えはします。ただ、たとえば夕日を画面内に直接捉えるとなると色再現の階調に乱れが出て露出をナーバスに考える必要があったり、ハイライト側やシャドー側どちらに階調を振るか、今になってみれば考えながら撮影していたような気がします。つまるところ、LEICA SL2には「余力」を感じさせられるのです。画面内に情報がみっちりと詰まり、そこから現像パラメータを操作していくと画が全面的にキリッと引き締まり、立ってくる。そんな印象を受けました。モデルとなってもらった車を本当に思いつきで撮ってみて、極めてロジカルに光をコントロールしたかのように結果が得られるのですから、初代からの確実な熟成を感じました。

LEICA SL2, SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art, Photo by K

冬の冷え込んだ夕方、そして雨上がり。空気に密度を感じる気温、しかし湿度もある。こんなときは適正露出と呼ばれる値よりも少し切り詰めて絞りは開け気味にしますが、カメラ任せに撮っても画としてヌケを感じ、しっかり雨上がりの湿度も同居する描写です。

LEICA SL2, SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art, Photo by K

スチールのテーブルとは違い、屋外に設置された木のテーブルであれば水滴はさほど盛り上がりません。そうなるとわかりやすいコントラストが生まれませんから、キャプチャ能力の高いカメラでなければ張力の感じられない水滴を描くのは難しいかもしれません。どうでもよいですが、実にオタクな納得ポイント。

LEICA SL2, SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art, Photo by K

ランプの描写が、先代モデルのユーザーとしては気になるところ。輝度差の高い点光源などがあると少しアンダー目に撮影して、あとで帳尻あわせをしながら現像処理を行うところですが、LEICA SL2はそんな気遣い無用。やはり色数が増えると階調もふくよかに感じます。現場のしっとりとした空気がよく再現されています。

LEICA SL2, SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art, Photo by K

高感度側の描写も試してみました。低感度から先代モデルに比べると少しノイズを感じます。ただ、ノイズの処理が写るものの立体感へ誘うようなアプローチの処理で巧みさを感じさせます。


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お馴染み、ステファン・ダニエルさんに伺った話

ステファン・ダニエルさんはもとより、ピーター・カルベさん、Dr.カウフマンさんもよく日本でお見かけします。なぜなんですか?と聞いてみると、日本のマーケットを大変重要に捉えているのもありますが、みなさん単純に日本が好きなんだそうです。今回SL2のトピックは、特に倍増に近い画素数の積み増し、それにセンサーシフト式の手ブレ補正機構の実装でした。画素数の積み増しについて、スチルについては皆さんよくよくその効果の程を実感されていることと思います。これは映像収録においても効果はあって、5Kでの収録が可能となっています。これは4Kでアウトプットする上で、確実に収録の自由度が上がる機能アップであり、その筋のユーザーの方々がSLシリーズを利用しているということなのでしょう。事実話を伺うと映像収録にSLを活用しているユーザはかなり多いそうです。

センサーシフト式の手ブレ補正機構を実装した理由は、APO-SUMMICRONのような極限まで描写性能を追求したレンズの開発には、同方式のほうが有利であることが理由の1つ。さらに、ユーザーがMマウントレンズを活用する上で、どんなレンズでも手ブレ補正のメリットを得られることも理由の1つだそうです。

先代のLEICA SLがリリースされた際に、当時のLEICA M (Typ240)と比較して画が1つ上の次元に上がった印象があったので、その理由を尋ねるとLEICA Mがリリースされて2年程度の時間があったための進化だそうです。今回、LEICA Q2がリリースされて間もなくLEICA SL2がリリースされたため、さほど違いは感じられないだろうというお話でした。ただLEICA Q2はレンズ固定式であり、そのレンズだけに合わせ込んで開発することが可能なため、LEICA SL2に搭載されるセンサーと比較した場合、主にカバーガラス等の仕様が異なるとのことです。その理由は言うまでもなく、LEICA SL2にはあらゆるレンズがマウントされるためです。

セールスは大変手応えを感じるもので、好調だそうです。新たなシステムを投入するには、やはりレンズラインナップの拡充が至上命題となりますが、気がつけばLマウントレンズも幅が拡がり、さらにはシグマ・パナソニックとのアライアンスで今後さらなる発展が見込めるでしょう。LEICA がリリースするカメラとしては、もっともユニバーサルな使われ方をしているカメラだそうで、開発もやはりそのあたりを意識しているようです。


LEICA SL2, RUSSAR 20mm F5.6, Photo by A.Inden

高画素化した本機にオールドレンズをマウントしてみる

ライカM型もデジタル化されて久しいわけですが、M型にマウントすればよいでしょう。外付けのEVFでピントピークも追うことができるわけで、なぜSL2にマウント? 理由は2つ。ライカのカメラの中で最も高画素であること、そしてミラーレスカメラの中で1、2を争うような見えのよいファインダーの存在からです。LEICA M8からM9にモデルチェンジした際に実感したことですが、オールドレンズも画素数で描写が変わるのです。そのあたりのテストを兼ねて、いくつかのレンズをマウントしてみました。上のカットは、旧ソ連時代のRUSSAR 20mmです。周辺と中心で恐ろしい程に光量が違い、ともかくセンサーには厳しいレンズですが周辺部の色転びも起きずにまったく問題がありません。RUSSARとは不思議なレンズで、妙に立体感のある画を紡ぎます。フィルム時代の描写が再現されたような印象を受けました。

LEICA SL2, LEITZ Elmar 5cm F3.5, Photo by A.Inden

こちらは沈胴式のElmar 5cm F3.5。このレンズは実に面白いレンズで、本質的に線が太く描写は力強いわけですが、しかしなぜか丸い描写。淡い色乗りと、ベールのかかったような描写が何処か気品を漂わせるのです。優しさを感じさせる描写にはもってこいのレンズですが、どのデジタルのボディよりも、この性格が実によく再現されているように感じます。

LEICA SL2, NOCTILUX-M 50mm F1, Photo by A.Inden

オールドのM型用レンズではアイドルのNOCILUX-M 50mm F1。クセを上手く利用しないと、決して褒められた描写のレンズではありません。このカットのように端の方にピントを置いても、開放における残存収差の影響と、そもそも中央と周辺で描写が段違いなため、EVFがいまひとつだとピントピークが見えづらいのです。SL2のファインダーであれば、NOCTILUXの持つ魅力と戯れることができるでしょう。


LEICA SL2, SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contempprary, Photo by K

ライカが想い描くカメラの「今」が詰まった、魅力溢れる1台。

M型ライカが特定層のユーザーに支持されるカメラならば、LEICA SL2は最も幅広い層に向けられたカメラであるといえます。もちろん価格を除いて。ただその価格も手にしてみれば、ある意味納得。ミラーレスカメラの中でも、もっともガッシリとした印象があり撮影を行う上で丁度良いサイズ感。ともかく撮る道具として、その使い心地は素晴らしいフィット感をもたらしてくれます。M型ライカの魅力はそれとして、カメラ作りという面では制約も多々あるわけで、LEICA SL2こそがライカのカメラ作りにおけるすべてが注ぎ込まれる1台でしょう。先代モデルユーザーとしては画素数が増えることで階調特性が犠牲にならないかと不安になりましたが、それも使ってみてすぐに払拭されました。先代の画が抜群だと感じていたのにも関わらず、SL2は確実に1つ次元を上げてきて、結局いいなと思わされたのです。単に撮って画をニンマリ眺められるのが先代だとすると、SL2は明確な意志を持って撮影に臨むとさらにもう一つ上の画を確実に見せてくれる印象です。あとは撮り手次第なのです。

» LEICA SL2 SHOOTING REPORT Vol.1はこちら
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» ライカカメラ社 ピーター・カルベ氏 インタビューはこちら

( 2019.12.24 )

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SLから全面的に刷新され、スペックは大幅に強化されました。ハイエンドのミラーレス。SLからお値段据え置きは、たいへんお得ではないでしょうか。

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SL2専用のハンドグリップです。ボディ同様、質感高く頑丈につくられています。

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Lマウントに対応した頼りになる標準ズームです。シグマから出ました気合いの入った1本です。

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こちらは標準域のコンパクトな単焦点レンズ。SL2との相性も抜群で、佇まいの格好よさだけで「買い」の1本ではないでしょうか。

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